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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

偽善者は歪んだ愛を街に注ぐ

作者: 公爵蜘蛛

初挑戦のホラーです。

 私は、探偵の相坂凛。十八歳の女探偵よ!…なんで探偵って二回言ったかって?…そんなのどうだっていいじゃない!細かいことばっか気にしてるんじゃないわよ!


 って、そんな事はどうでもいいの。実は私にとってとても興味深い事がネットを探していたら見つかったの。その名も、ジャーン!天使と悪魔が住まう街!よ。


 しかもネットのガセネタかと思ったらそうじゃないの。なんでも事件が頻繁に起こる町らしいの。まるで某蝶ネクタイの少年が住んでいるみたいな、ね!


 しかもその街にはヒーロー的な存在もいるみたいなのよ!事件が頻繁に起こるけれどそれを未然に防ぐヒーロー!実に興味をそそられるじゃない!これは、その街に行くっきゃないわね!



 ☆☆☆☆☆


 シュタ!(テレポートしてきたみたいなイメージのやつ)

 さぁ、到着よ!見た感じは全く普通の街ね。そこそこ栄えてるし、特に変なものが祀られてるわけでもない。…うん、普通ね。


 ネットで調べるのは無理がある。やっぱり探偵は現場で体を使って頑張るのが基本よね!よーし、私の実力、見せてあげるんだから!



 とある住民Aさんの証言。


 あの人は本当に凄いよ。え?何が凄いって?そりゃあ全部に決まってるだろ!自分が危険に侵されようとも他者を守ろうとする心意気、そこに痺れる憧れルゥ!



 とある住民Bさんの証言。


 確かにあの人はこの街の英雄さ。彼を害そうとする奴がいたらこの街の住人全員が襲いかかるんじゃないか、ってぐらい人気者なのさ。え?私?もちろん大好きに決まってるじゃないのさ。



 とある住民Cさんの証言。


 ……………大体同じだった。っていうかなんなの!誰に聞いても聞いてるこっちがこそばゆくなる様な事しか言わないじゃない!


 新しく出てきた情報としては彼は大変謙虚でいつも自分は偽善者だと言って謙遜している。

 事件の現場には必ずいていつも誰かを救っている。


 …え?それは流石におかしいじゃない。ほとんどじゃない()()だなんて。何事にも100%なんて存在しない。そんな事、小さな子供にだって分かるわ。


 この事件…何か裏があるわね。街の人は少し盲目的に信用し過ぎよ。私が暴いてあげるわ!



 ☆☆☆☆☆


 彼の家に到着したわ。勿論、コッソリと観察するのだけど、探偵と言えば尾行よね!それに潜入捜査。あれ?潜入捜査は違う?…まぁ、いいわ。取り敢えず暫くは観察して過ごすことにするわ。

 もし、仮に彼が悪なのだとすれば、直ぐにボロが出るはずよ!



 いない…いない…いない…全然帰ってこないじゃないの!朝ぐらいから張り付いてるけど、もう日も暮れて真っ暗じゃない!一体どうな…あ…帰ってきた!


 うーん、暗くてあんまりよく分かんないけど、よく言う悪人顔はしてないわね。それどころか周りからの評判通り、優しそうね。


 変な行動をしてるわけでもなさそうだし、取り敢えず今日の所は勘弁しといてあげるとするわ!



 〜次の日〜


 ただ今朝五時ぐらいよ。え?なんでこんなに早く行動を開始しているかって?昨日朝から張り付いていたのに見つけられなかったって言ってたじゃないのよ!だからこんなに早く起きてんの!私だって眠いのよ。


 あ…出て来た!やっぱりこんなに早く起きるなんて何かあるのかしら。尾行開始ね!

 って、歩くの早過ぎじゃないの!お、置いて行かれる!急がなきゃ!


 カツッ…カツッ…カツッ…カツッ…


 歩く音だけが響く。ふぅ。私も緊張して来たわ。ってあれ?ここって?


 …私の目の前に広がっていたのは、恐らくもう使われていないであろう街外れにある古い洋館だったのだ。彼はそこに迷いなく入っていく。

 彼の姿はマスクや帽子をしている上に、朝早いこともあって住人からはその正体がバレてはいないようね。


 …これは本当に何かありそうね。普通に考えればこんな所に用があるはずが無いもの。私は、バレないようにコソコソとついていくのだった…



 ☆☆☆☆☆


 汚い。想像以上に汚い。まぁ、人が住んでいないので掃除がされていない上に、天井に穴が開いていたりしているので、そこからいつかの雨が入って来ていたようで、床が腐っていたりして、かなりヤバイことになっている。


 ど、ドアの中に入っていったわね。扉を閉めなければ、中を覗けたのに、まったく、気が利かない男ね。まぁ、いいわ。コッソリ聞き耳でも立てちゃいましょ。流石にドアを開けたらバレちゃいそうだしね。


「…も…わ……す…ない」


 ん?何か言ってる?にしても独り言だからだろうけど、声が小さいわね。も、もうちょっと近づけば聞こえるかしら。あっ、ここに穴が開いてるわね。ここからなら覗けそう…


「事件は防いでも防いでもなくならないどうしてどうしてどうしてどうして?僕は確かに偽善者だ。でも、でも、おかしいじゃないか。どうして何も悪い事をしてないのに僕の街の人は狙われるんだよ。そんなのおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよおかしいよ…だからさ、これは悪い事じゃないんだよ、み、見せしめだ。きっとこいつが街の中に入っていたのは事件を起こそうとしたからに違いない。そうだ!僕は街を守ったんだ!」


 ヒッ!あ、ああああ、あ、あそこに倒れてる人ってもしかして…そ、そうだ、に、逃げないと…!!


 ザクッ!


 !!?!?


「誰だ!?」


 あ、あああ、ゆ、ゆゆゆ床が腐ってるの、わわわ忘れてた。ヒィッ!ち、血まみれ!?


「こ、来ないで!やめて!来ないで!」


 男はこちらを見たまま固まっている。た、助かった?って、なんかブツブツとなんか言ってる?


「ああ、そうかそうかそうかそうか見ちゃったのか見ちゃったんだな見てしまったのか仕方ない仕方ない仕方ない仕方ない仕方ないとそうだ彼女もきっとこの街に害を成そうとやって来たに違いないそうだこれも街を守るためだ僕の手を汚してでもここで彼女を殺して街を守る」


 スッ…スッ…スッ…スッ…


「ヒッ、ヒッ、いや!やめて!殺さないで!やめ!!?うっ…ぁ…」


 バタッ!!


 頭を強く殴られ気絶した彼女を見つめながら、狂った男は話し続ける。


「僕は偽善者だ街を守る為には汚れた仕事をするものが必要だ僕は悪くない僕は人を守るヒーローだみんなを守る守る守る守るまもるまもるまもるまもるマモルマモルマモルマモルマモルマモルマモルマモルマモルマモルマモル…」


 偽善者は、今日も、そして明日も歪んだ愛を注ぐ。こうなってしまった理由は今となっては分からない。しかし、もしかしたらあなたの街の平和も、毎日も、そんなナニカに支えられているのかもしれません。



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