2ー24 指名依頼
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「おはようございます、ソーマさん。ギルドマスターがソーマさんが来たら執務室に連れてくるように言われまして。来ていただけますか?」
次の日の朝。暁の面々と冒険者ギルドに立ち寄り、受付に向かう。そしてポーリーの第一声がそれだった。
「ギルドマスターが? はて……俺何かしたっけ?」
「そういう訳ではないですが……兎も角、行きますよ。ギルドマスターが待ってますから」
残念ながら今日は暁と一緒に依頼を受けることは出来ないらしい。尤も、個人個人で依頼を受けるつもりではあったのだが。特にシンシアが悔しがっているな。
兎も角、俺はポーリーに連れられて執務室へと向かった。
「失礼します。ソーマさんをお連れしました」
ポーリーはドアをノックすると、中に居るギルドマスターに俺を連れてきたことを伝える。程なくして中から声が聞こえた。
「どうぞ。中にお通ししてくれ。それと、君も中に入ってくれ」
「はい、失礼します」
ポーリーがドアを開け、俺を中に入れる。ポーリーも一緒だ。
「失礼します」
中に入ると机にギルドマスターが席に着いている。相変わらず顔に特徴がない、と言うか存在感が薄い。恐らく部屋から出たらもうギルドマスターの顔を思い出せないだろう。
「おはよう、君がB級になって以来だね。君の活躍は聞いているよ」
「は、はあ……」
俺は曖昧な返事をする。別に俺の近況を聞きに態々呼んだ訳じゃあるまい。
「それで、今日はどのようなご用件で?」
「うん。前にも言ったと思うけど、君に依頼を頼みたい。断るのは構わないが、正直断るのは勘弁願いたいところだがね」
「断るも何も、先ず依頼内容を聞いてからでないと」
「それもそうだね。とりあえずは席に着こうか」
俺とポーリーは促され、ソファに座る。当然ギルドマスターが上座で、それに向かい合うような形だ。
はてさて、その依頼内容だが。
「先ずはこれを見てほしい」
ギルドマスターはそう言うと、何かを包んだ紙を机の上に置いた。粉薬を包んだ紙のような。
因みに、羊皮紙とは別にこの包み紙のような和紙に似た紙は存在する。ただし、基本レン国からの輸入品であり、手間がかかるため羊皮紙よりもかなり高価だったりするのだが、それはさておき。
「中を開いても?」
「構わないが、決して口に入れたりしないように」
ということは何か毒物か何かだろうか。包みを開くと、やはり粉薬が入っていた。やや濁った白い粉末だが……はて?
「色欲の粉だ」
ギルドマスターが答える。それを聞いた俺は苦虫を潰したような顔をしたと思う。ポーリーも肩を震わせる。
俺、というかポーリーは色欲の粉に良い思いがない。これはポーリーに限らず、ユフィやリサさん達、あの時捕らえられた人達全員に言えることだが。
「ユリシカに限らず、どこの街でも所持または使用は違法となっている。製造は言わずもがなだ。で、だ。ソーマ君にはこれの流通ルートを調べて貰いたい」
要するにマトリ――麻薬取締捜査官の真似事をしろということか。けどそういうのズブの素人に頼むものなんですかね。
「先だって、憲兵団も調査したのだが、足取りはおろか、尻尾すら掴めなくてね」
「それは……憲兵が無能だったか、相手が有能だったか。はたまたその両方。足取りが街の外に向いてる可能性もありますね。そうなると街の憲兵では手の出しようがない。最悪、憲兵と犯人がグルになってる可能性も否定出来ませんね」
「その辺は自分と考えが同じか」
「凄いですね。ソーマさんは教養があるだけでなく、このような推理も出来るんですね」
ギルドマスターもほぼ同じ意見か。あと、ポーリーは誉めてくれるが、これくらい少し考えれば誰だって思い付きそうなものだが。
「ところで、何で俺に?」
「先の一件の後始末、というか、まあ、君に関する事だからね。ひょっとすると奪われた君の武具も見つかるかもしれない」
俺の武具、黒鉄の剣と火鼠の革鎧は未だ見つかってない。特に剣の方はガラフが打った中でも最高級のものだ。どうしても取り戻したいところだ。
「報酬額は2万。受けてくれるかい?」
おおう。貴族の年金の倍ですよ。これが依頼の相場より高いかどうかは別として、元の世界にいた頃には考えられない額だな。
「……分かりました、断る理由も無いですし、いいですよ。それで、街の地図はありますか」
「あるにはあるが……そこまで細かい物ではないぞ」
「それで構いません。あと魔石を一個貰えます? ゴブリンのでいいので」
「ゴブリンの魔石? いったい何に使うのかい」
ギルドマスターが怪訝な表情を見せる。ポーリーも地図は兎も角、何故魔石がいるのか理解してない様子。
当然だ。今からするのは失伝魔法を使った物探しなのだから。
「それじゃあ、地図と魔石を持ってきますね」
そう言うとポーリーは執務室から逃げるように退出した。
「……ポーリー、少し様子がおかしかったような」
「だろうね。例え色欲の粉の毒素が身体から無くなったとしても依存性は残る。こればかりはポーリー君次第だろう」
麻薬等を接種した人が禁断症状に耐え、快復したとしてもまた手を出してしまう事は多々ある。ポーリーも一度は接種してしまったのだ。あの強烈な快楽を得ようと手を出してしまう可能性は無くもないのだ。
だがポーリーはそれを耐えきった。よく我慢したものだ。
「ま、それよりも強烈な体験をすれば薬に手を出すことも無いだろうけどね。この色欲の粉はね、服用して性行すると、その体験が忘れられなくなるんだ。そして酷い禁断症状が出て、再び手を出す。それで何人もの人が廃人になってしまった。幸い、ポーリー君は性行までは至っていなかったようだし……ここは一つ、人助けと思って彼女と致してみるのはどうかい?」
……おいこらおっさん。何下世話な事言っちゃってるの。
「そそ、そういうのはポーリーの意志を尊重してからですね…………」
あれ? でも先日俺に迫ってきたよな。いやそれでもやはりムードとか色々大事だと思うんだ。てかまだ付き合ってないのに、色々吹っ飛ばしてしまうのは駄目なんじゃないかなあ?
――マスターのヘタレ。
ヘタレちゃうわ! 単に慎重なだけだ!
――それをヘタレと言うんです。
……ぐうの音も出ねえ。
遅くなりました。




