2ー37 化粧
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クロマリアからの協力の同意を得、アンナちゃんの治療の目処がたったが、問題が一つ。
「それで、私がアンナさんの元へ行けば宜しいのでしょうか? それともアンナさんをこちらへ連れてくるのでしょうか? どちらにしても厄介ですわ」
クロマリアの言う通りだ。クロマリアを黄金の林檎亭まで連れていく場合、彼女の肌の色が問題だ。フード等で隠しても誤魔化せきれるものではない。仮面を着けるとかあるけど、怪しさが半端無い。ドルトスの様に全身鎧を着込むにしても、歩けるかどうか。じゃあシンシアやここに来る客の様に誤認させる魔法を使えばいいのでは、とも思うが、あれは限られた範囲内の人物に効果があるのであって、外にいる人全員に誤認させるのは難しい。集団催眠なる魔法があるにはあるが、効率的ではない。
一方でアンナちゃんをここに連れてくるにしても、今の精神状態では危険だ。『スリープ』でも使えばいいだろうけど、あれはちょっとしたことで起きてしまう。悪夢に苛まれているアンナちゃんにはあまり意味が無い。スリープの上位魔法である『ディープスリープ』でも使えば話は別だが、生憎と俺は使えない。そして使える人は今現在目の前にいる。
「むう、こんなところに問題があったとは。ごめん、ちょっと考えなしだった」
シンシアも誤認していたのだから気付かなかったのは仕方ないだろうし、責められん。尤も、シンシアはクロマリアの正体を知っていたが、肌の色とか気にもならなかったそうだ。
「いや、仕方ないよ。さて、どうしようか……」
アンナちゃんを連れてくるのは却下だ。ならばクロマリアを連れていくしかないのだが、ふむ……
――マスター、アイテムストレージ内に使えるものがあるかもしれません。確認してはいかがでしょうか。
ストレージ内に収納されているアイテムを全て把握している訳ではない。元々俺の家に有った物だけでなく、何故か課長が持ってた酒なんかもあるのだ。
まあ、この際だし、ナビーさんの進言通り中を確認してみると、化粧箱と特殊メイクキットを発見。
………………化粧箱は兎も角、何で特殊メイクキットがあるんだ。てか誰が持ってたんだ。
だがこれで肌の色を誤魔化せる事が出来るか。俺は化粧箱をストレージから取り出す。
「それはなんですの?」
「これは化粧箱。これで何とか肌の色は誤魔化せると思う。とは言え、俺には化粧とかその手の技能は無いから、その辺はそっちでやってほしい」
「何が入ってるのか確認しても?」
「構わない。と言うか俺が持ってても仕方がないからやるよ」
「あら、ありがとうございますわ」
「ソーマ、私にも欲しい」
クロマリアは早速化粧箱を開け、中を確認しだす。因みにこの化粧箱と特殊メイクキット、個数が∞になってた。消費アイテム扱いなのか……
あとシンシア、何気にねだってきたな。いや、別にいいけどさ。嵩張るから後でな、とシンシアには伝えておいた。
尚、後日ユフィとポーリーも欲しがったので進呈した。流石に無駄に厚化粧するようなボケはやらなかった。まあ、ユフィはヘンリエッタにしてもらってたと言うし変な化粧はしないだろう。
そう言えば染毛スプレーなんかもあったな。これも∞だった。これで髪を染めれば変に絡まれる事はなかったんじゃないかと今更ながら思った。
「色々入って……まあ、鏡もありますのね。手に持てる大きさで、成る程、こうやって確認するのですわね。あ、これなんか誤魔化すのに良さそうですわね」
クロマリアが手にしたのは肌色ファウンデーションだ。手鏡で確認しながらファウンデーションを塗っていく。
「なるべく肌を露出しない方が良いでしょうし、服はこれでいいですわね」
と、クロマリアが服を着る。服を着れば不必要に塗る必要がない事は分かっていたようで、全身隈無く塗る事はしなかったようだ。尚、服を着る際、俺は後ろを向いていた。何はどうあれ、女性の着替えを見るものではない。
「出来ましたわ。これで如何でしょうか?」
どうやら終わったようだ。そこにいたのはグラマラスなハーフエルフ。服は娼婦が着るようなきわどいものではなく、露出が低いもの。どちらかと言えば清楚な感じだ。袖は長く、二の腕まで隠れている。スカートも踝を隠す程のロングスカート。彼女本来の青い肌は見えない。ただ白目が黒目なのだが……
サングラスってこの世界にあったっけ?
――一応存在します。かなり高額ですが。
なら問題ないか。俺はクロマリアにサングラスを手渡す。流石に消費アイテムではないので、これだけしか無いが。
「あらあら、こんな高価なものまで。私、貴方にどれだけサービスをしなければならないのでしょう」
と、にっこり微笑むクロマリア。いや、しなくていいです。と言うか……
「やるとは言ってないんだが……」
「あら、これは失礼しましたわ。少し舞い上がってしまったようですわね」
クロマリアはてへっと舌を出す。どちらかと言えば妖艶な感じのクロマリアだが、こういう可愛い仕草もするんだな。娼婦はそういう男心を掴む術を持っていますの、とはクロマリアの言。
因みにサングラスの価格は3000ディール。うん、高いな。
「では、そのアンナさんの元まで案内してくださいませ」
準備も出来、俺達は黄金の林檎亭へ戻った。アンナちゃんの心を治す為に。
「ねぇ、ソーマ様、ご利用の際は是非私をご指名くださいませ。その時はたっぷりとサービス致しますわ。口でも、胸でも、当然……でも」
……この人、夢魔じゃなくて淫魔ではなかろうか?
やっぱりサキュバス脳なクロマリア。




