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2ー5 薔薇の勧誘

お読みいただきありがとうございます。

面白いと思ったら評価やブクマ、感想等をしてくれると嬉しいです。レビューとかしてくれると狂喜乱舞します。

 あれから色々と聞いた。

 一代限りとは言え貴族になったので、国から一年毎に支給金として1万ディールが支給される。5000ディールあれば一年は暮らせるので破格ではあるが、冒険者は色々と入り用なので微妙なところだ。

 それとB級冒険者になったのでほぼ全部の依頼を受けることが出来ることになった。また自由依頼を受付で受注する必要が無くなった。そしてこれが一番重要だが、指名依頼が来ることがあるそうだ。これは迂闊に断ることが出来ず、断ったりしたら信用関係を大きく損ねることになるので、断らないように、とのこと。

 また、近々俺に指名依頼を出すかもしれないとのこと。どうやら先の一件の後始末のようだが。こちらとしても装備品が返ってきてないので、それに関わることなら願ってもない。

 そして、


「あの、お父様。私、ソーマさんと結婚を――」「却下」


 ユフィが俺と結婚したいことを告げようとして速攻で却下された。


「ええ!? 何故ですか!?」


「うーん、僕もユフィの気持ちを尊重したいんだけどね。生憎とソーマ君には貴族としての実績がない。無名でポッと出の、しかも準男爵だと他の貴族が黙っていないだろうね。特にクリスト家の財産を獲ようとユフィに近付く輩はね」


 そう言えばワイズも狙ってたけど、どれくらいの資産なんだろう?

 少し気になったので聞いてみたら――


「確か7~80億ディールだったかな」


 とんでもない額だったよ。正直多すぎてピンと来ない。だが成る程、ユフィの婿になればクリスト家を継ぐことになる。それは必死になるだろう。今でも財産目当ての見合い話が来るらしく、伯爵はそれを断るのに大変なのだとか。と言うか業務の5分の1がユフィの見合い相手の見極めだとか。酷い時は伯爵とほぼ同じ年齢の奴が来るらしく、しかもスケベな眼でユフィを見るものだから、物理的に叩き出すのだとか。


「まあ、何か実績を積めば僕も吝かではないけどね」


 とはクリスト伯爵の言である。要するにユフィと結婚したけりゃ死ぬ気で頑張れ、ということだろう。


「ならわたしは良いですよね? ね?」


 ポーリーが食いついてくるが、こっちはこっちで厳しい。先ず家がない。ならば購入すれば良いという話になるが、貴族の家は正直言って高い。確かに相応の金は持っているが、最低でもメイド一人は雇う必要があり、そうなるとかなり厳しくなる。

 なので俺が実績をあげ、クリスト家の婿養子になりポーリーを迎えるのが一番良いだろう。

 その事をポーリーに告げると渋々納得したようだ。


 まあ、一般居住区の家を購入しても良いのだが、そうなるとポーリーが同棲すると言い出し、確実に爛れた生活を送ることになるだろう。


 ……別に爛れた生活送っても悪くないか。


――ユーフォリア様が激怒しますけどね。


 やっぱ無しで。



 ☆★☆★☆★



 話が終わり、一階に降りる。冒険者の大半が俺の胸にある銀のタグを見て羨望と嫉妬の視線を向けてくる。


「入って1ヶ月足らずでB級かよ……」

「レッサーデーモンを一人で倒したんだろ。すげーよな……」

「私も早くB級になりたいなぁ。そしたら玉の輿狙えるかも……」


 だが中には敵意剥き出しの者も居た。恐らくは俺の事を嫌っていた、処刑を見に来ていた連中だろう。


「魔王の子の癖に……」

「インチキ野郎が……」

「実力もねえ奴が偶々倒しただけでいい気になってんじゃねーぞ……」


 その悪意の言葉を投げ掛けた冒険者を見、溜め息を吐き一言。


「だったら模擬戦でもやろうか。当然武器はレッサーデーモン倒したヤツだが、どうする?」


「…………チッ」


 悪態を吐いた冒険者達は舌打ちするとギルドから出ていった。

 そんなだからランクが上がらないんだよ、そんな悪態吐く暇があったら自分を鍛えて依頼を受ければ良いのに。

 そんな中、嫉妬とも悪意とも違う視線を感じた。その人物に目をやる。

 そこには一人の男が足を組みながら座っていた。顔は……良い方だろう。濃い茶色の髪を短く切り揃えている。なんと言うかツナギが似合いそうな、そんな感じだ。

 その男は徐に胸をはだけさせ、俺に向かってこう言ってきた。


「やらないか?」


 ……………………をい、ちょっと待て。俺は後ずさる。異世界に来て何でその言葉を聞くはめになるんだよ。しかも対象俺だよ。背中がぞわぞわしてきた。


「な、なあ、ポーリー。あの人、誰?」


 俺はポーリーに彼の事を訪ねる。


「イーサッジ・アベナルさんですか? ソーマさんと同じB級冒険者ですよ。実力も確かです。確か二つ名は……『薔薇男』。噂では男色家だとか」


 マジかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! やっべえのに目を付けられたぁぁぁぁぁぁ!!


「やらないか?」「全力で断るっ!!」


 冗談じゃねえ! 俺は至ってノーマルなんだよ!


「ふっ、そんなに怖がるなよ。安心しな、優しく相手してやるから。俺はノンケだって食っちまう漢なんだぜ」


 絶対嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 

 そんな阿鼻叫喚な俺に天の助けとも言える声がした。


「イーサッジ! いい加減その坊やを勧誘するのを止めな。どう見ても嫌がってるだろう」


 少しハスキーな女性の声だ。


「嫌よ嫌よも好きの内、と言うじゃないか。彼のはそれだよ」


 勝手に決めつけてくるイーサッジ。だからちっげーよ!


「そうやって今まで何人の男を食ってきたんだい! 全く……坊や、お姐さんが来たからにはもう安心だ」


 何とも頼もしい言葉か。声の主の方を向くと――


「んなっ!!」


 とんでもない格好をした美人のお姉さんがそこにいた。

 紫色の髪は肩まで切り揃えられ、同じく紫色のキツめの瞳。唇には真っ赤な紅を差している。身に付けている黒の革鎧は彼女のボディラインをくっきりと浮かび上がらせている。と言うかアレだ、ボンデージスーツだ。そして腰には鞭……


「女王様かよ……」


「えーっと、彼女はクォール・ミックウィンさん。やはりB級冒険者で、二つ名は『黒薔薇の女王』」


 二つ名も女王様かよ!!


「この坊やは前から目につけてたんだ。さあ、坊や、私の仲間になってくれるかい? なってくれたら気持ちいいことしてあげるよ……」

 

「それは俺も同じだ。さあ、目眩く漢の世界に行こうじゃないか」


「駄目。ソーマは暁に入るの。そう約束した」


 いきなりの第三者の声。声の方に目を遣るとシンシアだった。いつも俺を振り回してくれるが今回は頼もしい援軍だ。


「分かったら、とっとと諦める」


「待て、待ちたまえ。彼の意見を聞いていない。そこをはっきりしなければ。そんなチンチクリンより漢の俺の方が良いだろう?」


「そうよ、坊やの意見を聞かせなさい。ほら、こんな真っ平らな子より私の方が良いでしょう?」


 何気にシンシアに対して失礼な事を言ってきてるな。けどまあ、実際に唾つけられちゃったしなあ。


「ごめんなさい衆道(ホモ)もSMも無理です諦めてください。てか俺はノーマルだしユフィという想い人も居るんで諦めてください」


「「そんな……」」


 断られるとは思ってなかったのか、イーサッジとクォールは両手を床につけうちひしがれ、ユフィは俺の想い人発言に顔を紅くし、そしてシンシアはそんな二人に勝ち誇った顔をするのだった。


「ところで、お姫様が想い人って、どういうこと、なの?」


「あ、わたしもそこのとこ詳しく聞きたいです」


 …………あ、やべ。

我ながら酷いサブタイと内容……

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