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1ー8 野営での出来事 VS狂狼

戦闘描写は苦手ですorz


2018/10/30

クライスの一人称を変更しました。

――警告。敵性反応有り。距離凡そ200m、数8、此方に気付き接近しつつあります。迎撃の準備を。


 ナビーさんの警告。反応があった方に目をやる。暗くて見えないが、とりあえず(ベレッタ)取り出す。

 それを見て気になったのか、エントゥアさんが尋ねる。


「どうしたのだ? ソーマ殿」


「何か来ます。それも8体」


「何?……分かった、ヘンリエッタ殿、皆を起こして下さい」


 畏まりました、とヘンリエッタさんが言い、起こしに行く。何かあった時のためだろう、ユフィ以外は直ぐに起きてきた。


「エントゥア、それにソーマ殿。一体何が……む、何かいるな」


 ルドルフさんが質問しようとして気付く。俺の場合はナビーさんの警告だけど、ルドルフさんは気配を察知したようだ。というか、もうかなり近づいている。ナビーさん曰く、距離30m……て近いな、おい。

 流石にそこまで近付くと正体がおおよそ分かる。


「犬……いや、狼か?」


 茶色い毛並みで体長は1mほど、TVや写真でしか見たことがない、日本では既に絶滅した犬科の動物、狼だった。


『グルルルル……』


「何だ、フォレストウルフか……」


 とクライスが若干緊張を緩めるが、他は緊張した

ままだ。


「違う。あれはバーサークウルフだ」「な!?」


 ルドルフさんの訂正でクライスが再度気を引き締める。しかしバーサークウルフか、名前だけ聞くとヤバそうなヤツだな。


――いえ、不本意ですがクライスさんの言う通り、あれはフォレストウルフです。ただ、狂犬病に罹患しています。


 狂犬病。哺乳類全般がかかる感染症だ。感染力こそ低いものの発症したら致死率100%の恐ろしい病気だ。

 が、それに罹患してるなら対処法はある。水を出そうとするが、バーサークウルフが一斉にかかってきた。


『ガァァァアッ!!』


「く、しまった!」


 対処が遅れてしまった。バーサークウルフが飛び掛かり、喉元を狙ってきた。それを避ければ良かったのに、左腕でカバーしまう。結果、


「あぐっ!」


 左腕を噛まれ、そのままのしかかられてしまった。しかもさらに2頭俺の方にくる。

 俺はのしかかるバーサークウルフの腹に銃を撃つ。


『ギャン!』


 1発、2発と撃ち込み、絶命したバーサークウルフを押し退け、倒れた状態のまま、向かってきたものの発砲音で動きが止まった2頭に目掛けて銃を放つ。動きが止まった相手を外す様な間抜けなことはしない。しっかりと頭部、額に命中させ、絶命させた。


 ルドルフさん達も難なく倒せたと思っていたが、エントゥアさんが負傷した。どうもエントゥアさんの方にも2頭行っていた模様で、1頭を倒した隙にやられたらしい。左太股を噛まれてしまった。


「ザマあないな。狼憑きで死ぬとは、魔王の子らしい無様な死に様だな。これで自分が言っていたことが正しいと証明された訳だな」


 クライスが突っかかる。いや何が正しいんだよ。分かる言葉で喋れよ。と文句を言おうとしたが、


「だが貴様のことはどうでもいい。それよりもエントゥアも狼憑きにかかるとは……くそっ!」


 と、エントゥアさんの元へ行ってしまった。しかし、狼憑き? ステータスを確認するとHPが10減り、状態が感染(狂犬病)となっていた。

 参ったな……ワクチンがあれば何とかなるんだが。


――造れます。


 はあ!? 流石に万能過ぎやしませんか? どう考えても俺よりチートじゃん。ナビーさん万能過ぎる……

 ワクチンを造るのに必要、ということなので、バーサークウルフの死体をストレージに入れる。分解して狂犬病ウイルスを不活化させ、ワクチンを生成するとか。うん、工程は分かるがどうやってするのか全然分からん。

 まあ、先ずは傷の治療からだ。俺もエントゥアさんの所へ向かう。それに気付いたのか、エントゥアさんが声をかけてきた。


「あぁ、ソーマ殿か。不甲斐ない。狼憑きにかかってしまったよ」


「それは俺も一緒なんで。けど先ずは傷の手当てをしないと」


「ジュニ……ソーマ、んなことしても意味ねーよ」


 流石のスピキオも軽口を叩く余裕は無いらしい。が、そんなことはお構いなしに応急手当を始める。


「おい貴様! そんなことしても」「治るよ」


「「「「「「「は?」」」」」」」


「だから治るよ。エントゥアさん、悪いけど傷口の部分の服、切らせてもらうよ」「ちょ、ちょっと」


 エントゥアさんが何か言おうとするが無視。ハサミで噛まれた所の布地を切り取り、水で付着した涎や血を洗い流す。そして脱脂綿を消毒液で浸し、


「滲みますよ」

「え……つっっっ!!」


 傷口に当てる。そして白い布を傷口に当て、それを包帯で巻く。初めてにしては上手く出来たと思う。


――はい、上出来です。それと完成しました。


 ナビーさんのお墨付きだ。

 ん? もう出来たの? 相変わらずいい仕事してますなぁ。


――恐縮です。


「待て、ソーマ殿。エントゥアを手当してくれたことには感謝するが、狼憑きは解呪の魔法が効かない程の『呪い』だ。それが――」


「ルドルフさん、それ前提からして違う。一応聞くけど、狼憑きの症状って最初は風邪の症状に似てるけど、その後極度に水や音を恐れ、錯乱するなどの興奮状態に陥り、痙攣、呼吸障害により死に至る。これで間違ってない?」


「あ、ああ。合っている」


「ならそれは呪いじゃない、病気だ」


「それは本当なのですか? ソーマ様」


 ヘンリエッタさんも半信半疑といったところか。俺は首肯し、


「俺のいたとこでも同じ症状の病気があるんだ。狂犬病っていうんだけどね。で、それを治すワクチンがこれ」


 と、ワクチンを取り出す。何かインスリンを射つ注射器みたいな形してるな。針も普通のよりかなり細い。


「あの、ソーマさ……ん、その、『わくちん』というのは」


 ユフィ、今ソーマ『様』って言いかけただろ。それほど気が動転してるって事か。ま、それは置いといて、


「特定の病気を治す薬、かな」


 と伝えた。薬とは少し違うが、こう説明した方が理解しやすいだろう。ま、例の如く、


「嘘を吐くな! どうせ毒だろう」


 クライスが突っかかってきた。確かに元はウイルスだから毒と言えば毒なんだが。


「クライス、このままだといつかは狼憑きが発動して死ぬ。仮にそれが毒だとしてして、今死ぬか、狼憑きで死ぬか、ただそれだけだ。それにもし本当に助かるのなら、私はそれに賭けたい」


 エントゥアさんは覚悟を決めたようだが、クライスが未だぐだぐだと何か言っている。


「クライス、君はソーマ殿に助けられるのは嫌なのだろうが、私は生きたい。まだ死にたくはないのだ」


「……」


 エントゥアの言葉に、流石のクライスも言葉が出なくなってしまった。

 俺は溜め息を吐くと、もう一本ワクチンを取り出し、クライスに手渡した。


「クライス、どちらか好きな方を選べ。俺もそれを射つんだ。選ばなかったのは返せよ」


「……………………ちっ。分かったよ」


 俺はクライスに背を向ける。クライスは一頻(ひとしき)り悩んだあと、


「これにする。ほらよ、残りのは返す」


 一本を俺に返す。どっちも同じなんだけどな。ところで、注射の射ち方知ってんの? つか結局俺が射つことになるじゃん。

 ワクチンをエントゥアに射って、次は俺の番。と、その前に。


「ソーマさん、私に手当をさせてください。」


 と、ユフィが言ったので、厚意に甘えることにしたのだが、実は激しく後悔している。何故ならば。


「えっと、この綿をこれに浸けて、えいっ」


 おもいっきり脱脂綿を傷口に押し付けたのだから――


「ぎゃああああああああああ!!!!」


 大絶叫をあげたのは言うまでもない。つか苦痛耐性仕事しろ。


 


魔物データ

フォレストウルフ:森林狼。名前の通り森林に住む狼。体長1m、茶色い毛並みが特徴。基本群れで行動する。稀に1頭で彷徨いている場合があるが、それは群れを追い出されたか、或いは番を探しているか。どちらにしろ単体で行動してるのは雄である。余程のことがない限り人は襲わないが空腹だとその限りではない。驚異度F。群れの場合はE。




バーサークウルフ:狂狼。狂犬病に感染したフォレストウルフ。極めて狂暴で誰にでも襲いかかる。水や音を極度に恐れる……のだが、この事は余り知られていない。バーサークウルフに噛まれた者は狂犬病(狼憑き)に感染する。狼憑きは呪いと勘違いされており、当然解呪が効かなかった。実際は解毒魔法で治癒出来る。驚異度E。




驚異度は魔物の強さ、被害度で決められる。S~Gまであり、Sは台風や大地震等の自然災害級、Gは無害。因みにゴブリンはF。


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