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1ー38 長い1日の終わり その1

読みいただきありがとうございます。


ここからは第1章のエピローグになります。

「此度の騒動で皆には多大な迷惑をかけた。お詫び、と言ってはなんだが、ささやかながら宴席を設けることにした。今日は大いに楽しんでくれ!」


 顔の腫れたクリスト伯爵の言葉にフロア内に歓声が広がる。

 ここはクリスト伯爵の舘、普段は社交の場として貴族達の舞踏会等を行うのだが、今この場に居る大半は貴族ではない。俺やポーリー、暁のメンバーに黄金の林檎亭の家族、そこに宿泊していた行商人達。ガラフとモーラ、ウルフリード。

 皆何かしら俺に関係している人達だ。

 立食形式をとっており、皆思い思いに運び込まれた食事に手を出す。皆陽気に笑っている。中には「こんな歓待を受けるならまたルミナス教(あいつら)に全財産持ってかれるのも悪くないな」とか言う者も。


 当然冗談だが。



 ☆★☆★☆★



 あの後、つまり俺がレッサーデーモン(ワイズ)を倒した後、クリスト伯爵率いる騎士団がやって来た。

 もっと早く来いよ、と思ったが、俺の処刑の為にルミナス教の奴らが皆教会から出るのを見計らい、ワイズの悪事の証拠を探していたそうだ。

 しかもその為だけに、暁に嘘の(ある意味では本当の)護衛の依頼を出し、クリスト伯爵及び騎士団と共に一旦街の外に出、俺とユフィの周りを手薄にしたらしい。

 誤算は俺とユフィ以外にも捕まってしまった女性がいたことと、処刑の時間が本来よりも早く始まってしまったこと、だそうだ。

 要は俺とユフィは囮にされたのだ。

 俺が囮にされるのはいい。けどユフィを囮にするとか何考えてんだ。そう詰め寄ったら、


「ユフィにも了承してもらった。寧ろ志願してくれたよ」


 この一言で頭が真っ白になり、クリスト伯爵をぶん殴った。

 流石にまずいと思ったのか、アルザードや周りの騎士も止めに入ろうとするが、


「ユフィがどうなっても良かったのか。一歩間違ってたら廃人になってたかもしれないんだぞ! もし俺が契約魔法を覚えなかったら、もし俺が拷問室に入れられっぱなしだったら! ユフィだけじゃない、ポーリーやアンナちゃんも……本当にそれで良かったと思ってるのか!!」


 俺の慟哭の叫びに皆気まずそうな顔をする。そんな中でルドルフは俺を諌めた。「一番辛いのは娘を囮にした伯爵だ」と。

 その言葉で俺は冷静さを取り戻した。当然だ、親バカのクリスト伯爵が辛い訳がない。それを当たってしまうなど……


 だが、クリスト伯爵は、


「良い、ルドルフ。彼には僕を殴る資格がある。僕は彼と娘にそれだけの事をしたのだからな」


 そう言い、「すまなかった」と頭を下げ謝罪したのだった。



 ☆★☆★☆★



 と、そんな理由で伯爵は顔を腫らしている訳だが。回復魔法でもかければ直ぐ治るものを「せめてもの贖罪」とか言って拒否したそうだ。

 その当の伯爵が俺の方に来た。


「楽しんでるかな、英雄殿」


「その英雄殿っての、止めてくれませんかね」


「いやいや、あのレッサーデーモンからこの街を救ってくれたんだ。これを英雄と言わずしてなんと言うのかね?」


 ……別にこの街の救うつもりも、ましてやこの街の人達を助けるつもりも無かったんですがね。俺はユフィ達を守る為にレッサーデーモンを倒しただけに過ぎないんだが。

 俺が死ぬのを悦び、ユフィ達を犯そうとした奴らを助ける程、聖人君子ではないんでね。

 その事を伝えるが、


「重要なのは君の感情じゃない。過程であり結果だ。だからこの街(ユリシカ)を護ってくれたこと、深く感謝する」


 と、頭を下げてきた。


「はあ、分かりましたよ。ならせめて、その『英雄殿』は止めて下さいよ。正直背中がむず痒くて」


「そうか。だが、これだけは言わせてほしい。ユフィを、娘を救ってくれてありがとう」


 こっちの、領主としてではなく、父親としての感謝の言葉は素直に受け取るのだった。



 ☆★☆★☆★



「よう、ソーマ」


 次に、話しかけてきたのはアルザード率いる暁だった。


「しっかし、いくら『セイクリッドウェポン』で聖別化したとはいえ、一撃かよ。なんなんだよあの武器は」


 どうやらアルザードは銃に興味があるらしい。


「うん、凄い音がしたと思ったら、レッサーデーモン死んでた。何あれ?」


 シンシアが質問してくる。今更隠してもなんだし、正直に銃のことを話した。


「つまり、弓矢みたいな飛び道具ってことね。ねえ、そんなの持ってるんなら別に剣とか魔法とか覚えなくても良かったんじゃないの?」


 エレナが尤もな意見を言ってきた。確かにそうなのだが……


「けど魔法が無かったら俺、生きてはいませんでしたからね」


「あぁ、確かにね。て言うか、雨降らせたのやっぱりソーマ君か。あれ、使える条件ってなんなの?」


 エレナに『コントロールウェザー・コールレイン』の事を教える。それを聞いたエレナは、


「ゴメン、私には無理」


 と、早々に匙を投げた。


「それにしても皆はどこに行ってたんです? アルザードがそばにいたのは知ってましたけど」


「ん。実は……」


 シンシアが言うには、サクラと目ぼしい人物を探していたらしい。ただ、例のレッサーデーモンの騒ぎで大混乱に陥り、それどころじゃなくなってしまったそうだが。

 あと、イスカのことも聞いた。ポーリーに魔王崇拝者――魔女の烙印をつけるだけでなく、書類改竄と横領の罪も擦り付けようとしたらしい。勿論、横領も書類改竄もイスカがやっていた。だが、見積りが甘かったのか、ギルドマスターにばれてしまいお縄になったそうな。と言うか、イスカが書類を改竄して俺の冒険者のランクを上げないようにしていたそうだ。

 更にはボルドー達がポーリーを襲おうとした、例の強姦未遂事件の首謀者もイスカだとか。

 一生塀の中にいることになるだろう、とはシンシアの談である。


「それよりも、ソーマの活躍、見逃したのが、悔しい」


 と、シンシアが悔しそうにし、それを見て俺達も笑うのだった。

長くなりそうなので一旦切ります。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] やられたことに対する報復があまりにうすい。気持ちが悪い。作者はこれでいいと思っているとしたらたとえ殺されても笑顔でゆるすような人なのだろう。
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