覚醒
前作、
魔獣育成ゲームの試遊会に当選したがゲームの内容が聞いてた内容と違う件
の続編になるので前作を読んでいるとより楽しめます
―深い闇に落ちていく感覚をもうどのくらいか分からないほど味わっている、終わりがないのかもしれないとさえ思えてくるがあらゆる負の感情にひたすら耐える
「ココハ …どコなんだロウ」
―ある時、微かな光が見えたような気がした
その光は甘いようでキツく心を締め付けるようであらゆる負の感情を取り去るようで、寂しさを感じさせた
そして少しすると声が聞こえた
「ねぇ、英雄さん
もう一度この世界を救ってくれる?」
声を聞くと、すぐに深海から浅瀬まで引き上げられるような感覚に陥り、とてつもない負荷を感じた
「ぐっ…」
気がつくと俺は壊れた銅像のある広場に倒れていた
銅像のモデルは断片から見る限り剣と防具を装備した俺にしか見えなかった、しかしどうして自分の姿だと分かるのかすら分からなかった
そして、何より謎なのは祈りを捧げるような数人の人々が目の前に居ることだ
「おぉ、まさか伝説が本当だったとは」
白く長い髭をたずさえた薄茶色のローブを着た老人が口にする
「あなたが伝説の勇者様なのですね
…所で言い難いのですが、どうして裸なのですか?」
「あっ」
おさげ髪の赤い服を着た端正な顔立ちの少女にそう言われてハッとすると、本当に何も着ていなかった
―そこからとりあえず老人の家へと招いてもらい、中世の人々が来ているようなイメージの薄い服を村人から貰い、すぐに身につけた
で、ここはどこでどうして俺はここにいるのだろう
記憶が全て抜け落ちており何も思い出せない
そんな時さっきの少女が話を始める
「貴方様は伝説に聞く勇者様とお見受けします
そこで、いきなりなのですが頼みがあります
万能の力を持つ全知の魔王が近々ここへ攻めてくるという預言を預言者が受け取ったというのです
ぜひ勇者様には西方へ数百キロの魔王城へと出向き魔王を退治して頂きたいのです」
いきなり何を言っているのか分からないし、そもそも俺は勇者なのか分からなかったが魔王に会ってみれば何か聞き出せるかもしれないという直感がしてとりあえず頼みを受けることにした
しかし、情報が何も無いのはいけないとも思ったため疑問を解消してから旅立つ事にした
「まず最初に聞きたいんだが、君達は一体何をしていたんだ?
そして、勇者と伝説っていうのはどういう事なんだ?」
老人が喋り始める
「その様子では自分が何者で、どうして現界したのかも分からないようですな
まず最初に勇者伝説というのがありましてな、それはこういったものです」
老人は語り始める
―簡単にまとめると、あの俺が倒れていた銅像に祈りを三日三晩捧げるとこの世界をかつて救ったとされる伝説の勇者が銅像を触媒に現れるという伝説があり、その伝説に基づいて召喚された俺はその伝説の勇者だと思われるのだという
正直信じられなかったし意味がわからなかったが、何もわからないこの状況では信じるしかないため信じ、老人から武器と防具として伝説の勇者が使っていたとされる受け継がれて来た二本の短剣と、顔を覆えるほどの大きさの盾と、身の丈程の弓を貰い受け旅に出た
一緒に貰った地図によると最寄りの町は西に十数キロらしいので一先ずそこへ向かう事にした
読んで頂きありがとうございます!
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