2ー34 あーん
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ガルドを文字通り処分し、その事をブランドンに伝えた。
ブランドンは無表情のまま「そうか」の一言で済ませた。いくら問題があったとはいえ、自分の息子を殺されたのにその対応は冷たい気もするが、親子の縁を切ったから生きようが死のうが知った事ではないのだろう。ブランドンにはどこかそういう冷たさがある。
代わりにスラムの子達には孫みたいに接するようだが。尤も、金儲けという裏はあるのだろうが。
娼館――鳥姫館の方だが、気に入られたのかどうか知らないが、俺に運営しないかと言ってきたが、丁重にお断りした。
童貞に運営任せてどうするんだ。
それとケリーの事について聞こうとしたが上手くはぐらかされてしまった。あまり触れたくないらしい。ただ、
「ガルドとシェーラが居ないならアレは無害だ」
と言っていたから問題は無いのだろう。尤も、色々あって会うことになるのだが、それはまだ先の話だ。
あとガルドがルクセラを栽培していたことも後に判明し、それら全て焼却処分となった。
以上のことをギルドマスターに報告したら、
「まさか1日で解決してしまうとは」
と、驚き半分、呆れ半分で返された。
実際ここまでトントン拍子でいくとは俺も思っていなかったが。それとガルドを殺した件については、
「仮に捕縛してもどうせ処刑されるだろうから別に問題ない」
だそうだ。
因みに、どういう訳かガルドを殺したことに対して不快感とかそういうのは感じなかった。確かに今までに、ユフィを襲った盗賊(を装った暗殺者)やワイズの命を奪ったのだが、盗賊の時はユフィ達を助ける為に無我夢中だったし(後から不快感が押し寄せたが)、ワイズに至っては悪魔化したから不快感すら無かった。
人を殺すのに慣れてしまったのだろうか。だとしたら嫌な慣れだな。
兎も角、これで俺の処刑騒ぎから続く色欲の粉関連は全て片付いた事と相成った。
☆★☆★☆★
「と、まあ、そういう訳だ」
俺はアルザード達に今回の事を話した。別に口止めとかされていなかったし、それにその内街中に拡がる事だろう。
「成る程ねえ。で、その娘が話に出てきたハーピークィーンのオキュペテーね。私はエレナよ、宜しくね」
「ソダヨー、ヨロシクー」
「にしても、えらく可愛い娘を従魔にしたな。その代わり宿泊費が増えたッてか」
アルザードがニヤリと笑う。
全てを終え、黄金の林檎亭に戻った俺は今まで使っていたシングルからツインへと変えることになった。オキュペテーと一緒だとシングルでは手狭になるから仕方がない。
というか、シンシアを始め、ユフィやポーリーが乱入した時はかなり狭かったな。おまけにベッドの中に入り美人局紛いの事をしたりとか……いや、今は忘れよう。
「お待たせしましたー! 今日のおすすめです、ごゆっくりどうぞー!」
アンナちゃんが料理を運んできた。今日のおすすめメニューは初日に食べたステーキだ。尚、サラダにはマヨネーズがかけられている。
「そんじゃ、頂きます」
俺は早速フォークとナイフを手に取り、適当な大きさに切り分け、口に入れる。噛む度に肉汁が口の中に溢れる。やはりここの飯は極上だ。
そこでオキュペテーが料理に手をつけてないことに気付く。
「どうした? 食べないのか?」
「アノ、御主人……ソレ、持テナイカラ、食ベレナイ」
「……あ」
失念していた。オキュペテーの腕は翼になっている。人間のような手はないから、物を持つことは出来ないのは当然だ。スープとかなら何とかなるが、流石に熱せられたステーキの鉄板となると……
「ソノ……食ベサセテ」
……つまり、あーん、だ。難易度の高い要求が来たぞ。
アルザードはニヤニヤしてるし、エレナは早くあの娘に食べさせなさいよ、と急かす。マシューはニコニコしながら「善哉、善哉」とか言ってる。何が善哉だ。ドルトスは兜被ってるから分からん。何処のゴブ○レさんだとツッコミをいれたくなる。
そしてシンシアだが、悔しがっている。すっげー悔しがっている。血涙を流しているように見えるのはきっと気のせいだ。
人前であーん、とか恥ずかしいんだよなあ。けど背に腹は変えられないし、腹を括るか。
……レッサーデーモンを倒す時よりも難易度が高いような。
兎も角、食べやすいようにステーキを一口サイズに切り分け、フォークを刺す。
「オキュペテー、ほら、あーん」
「アーン」
口を開くオキュペテーにステーキを食べさせる。なんというか、仕草が鳥っぽい。そうだ、雛にご飯を食べさせるようなものなんだ。何も緊張することはないんだ。緊張することは……
「ン~、スッゴクオイシー。モット、モット頂戴」
オキュペテーが目を輝かせて催促する。またオキュペテーにあーんさせて食べさせる。
「モットォ、モット、頂戴」
……字面だけだと何処と無くいけない事をしているように思えてくるのは何でだ。
「ぐぬぬぬぬ……」
シンシアが悔しそうに唸る。そんなにしてほしいのか。けどしないからな。絶対しないからな!
だが俺はシンシアを侮っていた。
「ぐぬぬ……だったら、私が、ソーマに食べさせてあげる」
「……は?」
「ソーマは、オキュペテーに、ご飯をあげてるから、自分のを、食べられない。だから、私が食べさせる」
「………………はあ!?」
そうきたか。
シンシアがステーキにフォークを刺し、俺の口許へと運ぶ。
「あーん」
「いや、ちゃんと自分で食べるから」
「あーん」
「だからオキュペテーに食べさせ終わったらちゃんと食べるから」
「熱いうちが美味しい。冷めたら固くなって味が落ちる。あーん」
「うぐ……」
「あーん」
――人の善意を無下にするのはどうかと。
……ナビーさんに退路を絶たれるとは!
俺は意を決し、差し出されたステーキを口に入れる。それを見たシンシアは満足そうに頷く。
なんて羞恥プレイだ!? おかげで味が分からないじゃないか! おまけにシンシアはフォークを口に含み、俺が口に含んでいた部分を舐める
「ん……間接キス……はふ……」
と、瞳を潤ませ、恍惚な表情を見せる。
変態や。変態がおる……てかその表情、人前でやっちゃいけないのだから!
「ほら、ソーマ、あーん」
「御主人ン、モットォ」
何で飯食うだけで精神削られなあかんの!?
……時間空けすぎた。
シリアスが続いてたから仕方がないとは言え、何でこんな内容に……




