2ー43 レギオン
遅くなりましたぁm(_ _)m
オキュペテーはビキニアーマーを装備した!
サイズ補正の効果か、オキュペテーのサイズにピッタリフィットしている。元々のスタイルが良いぶん、余計に似合う。
胸当ては胸を隠す程度、肩当て等は付いていない。腰当ての方は左右をガードするようなチェストガードだ。ただしパンツは無い。代わりにスリット入りのスカートのような、というか前後を隠すような布が付いてている。因みにこの布もセットだったりする。あまり激しく動きまわると見えてはいけない所が見えてしまう。そしてオキュペテーは何故かパンツを履きたがらない。
尚、着替えさせたのはモーラである。流石に俺だとまずい。それはもう色々と。
まあ、助けた時に全部見ちゃってるんだけどね!
「ネェ御主人、似合ウ? 似合ウ?」
オキュペテーがくるりと一回転する。布が捲れて危うく見えそうになる。
「まあ、似合う……かな。うん、良く似合ってる」
「ワーイ!」
似合うと言ってくれたのが嬉しいのか、オキュペテーが俺の腕に翼を絡めながら抱きついてくる。
……当たってるんだけど。敢えてどこがとは言わない。いや、何とか顔に出さないようにしないと。俺は顔を逸らすが。
「おにーさんのえっち」
モーラに責められた。解せぬ。
「あんな所に従魔紋を施すなんて……スケベ、変態」
……そっちだったか。
☆★☆★☆★
ビキニアーマーの代金を支払い(15000ディールもした)、手頃な依頼はないかと冒険者ギルドに立ち寄ったのだが、来るのが遅かったのか、粗方良さそうなのは受けられてしまったようで、フリーの依頼ばかりだった。
ロックリザードの捕獲というのがあるけど生息場所がやや遠い。
メルクト山という火山の麓に生息しているのだが、徒歩だとここから凡そ5時間ほどかかるそうで、足の無い俺達には今からだと帰りが真夜中になるおそれがあるため除外した。
因みにロックリザードとは全長が1~2m、皮膚が岩みたいに固く、実際に岩を纏っているかのような外見の蜥蜴だ。見た目によらず臆病ですぐ逃げる。しかも逃げ足が速い。脅威度は一応Eとなっているが……
まあ遅く来てしまった俺が悪いので、カエラの森でゴブリンやオークでも退治しに行こうかと思っていたら、
「おいおぃ、何でこんなところに魔王の子がいるんだぁ?」
俺を卑下するかのような声がした。声のした方を向くと、テーブルに足を乗せてニヤついている男がいた。
緑色の髪を短く切り揃え、身なりの良い、上質な鎧を着込んでいる。ひょっとするとジェイクのような貴族出の冒険者かもしれない。その割にはあまり品性が宜しくないが。
「汚らわしい魔王の子が。俺様に殺さ――いや待て。その魔物はなんだ? すっげー美人じゃねーか。おい、その魔物を寄越せ。そうすりゃ命だけは助けてやる」
は?
「おお、ゲティさん優しい。あんな魔王の子も許すとか、なかなか出来ないっすよ」
「そうそう。だからその魔物置いてとっとと出てけ」
「こいつは俺達が面倒見るからよ」
「ばっか、俺達の面倒を見るんだろ。主に下の口で」
手下であろう、品性の欠片もない冒険者が爆笑する。何こいつら。一ヶ月以上この街にいるがこいつらは見たことがない。或いは偶々出会わなかっただけかもしれないが。
俺は溜め息を吐く。こんな馬鹿に構っても何にもならないし、無視することにする。
オキュペテーはかつての事を思い出したのか、怯えた顔をして俺に身を寄せる。
「大丈夫だ、あんなの気にするな」
「ウ、ウン……」
とは言ってもそうそう拭いきれるものでもなし。俺達はギルドを後にしようとするが、数人の男が扉の前に立ち塞がる。
「おい、その魔物を置いてけってゲティさんが言ってんだ。帰るならてめえだけで帰れや」
「これだから魔王の子は……」
「さっさと差し出せっつってんだよ!」
……参ったなこれは。こういうテンプレは強姦魔だけでお腹一杯なんだが。
俺は再び溜め息を吐き、ポーリーがいる受付に足を運ぶ。そのポーリーもちょっと困ったような顔をしている。
「おはようございます、ソーマさん。なんというか、その、災難ですね」
「でしたね、じゃなくて、ですね、なのかい……おはよう。あいつら何なの?」
「彼らですか? レギオン『デスペラードスタンピート』です。それで、テーブルに足を乗せて態度の悪いのがレギオンリーダーのゲティ・バートン様です。あれでもB級冒険者で、確か二つ名は『ランペイジ』でしたか」
暴れん坊ねぇ。というかレギオン?
「あ、レギオンというのは複数のパーティが組まれたものです。ただ、レギオンにはランク等はありません。主に隊商の護衛等を受け持ったりします。あとは大型の魔物……例えばドラゴンを退治したりとか。でもあの人達がドラゴンを討伐したとは聞いたことが無いですね」
つまり烏合の衆、と。いや、あのゲティという男はB級だから周りの配下どもは金魚の糞と言うべきか。
それとユリシカでは唯一のレギオンだとか。なので隊商の護衛等を一手に引き受けているので、他のパーティには隊商護衛の任務はまず回ってこないのだとか。
まあ、それは別にいいのだが……
「ただ色々と問題のあるレギオンでして……特にゲティさんは英雄の曾孫ということで、その、誰も強く言えなくて……」
「英雄の曾孫ねえ……つまり七光りってことか」
俺はわざとらしく大きな声で言った。
「ソーマさん、そんなはっきり言わなくても……」
ポーリーが思わず苦笑する。どうやらポーリーもそう思っていたらしい。
「おい、魔王の子、聞こえたぞ。誰が七光りだって?」
そりゃわざとだし。
「まったく、二言目には七光りってよお。俺様は実力でB級にまでなったんだ。いい加減なことぬかすとバラすぞ、糞が……」
うわぁ、本格的に親の笠を被っている七光りのチンピラくせえ……今もぶつふつ何か呟いてる。
けど全然怖くない。実力も……まあ自惚れかもしれないが俺の方が圧倒的に上のような気がする。ひょっとするとジェイクより弱いのかもしれない。
「まぁまぁゲティさん落ち着いて。ゲティさんが実力でB級に登り詰めたのは俺らが全員知ってますから」
配下(?)の一人がゲティを落ち着かせる。ふむ、少なくとも配下には慕われているらしい。
「あ、そうだ。前に小耳に挟んだのを思い出したんですけどね、あの受付のウシ乳女、確かルミナス教から魔女認定されてましたぜ」
おいそこの配下A、お前何言ってんの?
「何、本当か? それなら俺達が浄化させてやらねえとなあ、そうだろう、みんなぁ!」
ゲティが舌舐めずりをし、ニタリと嫌な笑みを浮かべる。
「そうですぜ、俺らで浄化させましょうや」
「ぐへへ、俺、一度でいいからあの胸で挟まれてみたかったんだ」
「やっぱ最高ですよゲティさん! そこに痺れる憧れるぅ!」
「ヒャッハー、今夜は朝までパーティーだぜぇ!」
あの時の恐怖が甦ったのか、ポーリーが「ひっ」と声をあげ、顔を青ざめ後ずさる。
浄化というのはあの『浄化の儀』のことだろう。こいつら、俺を貶すくらいならまだしも、ポーリーに対してなんて下劣なことをしようとしてやがる。
「ポーリーは魔女なんかじゃない。あれはルミナス教の虚言だ馬鹿者」
「は? んなこと知らねえ。ルミナス教が認めたらそれが絶対なんだよ。邪魔だどけ、糞魔王の子が!」
ゲティが俺を睨み付けながら掴みかかろうとする。
そんなゲティを俺は腰を落とし、某ヴァーチャルな戦士の格闘ゲームで有名になった八極拳、鉄山靠をかける。「ぐえっ!」という情けない声をあげながら吹っ飛ぶゲティ。
「ああ、ゲティさん!」
「てめえ、ゲティさんになんてことしやがる!」
「俺達は善意で浄化してやろうって思ってたのによぉ……」
「貴様、死んだぞ……」
配下どもがギルド内にも関わらず武器を構える。魔法士に至っては詠唱を始めている。
多少の喧嘩はある程度は大目に見るが武器を持ち出すとなると、ましてや攻撃魔法を撃とうとなれば厳罰に処されるのだが、こいつらはそれに気付いていない。いや、寧ろ正当な行為だと思っているのだろう。
ルミナス教が俺に対するのと同じ考え。つまり「魔王の子や魔女には何をしても問題ない。俺達が正義」だと。
沸々と黒い感情が沸き上がる。それは怒り。俺だけでなく、ポーリーとオキュペテーにも危害を加えようとする屑どもへの憎悪。
「お前ら……死ぬ覚悟は出来てるだろうな」
剣に手をかけ、抜剣しようとした時、階上から大きな声がギルド内に響き渡った。
「何をしているのであるか!」
サブマスターのアルフレッドだった。
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