2ー11 ユリシカ迷宮第一層 魔物部屋その2
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現れたのは剣と盾を装備した、ゴブリンをそのまま大きくした魔物と、小型の熊が二本立ちしたような全身毛むくじゃらの魔物だった。大ゴブリンが5、毛むくじゃらが15、総勢20匹の魔物の群れだ。
「おいおいおいおい、ホブゴブリンとバグベアがこんなにかよ。暫く誰も魔物部屋に入ってなかったな」
アルザードが愚痴る。
ホブゴブリンとバグベア。どちらもゴブリンの亜種だ。
ホブゴブリンはそのままゴブリンの頭身を上げた感じの魔物で、身長は成人男性並、体格は人並み以上。当然ゴブリンとは比較にならないほどの戦闘力を有する。しかも何らかの武器技能を所持しているから場合によってはオーガよりも戦いにくい。現れたホブゴブリンは装備から察するに、剣術と盾技能を持っているだろう。
バグベアはゴブリンを一回り大きいくらいの毛むくじゃらの魔物で、名前の通り、立ち上がった熊に似ている。魔物、と言うかゴブリン種としては珍しく、群れず、しかも一対一で戦うので人的被害はあまりないが、高い格闘能力を有しており、その戦闘能力は侮れない。ホブゴブリン、バグベア共に脅威度はDである。
どちらも単体ならば俺や暁の面々なら、然程問題は無いのだが、複数、特にバグベアは脅威だ。ホブゴブリンは5匹纏めて出ること位は迷宮でなくてもあるそうだが(それでも滅多にない)、バグベアの集団は迷宮内でしか確認されず、しかもそれが一斉に襲ってくるのだ。バグベアの習性完全無視である。
兎も角。
「エレナ、ソーマ! 魔法で数を減らせ!」
アルザード声に従い、俺とエレナが同時にファイアレインを放つ。二人同時だと火矢の雨というより火の滝みたいだな。数を減らすどころか全滅してもおかしくないだろう。
「おお。やった?」
シンシアが感嘆の声をあげるが、それフラグや……
火の雨ならぬ火の滝が地面へと降り注ぎ、魔物達を火で埋め尽くす。全ての火矢が注ぎ、いざ確認すると……
生きてました。
ホブゴブリンが2匹、バグベアは5匹に減ってはいたけど全滅してませんでした。いや嘘だろ!?
だがよく見ると生き残ってる者も多少は手傷を負わせている。だがバグベアよ、何であまりダメージを負ってないんだ。
ホブゴブリンは分かる。咄嗟の判断で盾で防いだのだろう。倒れたヤツは盾防御が間に合わなかったからだ。だがバグベアは……?
「バグベアは魔法や矢を払い除ける事が出来るの。ファイアボールなんかは着弾する前にはね除けたりもするわ」
エレナが疑問に答える。あの火矢の豪雨を払い除けるとか、どういう身体能力と動体視力をしてるんだか。ただ流石に全ては捌ききってないようだが。討たれた残りは捌ききれなかったというより生き残りが捌いた火矢が他のバグベアに当たって自滅、というところか。
「エレナはMP温存、シンシアは弓で牽制、ドルトスは生き残りの気を牽け。ヘイトはエレナとソーマに溜まっているからな。しっかりと引き付けとけよ。その間に俺とソーマで潰しにかかる。マシューは回復、判断は任せる」
アルザードが的確に指示を出し、俺達はその指示通りに動く。
「さあ、こっちに来やがれ魔物ども! 俺を倒せるものなら倒してみろ!」
ドルトスが挑発し自身にヘイトを集める。生き残りのうち、バグベアがドルトスに向かっていく。
タンクという役割はただ仲間を敵の攻撃から守るだけではない。あのように敵を引き付け、他の者に攻撃が行かないようにする重要な役目だ。その分、装備を固めたり、逆に軽装で回避に徹底したりと防御や回避に重点を置いている。
そう言えばヘイトを集める技能があったっけ。
アルザードはホブゴブリンを、俺はバグベアを相手にする。数はバグベアの方が多いが意識はドルトスに向いている。
シンシアが弓で俺を支援する。生憎バグベアがそれに気付き弓を払い除けるが、その隙に銃弾を撃ち込む。上手く額に命中し、これで残りは4。今のでヘイトが俺に移った様で、残りのバグベアが俺に向かおうとするも、ドルトスが手にしている槍で挑発。2匹はドルトスに向かった。ドルトスは手にした槍で攻撃する。だがバグベアはそれを巧みに避け、それどころかカウンターを狙ってくる。
俺はバグベア2匹を相手取る。連携するつもりはないのだろうが、何故かタイミングよく互いが攻撃してくる。反撃に移ろうにも上手くいかず、防戦一方。バグベアの突きや蹴りをかわし、銃を突きつけようとするも円運動をとり、上手く照準が定まらない。
だが、シンシアの弓の牽制で一瞬だけ動きが止まる。その僅かな隙を狙って銃弾を放つ。生憎と照準が上手く定まらなかった為、命中したのは右肩部分。だがそれでも充分、バグベアはあまりの激痛からか完全に動きを止め、その隙にシンシアが頭部を狙い撃ち絶命する。そして残りの1匹も俺とシンシアとの連携で討ち取られた。
ドルトスの方を見ると、こちらも1匹は討ち取った模様で、俺は完全にドルトスの方に目がいっているバグベアを背後から撃ち、バグベアの背中に当たる。そしてドルトスが槍で喉を突き刺し、あえなく絶命。これでバグベアは全滅だ。
「まさか背後からの攻撃を卑怯とか言わないよな」
「騎士じゃあるまいし。そもそも魔物に騎士道精神とか意味無かろう」
俺の言葉にドルトスが返す。そのドルトスだが、やはりバグベア4匹の攻撃は熾烈だったのか、怪我を負った。
とは言え、それでもたいした怪我ではない辺り、ドルトスの防御の上手さが伺える。
一方、アルザードの方も終わった様だ。魔物の噴出も止まった様で、湧き出る気配はない。
――魔素残留濃度が定位置を切りました。暫くは出ないでしょう。
ナビーさんのお墨付きだ。俺は武器を仕舞い、構えを解く。
それにしても、並の冒険者だと一人で2匹のホブゴブリンを相手にするのは無謀なことだがアルザードは然程苦にならないらしい。
「いやいや、あいつらオーガと違って技能を駆使して戦うからな。割りとしんどいぞ」
と言うものの、割りとあっけらかんとしているから、そうは見えないんだが。
「まあ、罠とか強引に破っていくタイプですからね、アルザードは」
とマシューが軽口を叩く。
「いや待て。流石にそこは慎重に動くぞ」
「嘘仰い。以前山賊狩りで罠に嵌まったのを強引に力で捩じ伏せたのは何処の誰よ」
アルザードは反論するもののエレナがあっさりとそれを否定する。他の皆もうんうんと首を縦に振る。
「成る程、アルザードは脳筋なのか」
「脳筋?」
「脳みそまで筋肉で出来てるような考えなしのこと」
「成る程……間違ってない。アルザードは、脳筋」
「ちょ!? ソーマ、シンシア、それ酷くね!?」
俺とシンシアのやり取りを聞いてか、アルザードが激しく否定するも、エレナの「脳筋ね」発言に敢えなく撃沈するのだった。
「ところで、私とソーマの連携、息ぴったりだった。やはり、ソーマは運命のパートナー。早く結婚しよう」
……何故そうなる。
明けましておめでとうございます。
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