2ー2 新たな力
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何もない白い空間。
ああ、これは夢だ。所謂明晰夢というやつだ。俺は直ぐに理解した。何故なら何度もこの白い空間を夢で見たからだ。そして必ず彼女が居た。
「ぱんぱかぱーん! おめでとうございまーす!」
そう、りぃんちゃんだ。バニーガールの格好をしたりぃんちゃんが居た。
ご丁寧にクラッカーを鳴らして。
……
「あのー、私、思いっきり外しちゃいました?」
一度目は最初に会った時と同じワンピース、二度目はベビードール、そして今度はバニーガール。我ながら煩悩が酷くなってきてるな。やはりたまっているのか、俺。
「いや、別にそういう訳じゃないんですけど。それとももっと過激なのが良かったですか?」
充分ですご馳走さまでしたありがとうございます。これ以上過激なのってのが些か気にならなくもないですが。
「せくすぃーらんじぇりーとか?」
勘弁してください血の海が出来ます間違いなく出血多量で死にます。見たくない訳じゃないけど。
「見たいんだぁ。相馬さんのえっち……うん、今度着てこよっと。そして相馬さんを悩殺するんだ」
死にます。大事なことだから二回言ったよ!
と言うかさっきから思ったことがりぃんちゃんに駄々漏れなんだけど。
「そりゃ夢の中ですから」
成る程。ところで今回はどのようなご用件で?
「おっとそうでした。今回、相馬さんは一人で下位とは言え悪魔を倒しました。それで、褒美として新しい祝福をあげちゃいます! ほらほら、何でもいいんですよ」
何かテンション高いな。それってりぃんちゃんを殺す為の力なんだろ? 正直りぃんちゃんみたいな可愛い娘を殺すことなんか出来ない。そんな力欲しくないよ。
俺の思いを知ると、りぃんちゃんが寂しそうな、悲しそうな顔をしていた。
「その件については……ごめんなさい」
だったら『殺して』なんて言わないでくれよ! そもそも何で俺にそんなことさせようとするんだよ!?
「必要だから、だよ」
必要なことって……教えてくれよ。
「それは出来ないの。その事で相馬さんが辛く感じてるのも分かるの。けど約束だから……だからせめてこうやって夢の中では明るくしようって。相馬さんに喜んでもらおうって。けど迷惑みたい、でしたね。ごめんなさい」
りぃんちゃんが頭を下げる。そして「もうこんな悪ふざけは止めますね」とも。
はあ、と溜め息を吐く。思ったことが駄々漏れだろうとも、敢えて口にする。
「別にりぃんちゃんと会えることは嬉しくないとか、そんなこと無いから。てか嬉しいし。まあ、最初の俺の身体を操って銃を自分に向けさせるとかトラウマものだけどさ。けど次はベビードール着てユフィと一緒に迫ってくるとか、本当ドキドキしたよ。だから、まあ……いんじゃね?」
「ホント、相馬さんは優しいですね。そんなだから私は……」
その後の台詞はよく聞こえなかったが、何となく泣いてるのだけは分かった。
うわ、俺女の子泣かせちゃっちよ。どうしよ……
「よぉし! 相馬さんがいいって言ったから、これからもこうやって会いに来ますね。次はどんな格好で……あ、えっちなやつか。ちょっと恥ずかしいなぁ、えへへ。それはそうと祝福、何がいいですか? なんなら私が適当に決めちゃいますよ?」
じゃあそれで。
「むう、相馬さんてあんまりチートに興味ないですよね。うーん、じゃあ適当にコレ! …………ってうわ、地味」
どうやら本当に適当に選んだようだ。てか地味て……
そんなりぃんちゃんが俺に手招きするので近寄ったら、
「ちゅ……んむ…………」
キスされた。それも前と同じべろちゅー! ソーマは混乱している!! てか何で夢の中なのに唇と舌の触感とか伝わる訳!?
「ふは……うん、やっぱりキスは好きな人とじゃないとね」
好きな人って……え、マジか!? りぃんちゃんが俺の事、好き!? 俺の何処が好きなの!?
「うーん、優しいとこかな。相馬さん、自分で思ってるよりも凄く良い人だよ。それにこうやって話すと結構面白いし」
そう言ってはにかむ。あーくそ、可愛いなぁ。
「そろそろ時間かな。またね、今度は相馬さんを悩殺しますからねー」
あはは、お手柔らかに。そして徐々に意識が覚醒していき――
☆★☆★☆★
「……知らない天井だ」
最早定番とも言える台詞を呟く。
ここはクリスト伯爵の邸宅、その客間の一室だ。
昨日の晩餐会の後、クリスト伯爵の厚意を受け、ここに泊まることになった。
そういや、あれからずっとユフィと二人きりだったっけ。因みに、シーツに赤い染みもなければ栗の花の臭いもしないので悪しからず。と言うか流石にユフィと同じベッドの中とかあり得ないし、そんなことしたら伯爵に殺されそうだ。
それはそうと晩餐会の食事は結局手付かず仕舞いか。まあそれはいいとして……
俺、ユフィに告白して、キスまで……と昨日の事が頭に過る。それと同時に夢の中の出来事も。
――月明かりの下で告白とは実にロマンティックですね。更に夢の中でもとは。昨晩は起きていても寝ていてもお楽しみでしたね。
その言い方止めて! ……と、夢の中で思い出したけど新たな祝福を得たんだっけ。確認の為にステータスを開く。
しかしりぃんちゃん、祝福渡す度にキスするのか。未だにユフィとりぃんちゃんの唇の感触が……
――確認しないのですか?
おおっと。
名前:相馬孝太郎
種族:人間
性別:男
年齢:16
HP:720/720
MP:80/165
状態:疲労(軽度)
祝福:言語理解 苦痛耐性 精神耐性 魔法適正 アイテムストレージ 初期消費アイテム所持無限 技能習得率成長率上昇(極大) ナビゲートシステム 敵意感知 毒物無効
技能:剣術Lv3 盾Lv2 銃器Lv3 体術Lv3 気配察知Lv3 隠密Lv2 属性魔法Lv4 白魔法Lv2 契約魔法Lv4 精神魔法Lv1 応急手当Lv1 フィナレアス西方言語Lv2
称号:転移者 B級冒険者(暫定) 悪魔殺し
全体的に上がっている。銃器のLvが上がってないのは剣と魔法をメインにしていたからだ。白魔法に関しては回復魔法はLv3だが他はLv2だ。
それにしても一日寝てもMPが完全回復しないとは。やはり疲労(軽度)のせいか。牢屋での生活が存外堪えているらしい。
称号のB級冒険者(暫定)てなんだよ。あと悪魔殺しの称号が加わった。どうもこの称号を持っていると悪魔に対してのダメージが若干上昇するようだ。
そして新たに得た祝福、毒物無効。なんと、ありとあらゆる毒物、身体に悪影響をもたらす物全ての効果を無効化するという代物。ゴーレム等の魔法生物が持ってる祝福だが、はっきり言ってかなり強い。
りぃんちゃん、これの何処が地味なんだよ……
(聖剣所持とか不老不死と比べれば地味ですよー)
と、りぃんちゃんの声が聞こえたような気がしたが空耳だろう、うん。
りぃんは地味とか言ってるけど、普通に便利ですよね。ゲームとかでもこの手の効果を持つ装備品がありますが、良く良く考えたらかなり卑怯です。何しろ「ぺろ、これは青酸カリ!」が素で出来る訳ですから……(青酸カリ舐めたら普通死にます)




