Route1-2
学校に入ると、玄関を通り、階段を3つ登り、奥から3つ目の教室へと進む。
扉を開くと、そこにはいつものグループの和樹、智也、唯がいた。
それぞれを簡単にまとめると
和樹
少し背が高く後輩への面倒見のいい奴だ。
部活がサッカー部でテストの数日前には後輩に勉強を教えている。
自分の勉強もあるというのに本当にいいやつだ。
智也
スポーツ万能で先輩からも後輩からもいじられる奴だ。
悲しいほど頭が悪く、全科目赤点をとるという前代未聞の記録をたたき出したのだ。
だが、駅伝で県新記録を3つもだし学校からも重宝されているので先生たちから頑張って成績をとるように応援されている。
唯
いつも笑顔でいて、どんな人とも平等に話すことができる奴である。
サッカー部のマネージャーをしていて、部の全員に信頼されている。
たまにそれが重いと言ってはいるが、でもやりがいがあると言って続けている。
という感じだ。
とにかくみんな良い奴ってことだ。
「来るの遅ーい!」
「もう12:30だよ?」
「今日はもう来ないのかと思った!」
などの声が来る。
大抵こいつらと話すために学校前来ているようなものだ。
「わりぃって!
気づいたらこんな時間で、驚いたんだって!」
そういいながら笑ってそいつらのもとへと向かう。
そいつらも笑いながら迎えてくれる。
そうして、遅れながらもいつものような1日を過ごし始める。
この頃はやっているは、ヌメロンというゲームである。
3桁の数字を互いに考え、お互いにあてうというゲームである。
桁と数字があっていればeat、桁が違い数字のみがあっていたらbiteといって互いに当てあうのである。
これが思った以上に熱戦になるのである。
負けるとおごりや飯を買いに行かされるというのもあるが、頑張ればだれでも勝てるというところにあるのだと思う。
その結果、赤点を取りまくっていた智也が頭脳戦で勝てず、先日20回たたって1勝しかできてなかった。
今日もするのかと思っていたが、今日はそれ以上に周りが話題になっていることがありみんなで勝負しようという話にはならなかった。
「そういえば今日あの人が着てないんだよ」
「あの人?」
「結咲 恵だよ!」
「となりのクラスの?!」
「そうだよ!」
「珍しいなぁ、風邪かなんか?」
「違うらしい。」
それ以外あるのだろうか?
季節的に今は夏だし、インフルエンザにはかからないだろう。
それに違うらしいって言い方が気になる。
「何かあったの?」
そう聞くと
「先生たちが話してたには昨日の夜に家出をしたらしいよ。
親と言い合いがあってそれから帰ってならしい。」
とのことだ。
その後も話を聞くと、恵の友達からは20:30くらいから連絡が返ってきてないらしく、朝になっても既読がついていなかったらしい。
親も朝になっても学校に行ってないことを心配になり警察に連絡しているようだが、見つかったとの連絡がまだ来てないらしい。
そのため、朝の朝礼では
--見たものはいないか?
と全クラスに先生が聞いたらしい。
次の人かにのほほんと学校に来るのは難しそうでなぁって思う。
結咲 恵
普通をまとめたような人。
しかし顔は普通というか周りより整っており、隠れファンも多いらしい。
あまり嫌な顔とかを見せることもなく、物事をすんなりこなせる。
中学が一緒だったがあまり話したことはない。
今回のようなことが起こるのは、そつなく何事もこなしていた彼女からは想像もできなかったのかもしれない。
その分、周りの心配も大きいようで、
「家出少女的なことしてるのかな?」とか「誘拐されたんじゃないの?」とかの憶測がたくさん生まれている。
でもケータイもないのに家出少女は無理なんじゃないかなぁって思う。
すると、和樹が
「そういえば、中学一緒だったんだよな!
もしかして泊まりに来てたりしたりは......」
とニヤニヤしてきたので、
「してねーよ。
それだったらいいのになぁ」
って返す。
すると、周りの三人がそろってため息をこぼす。
「なーんだぁ」
「てっきり泊ってるのかと思ってたよ。」
「そうだよー!
三人で予想してたのに!」
「勝手に人の家にいる設定にするな!」
などと楽しく話していると、チャイムが鳴った。
時刻は13:00をまわっていて、ここから10分間の掃除が行われる。
掃除では、一定の時間を過ぎると先生が来るので早めに向かわないと怒られるので、しっかりとした生徒は3~5分前には移動を始める。
自分は、チャイムがなってから動くのだが......
なのでそれを聞いてから掃除場所へと向かう。
毎回思うのだが、なんで帰りの会等の一日の終わりにしないのだろうか?
中途半端な気がする。
海外であれば掃除のない学校もある。
さすがに掃除はするべきと思うからそれに否定的ではないけれど、あとに授業がある中ですることではないと思う。
自分は3階のトイレが現在の掃除場所となっているので、あまり移動しなくて済む。
めんどいやつは全ての階を降りてから反対の校舎(連絡通路はある)の校長室の掃除という奴もいる。
そこにはなりたくないと思うけど、毎年最後の掃除当番となった人はその最後の掃除の日にお茶や菓子を食べるだけで終わるってのを聞いてから、最後の時にはなりたいと思っている。
そのお菓子というのも県外から集められた美味しいもの多いらしく楽しみなのだ。
走行しているうちにトイレに着いた。
チャイムから5分が過ぎた頃
「おーいサボるなよー」
と先生が入ってきた。
岡村先生である。
体育の先生で、本当に生徒思いのいい先生だ。
この学校では珍しく学校にすらケータイを持ち込むことが禁止されているのだ。
---携帯電話だと言うのに携帯することが出来ない
とかいう馬鹿なことを考える。
高校2年生の時に修学旅行を1週間前へと控えている時に没収されたことがあり、最悪だと思っていたのだが、
「他の奴には内緒だぞ?」
と言って渡された時には、先生のことを神様のように崇めたものだ。
次の日にはみんなに報告したのだが......。
また、去年の3年生がサッカーの選手権の応援に行きたいと言った時には、校長先生に へと直接お願いに行き本当に応援に行けることになったと言う。
ここまで行動する先生というのはそうそういないものだ。
「先生、外国と違ってなんで日本では掃除するんですか?」
と1人の学生が聞く。
グローバルになった現代では子供が1度は考えるものだと思う。
自分も何度も考えたことがある。
それに対して先生が言うのはいつも
「自分で考えなさい。」
というものだ。
だが、この先生は違った。
「やりたくなければ辞めればいいよ。
だがな面白い話があって、掃除をするってのは人を良くするんだ。
割れ窓効果って知ってるか?」
「知りませんよ。」
「なら教えてやる。
これは別名割れ窓理論とも言うんだけど。
例えば、綺麗な街に窓ガラスの割れた車を一つだけ置いてたとするだろ。
それを排除せずにずっと置いていたらそこの治安が最終的には悪くなってそういうものが集まってくるっていうものなんだ。
最終的には犯罪件数が増えるっていう。
なのでそういう奴にならないために掃除をしろってことなんだ。」
と、自慢気な顔でこちらを向いて説明している。
ーホント、どっから持ってきてんだよ
と、常々思うがなるほどと思えるようなことを言ってくれるからほかの先生より断然いい。
ルールだからとか言われても、他がやればいいと思うことだってあるのだから、それを教えてくれるのは有難いことだ。
「ま、そんな訳だ。
しっかり掃除しろよ!」
そう言って先生は立ち去ろうとしていた。
少し気になったことが頭をよぎり、
「結咲から連絡って会ったんですか?」
と聞いた。
すると先生はにやにやした顔で、
「お前もしかして、結咲のことすきなんか?」
といいだす。
「そんなことないですよ!」
「じゃなきゃこんなタイミングで聞いたりしねーだろ?」
「いや......」
といって、言葉が出てこなくなる。
あながちそうなのかもと思ってしまう。
「でも、中学が同じだったから気になるんですよ」
と言うと、次に先生は冷静な顔になって言った。
「結咲から連絡は来てない。
他のやつから聴いてるからもしれないが、昨日から誰も連絡を取れたって言うやつがいない。
だからまず、ここ周辺の警察に連絡してあるが、近くにいるとも限らないからな。
高校生だし。
だから、明日には県内全体で情報を流すことになっている。」
と言われた。
大袈裟だろとも、1人が消えて連絡がないから当たり前かとも思う。
「そういうわけだ。
連絡がもしあったら俺にだけでも教えろよ」
「はい」
「んじゃ、サボらずやれよ」
そう言って先生は別のところを見張りに行くのだった。
第2話も読んで下さりありがとうございます!!!
まだまだ話が進んでいないのですが、とりあえず1話だけでは申し訳ないと思い、2話も上げさせてもらいました。
これからゆっくりですが上げていくので、ぜひ読んでいってください。
また、コメント感想お待ちしております。