2ー23 マヨネーズ
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結局、あの場に居た冒険者全員(ただしアルザードとドルトスとシンシア、ジェイク、サブマスターは除く)と戦う羽目になってしまった。
そして周りには屍の山――
――死んでません。
……兎も角、その様相は死屍累々と言ったところか。
俺も肩で息をしている状態だ。銃の訓練したかったんだが、どうしてこうなった。
「あの、ソーマさん、大丈夫ですか?」
そもそも発端はポーリーのうっかり発言のような気がするが。そして先の公認発言。
「怪我はしてないけどすっげー疲れた……」
「ええっと、そのー、ごめんなさい」
ポーリーはもう少し自分の発言に気を付けた方がいいと思う。
☆★☆★☆★
その後、アルザードから迷宮で得た収入の取り分を貰い受けると、俺達はそのまま宿屋へ帰った。昼を過ぎてしまったので、食堂の客は疎らだ。
俺とシンシアは同じテーブルに着き、俺はサイコロステーキと野菜のサラダを、シンシアはハンバーグと牛乳を注文する。そして――
「あ、僕もハンバーグと野菜サラダ、それとリゾットをお願いします」
「……ジェイク、何故居る」
ジェイクが付いてきた。しかもちゃっかり同席している。
「はは、何をそんな。僕とは剣を打ち合った仲じゃないか」
いや、それだとさっき俺がのしてきたその他冒険者もそうなんだが。それにさっきからシンシアが頬を膨らませて、不機嫌そうな顔をしている。
これは絶対何かしようとしてたな。お互いにあーん、とかそんなこっぱずかしい事を。
「ソーマと、二人で『あーん』ってしたかったのに。食べさせあいっこしたかったのに。このお邪魔虫」
……本当にやろうとしてたのか。
「……俺はやらんぞ」
「あ、どうぞお構い無く」
「そう? ならソーマ、食べさせあいっこしよう」
「だからしないって」
「むう、いけず」
いけずじゃなくて。てか何でそんな羞恥プレイをせにゃならんのか。
「はは、二人とも仲がいいね」
「ん、戦闘でも相性バッチリ。相思相愛」
「相性は兎も角、相思相愛は違うからな。まあ好きか嫌いかで言えば好きなんだけど。俺的には友達感覚かな。それに好きな娘居るし」
ジェイクの発言に気を良くしたのか、シンシアの機嫌が直る。
それにしても、ジェイク、えらくフレンドリーになったもんだな。こっちが素なのか?
「好きな娘……それってポーリーちゃんのことかい?」
「はずれ。お姫様」
「お姫様……ユーフォリア様のこと? え、三股?」
いや三股て……それだと俺が節操なしに思われるだろうが。
――違うのですか? 失礼、三股ではなく四股でしたね。私を含めると五股?
違うよ! てか何で股増やすの!? 後一人は誰!?
「お待たせしましたー! はい、シンシアさん、お兄ちゃん」
アンナちゃんが俺達の食事を運んできた。
――最後の後一人です。
いや、アンナちゃんは妹としてしか見てないからね。そこんとこ間違えないでくれる?
「それと、えーと……」
「ジェイクだよ、よろしくね、可愛いお嬢さん」
「か、可愛いだなんて、そんな……ど、どうぞ、ごゆっくり!」
ジェイクのあからさまな言葉にアンナちゃんが頬を赤らめ、その場から足早に立ち去った。照れてるな。て言うか――
「ジェイク、お前女の子なら誰にでもああやって声かけるのか?」
「え? 何を当然な事を。女性に声をかけないなんて失礼じゃないか」
ジェイクが真面目に答えた。
つまりシンシアも一度はジェイクに声をかけられたのか?
「私、ない」
「だそうだが、ジェイク、これは失礼にあたるんじゃないのか?」
「あー、一度は声をかけようと思ったんだけど、思いっきり睨まれてしまって……」
「ナンパ男は好きじゃない」
「ごふっ!」
成る程。てかジェイクが思いっきり項垂れてるんだが。
あれ?
「なら俺はどうなんだ? 散々女誑しとか言われてるんだけど?」
「ソーマは、ナンパじゃないから。それに優しい」
そうなのか。そうなのか?
「それは兎も角、早く食べよう。冷めると味が落ちるからな」
決して不味くなる、とは言えない。
先ずはサイコロステーキを一口。噛んだ瞬間に肉汁が溢れだし、肉の旨味が口いっぱいに広がっていく。
「ん~、美味い! 肉も柔らかくて最高!」
「ん、いつ食べても美味しい」
「これは……! 何と素晴らしい味なんだ。僕の実家の料理とは比べ物にならない!」
貴族の料理より美味いときたか。
次に野菜サラダに手を伸ばす。葉野菜のシャキシャキ感が何とも堪らない。のだが……
「美味いけど、何か物足りないと言うか……」
「そうかい? 充分に美味しいと思うけど」
何か、何かが……あ。
俺はサラダを一気に掻き込むと、
「アンナちゃん、野菜サラダおかわり。ただし何もかけないで」
「はーい、ただいまー……え? 何もかけないの?」
「そう、よろしく」
アンナちゃんが理解不能な感じで注文をとる。シンシアもジェイクもきょとんとしている。
「オイルも何もかけないって、どういう……」
まあそうだろうな。何かしらドレッシングオイルがかかってないと案外キツい。
だが俺もすっかり忘れていたよ。ストレージにはアレが入ってたじゃないか。
そう、マヨネーズが!
野菜サラダが運ばれてくる。注文通り何もかかっていない。俺はマヨネーズを取りだし、野菜サラダの上にかける。そして一口。
「これ、これだよ! 何で今まで忘れてたかなあ!」
美味い。久方ぶりのマヨネーズは最高に美味かった。
「なあ、それってまさか……」
「マヨネーズ」
「「えーーーーーー!!」」
「やっぱりか! 王族にしか口に入れることがないという!」
シンシアとアンナちゃんが驚愕の声をあげる。てかジェイクよ、今なんて言った。王族にしか口に入れることがない?
「え? マヨネーズってそんなに高級なのか?」
「高級と言うか、王宮料理人しか作り方が分からないんだ。門外不出なんだよ」
「ふむ、そんなに難しくはないんだが。まあ、凄い労力はいるけど」
「お兄ちゃん、マヨネーズの作り方、知ってるの?」
「作ったことはないけどね。知識としては知っている」
「そ、そうなんだ……おとーさーん! お兄ちゃんマヨネーズの作り方知ってるってー!」
と、アンナちゃんが大声で奥に居るアンナパパ(だから名前知らないんだよ)に伝える。ただ、あまりに大きな声だったから――
『な、なんだってー!!』
まだ食堂に居た一部の商人達が驚きの声をあげる。思わず『キ○ヤシ!』と言いかけたがそれはさておき。
やはり門外不出ということでマヨネーズのレシピには高値がつくのだろう。尤も、知ったなら知ったで「え、そんなもの?」と思うんだろうが。
「お兄ちゃん! お父さんが作り方教えてくれって、今すぐに!」
「ちょっと待ってくれ。せめて食い終わってからにしてくれ!」
と、いう訳で、マヨネーズの作り方を教えることになった。
その後、マヨネーズは街中に広まる所となり、ちょっとした食事改革となったのはまた別の話だ。
ところで門外不出を勝手にバラしちゃったんだけど、罪に囚われないよね? よね!?
これ書いてたら無性に肉が食いたくなった。てか余計に腹が減って……
飯前に書くんじゃなかった……




