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悪の正義  作者: Queen B
1/1

正義か悪か

母はこう言った「あなたの中には悪魔が住んでいる」と。


-この飛行機は902便ヒースロー行きです。まもなく離陸いたしますので、シートベルトの着用をお願い致します-


私はこの日イギリスへのフライトだった。13時間の旅でヒースロー空港に着いたあとはホース・ガーズへ行き衛兵交代式を見物にしようと思っていた。だが事件はこの日密室状態にある機体の中で起こったのだった。


「ご搭乗ありがとうございます。本日はりんごジュース、オレンジジュース、本場イギリスの茶葉を使った暖かいアールグレイティーがございます。いかがなさいますか。」


-アールグレイティーとミルクをいただけますか-


私はクライアントとの取引のためイギリスに向かっていた。

機内は少し肌寒く、ちょうど冬休みが始まった頃なのか子供連れが普段より幾分か多いように感じた。

「先輩、私は少し休んでミーティングに備えますね」

後輩は最近の多忙なスケジュールに少しやつれていた。実はこの取引は私たちの命運をかける大事な取引だったのだ。

私の仕事は、年代物の日本車を海外のディーラーと取引をする仕事だ。日本でも海外の古い車が人気があるように海外でも日本の古い車は人気が高く、安全性の高く信頼のある日本車はとても高値で取引されることが多いのだ。だが最近では日本の旧車は部品の生産が中止されたこともあり減少してきている。この取引が成功すれば今でも旧車が人気があることを部品の向上にアピールでき、再生産の交渉のカギになるのだ。そのためここ3ヶ月間私たちは必死に旧車を買い集め、整備し直し、よりいい取引先を探していたのだ。

私も紅茶を飲み眠くなってきた。少し眠ろう。


-まもなく着陸いたします。シートベルトを押し目ください。テーブルとシートの背もたれ、足置きも元の位置にお戻しください。ご登場ありがとうございました-


その時だった

「先輩起きてください、着きましたよ。先輩!...赤城先輩??キャーーーーーッ!」

私の後ろの方から喉を絞られたような甲高い声が後ろから聞こえた。急いで駆けつけると、客が一人一見眠っているだけかのように見えるが、その手は青黒く冷たくなっていたのだ。

この声を聞きつけた他のシートエリアを担当しているクルーも集まってきた。

「この中に医者をしている方はいらっしゃいますか」

と、ドラマで聞いたようなアナウンスが流れた。

そしてクルーは全員ギャレーという機内のキッチンのような場所に召集され、機長からの指示が伝えられた。

「お客様の中にお医者様がいらっしゃいました。その方の診断によると、毒物の反応が見られたそうです。」

「殺人...ということですか!?」

「ええ、状況から見てそのようね。機長からの指示は、この機体が着陸しても乗客を落とさないこと。パニックになったお客様への対応。不審物がいないか周りをよく見ること。」

その時私の中でなにかが目を覚ましたような、血管の中を冷たくて鋭い何かが駆け巡ったかのような感覚が走った。


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