Route1-1
朝7時ちょうどに目がさめる。
理由は少し田舎のこの街では7:00になると音楽が街全体に流れるのだ。
近所迷惑じゃ済まないほどの音が長れるため、少し気分悪く目が覚める。
一時間ほど経つと学校からチャイムの音が聞こえ、体操の音楽が聞こえ始める。
そしてそれに合わせたように町では車が走り、仕事へと向かう大人の姿が多く見られ始める。
また、高校生などもこの時間から学校に向かい始め、9:00を過ぎる頃には完全に町が起きるのである。
これがこの町の日常である。
僕はそんな鼓膜でも破るかのような音楽が流れる中で目が覚めることはなく、両親は仕事へと出向いており、時刻は10時20分を回るところだった。
現在18歳の僕はこの中途半端な時間に起き、始めに声に出した言葉は
ーー二度寝するか。
というものだった。
学校に遅刻しているというのに起き上がる気力がでないのだ。
むしろ遅刻しているからこそということも有りうるが......。
五月病で学校を休むなどの考えが頭をよぎる。
そうやってゴロゴロしてあれこれ考えているうちに40分が過ぎ、時計の針が11時へと動いた。
流石に学校に行くか。
そう言って家を出た。
学校への道のりはいたって簡単であり、家を左に出て5つ目の交差点を右に行き、3つ目の交差点を左に行くと学校が見える。
毎度思うのは、なんで高校ってやつは正門までに坂があり、少し周りの建物より高い位置にあるのだろうか。
それが歩くのに疲れるわ、自転車でも疲れるわで、原付や車で来る人に少し嫉妬する。
駅から来る人に比べると圧倒的に近いためなんとなく許してはあげてるが、もしそうでなければ山を壊して平らにしてやろうとか考えてしまう。
それにどれくらいお金がかかるのかしらないけれども。
家から左に出て1つ目の交差点を抜け、2つ目の交差点を抜け、3つ目の交差点に通りかかる。
ここを左に行ったら商店街に出て、まっすぐ進むと池がある。
昔はなかったが最近、池の中央まで行ける木の道ができていて鯉を真近で見ることができる。
ふいに行きたいと思うが、学校もあってるし、流石に午後までサボるとなんて言われるかわからない。
なのでその気持ちを抑え、右へと曲がり学校へと向かう。
5つ目の交差点に差し掛かり左へと向かう
すると少し距離はあるが正面に学校が見える。
「あの坂を登るのか」
そう少しテンションが下がりながら一歩ずつ足を前に進める。
二度寝しようとしていた時の世界の輝きはなく、現在見える世界はモノトーンに近くなっていた。
やる気でねぇ、ホントだりぃ、めんどくせぇ等の言葉を頭の中で何回も何十回もぐるぐるさせながら歩く。
ーーーとりあえず13:00にはつかないとな!
と少し足を早めるが、時間を確認すると11時半だったので元に戻す。
あと10分の距離を急ぐ必要もない。
逆に早過ぎたかもしれないと考える。
12時までは授業があってるので入りなくないというのもあるのだ。
まず出るのが早かった。
坂の前には自分たちが入学した数日前にできたらしいコンビニがあり、そこによって時間を潰すことにした。
「いらっしゃいませー」
店員のいい声が聞こえた。
多分大学生ではないかと思われる人が少し低いが透き通る声で言われたので、少し気分が上がる。
まぁ、そんなことになるのなんてほんの一部の人くらいだと思う。
その大学生っぽい人は入ってきた俺を見て少し変な顔をしていた。
ーーこんな時間帯にくる学生なんてそうそう居ないよな
そう思いながらも気にせずに、まず本棚の方へと向かう。
毎週販売されている週間○○的なのを読んでいく。
今オススメなのは女優を目指す女の人の話である。
才能のある女性ではあるのだが、特殊すぎるため色々な出来事を起こしてしまう。
その結果、夢を諦める人が出たり、共演者を困らせたりしてしまう。
しかしその影響が最後にはたくさんの人の演技を変えたり、舞台をより良くするのである。
共に協力し合うがそれで闘っているという新感覚の世界に物凄く興味をひかれたものだ。
だいたいのマンガは1話が20ページぐらいである。
そのためあまり進まずに飽きてしまうこともある。
なので、進ま過ぎず遅過ぎないこの作品はすごくいいと感じる。
まだあまり知られていないからたくさんの人に知ってもらいたいと思う。
他にもカノジョをレンタルするという話や、強敵を戦略と技術、チームワークで倒すスポーツ、ギャグを入れるのに時々真剣に闘う侍に、滅びゆく世界を救えない鬼の力を手に入れた男の物語。
見たことも無い世界がその紙の束に集結しているのである。
これを読まないのは世界を知らないと等しいのではないかと思ってしまう。
そんなわけはないのだけれど......。
そうやって読んでいるうちに20分程が過ぎ、時刻は12時を回ろうとしていた。
何も買わずに出ていくのは申し訳ないと思い、透明の冷蔵庫にある黒い魅惑の液体を取り出し、左右に並べられている袋たちを無視しながらレジへと向かう。
先程、俺を見て変な顔をしていた大学生がレジに来て会計をした。
「さっき君と同じ高校の制服を着た女子生徒がいたんだけど知り合いかい?」
と聞かれた。
突然話しかけられて驚きはしたものの、進学校である(自称ではあるが)自分の学校に他の生徒で休むことなどあまり考えられない。
だから、
「わからないですけど、どうかされたんですか?」
と聞くと、その大学生は
「いや、なんかこの時間帯に制服でコンビニに来る学生なんてそうそういないから。
今日は君で2人も見たから気になっただけだよ。」
と言った。そして、数秒して
「でもそういえば、なぜか制服姿なのにバックもなくて、忘れたんですかと聞いたら
『いえ、今日は学校には行かないことにしたので』
って言ってたから。
ならなんで制服を着てたんだろうって気になったんだ」
と付け加えて言われた。
その話は気になる。
少し学校に行く気が出てきたというものだ。
その店員さんにはありがとうございましたといい、学校への残りの坂を登っていく。
12:20分頃をまわり、やっと学校に着いた。
はじめまして、もしくはお久しぶりです。
心音 響 といいます。
この作品を読んでいただきありがとうございます。
また話が描きたくなったので新しいのを書かせていただきます。
この物語はゆっくりですが完結させたいと思っています。
更新は1~2ヶ月に1度となるかもしれません。
だいたい2~3回でRoute1やRoute2が終わるので、それを見て区切りながら読んでくださると嬉しいです。