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1ー9 ユリシカの街に着きました

何気にPV350を突破、ユニークも150越え。じわりじわりと増えてますね。


2018/10/30

スピキオの一人称を変更しました。


 現在、俺達はユフィの父親が治めるユリシカの街へ向かっている。

 ナビーさんが改造した馬車の乗り心地は快適で、ユフィとヘンリエッタさんにも絶賛だ。因みにユフィの厚意により、俺とエントゥアさんはケガをしたという理由で馬車に相乗りとなった。


「凄い、全然乗り心地が違う……」


 そりゃサスペンション取り付けてるからね。振動はかなり解消されてる筈だ。


「はい、お嬢様。ソーマ様には幾ら感謝しても感謝しきれませんね」


 改造したのはナビーさんなんだけどね。


「全くです。おまけに食べ物と飲み物まで提供してくれて……あ、ソーマ殿、メロンパンもう一個下さい」


 つかエントゥアさん、何個メロンパン食ってんだよ。腹ペコ属性でも持ってんの? 尚、ユフィはチョココロネ、ヘンリエッタさんはあんパンがお気に入りである。




 結局、バーサークウルフの夜襲以降は何もなく夜が明けた。バーサークウルフの死体は全て回収し、狂犬病ワクチンを調合した。ストレージ内には新たに78本ものワクチンが収納されている。

 早朝、なるべく早く出立し、ユリシカの街へ戻ることにした。その際、スピキオが馬車が修復されてることに驚き、ちょっとした騒動になったが、そこは割愛する。因みに御者もスピキオが務める。




「それにしても、ソーマさんがお持ちになってる食べ物は見たことの無いものばかりですね。飲み物も変わった物ばかり」


「そうか? 俺がいたとこじゃ割とありふれた物なんだけど……」


 ユフィやヘンリエッタさんに聞いてみたところ、菓子パンやコーラは勿論のこと、意外にもコーヒーは無いらしい。紅茶はあるが。チョコレートは有るのだが、薬として使っているらしく、ユフィがチョココロネを食べた時は「これがチョコレート!? チョコレートってこんなに甘い物なのですか!?」と驚いていた。どうやら凄く苦いらしい。スパークリングワインやエール等が有ることから炭酸水は有るようだ。因みに胡椒は高価だが流石に金と同価値、とまではいかないらしい。


「凄いですね。それは是非行ってみたいです。ソーマさんのおられた国は何と言う国なのですか?」


「日本、てとこだけど」


「にほん……初めて聞きますね。何処にあるのですか?」


 ユフィが尋ねるが、何とも答えづらい。強いて挙げれば、と上を指差す。


「空? それって天上にあると言うことですか!?」


 さあ、と言葉を濁す。実際は異世界から転移してきた訳だが、言ったところで理解出来るかどうか。まあ、正直に言う必要もないかな。


「なあなあ、俺っちにもなんかくんねーかなぁ。朝から何も食ってねーから腹ペコなんだよ」


 御者席からスピキオが言ってきたが、知らね。


「お前、両手塞がってんのにどう食えと。つか男同士で『あーん』とかしたくねーぞ」


「そこを何とかー。お嬢でもヘンリエッタでも、この際エントゥアでもいーからさぁ」


「断る」「嫌でございます」「男同士で、男同士で……」


 うーん、とりつく島もないとはこういうことか。つかユフィは顔紅くして何想像してんのかな!? 消して! その妄想消して!!



 ☆★☆★☆★



 暫くすると、ユリシカの街が見えてきた。城壁に囲まれており、巨人を駆逐する漫画の舞台のモデルと言われているネルトリンゲンのような街だ。

 門をくぐり(フリーパスだった。流石領主の娘)街中へ入ると、中世時代の、如何にもファンタジーな街並みが。街道を真っ直ぐ抜けると、街の領主であるクリスト伯爵の館に辿り着く。

 白亜の館で、俺から見れば豪邸なのだが、ユフィ曰く「これでも他の伯爵家よりは地味」だそうだ。尚、ここでルドルフさん以外の護衛とはここでお別れである。これでクライスと顔を会わせることが無くなるとと思うと清々する。


「お帰りなさいませ、お嬢様。そちらの方は?」


 中に入ると、筋骨隆々の老執事が迎えてきた。白髪頭で仏頂面、睨み付けるように俺を見ている。


「只今帰りました、ウィリアム。彼はソーマさん、私の命の恩人です。失礼の無いように」


「畏まりました。お嬢様を助けていただき誠にありがとうございます」


 ……あの、めっちゃ睨まれて怖いんですけど。


「くすっ、ご免なさい。ウィリアムはいつもあんな顔なの」


 あれ、地なの!? 子供とか絶対泣くぞ。


「でもとても優しいですよ…………怒ると凄く怖いですけど」


 ユフィがウィリアムさんをフォローする。最後は小声だったが。やっぱり怖いんじゃん。




 メイドさん(ヘンリエッタさんではない)に客間に案内される。客間はかなり豪華だった。俺が元の世界で住んでいたアパートの部屋よりも遥かに広い。ソファーもベッドもふかふかだ。調度品は派手な嫌味さはないが、どことなく気品に溢れており、高価な物だと一目で分かる。

 暫く寛いでいると(普通なら緊張するだろうに、我ながら図太い)扉をノックする音が聞こえた。


「ソーマ様、旦那様がお嬢様のことでお会いになりたいそうです」


 扉を開けると、そこにいたのはヘンリエッタさんだった。旦那様、つまりユフィの親父さんってことか。なんか会うの怖いんだが。


「大丈夫です。旦那様は偏見の目で見るような方ではありません」


 いやそういう訳じゃ……て、ヘンリエッタさん、何で俺の心の声が聞こえるんですか? エスパーかなにかですか?


「先程から口に出してますが」


 またかい!? どうも心の声を言葉に出すのが癖になってしまったらしい。気を付けよう。


「……分かった、会ってみるよ」


「畏まりました。それではご案内致します。ところで『えすぱー』とは何なのですか?」


「えーと、心の声を聞いたり、手を触れずに物を動かしたりする人?」


「ああ、魔術師のことですね。ソーマ様が居られた所では魔術師をその様に呼んでいるのですね」


 ……多分、きっと違うと思う。まあ魔術師とか居るとは思ってたけど。やはり剣とか魔法とか貴族令嬢とか、異世界転移者にとってロマンだよね!


 



遅々として進まぬ展開……

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