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1ー37 証明の儀 VS下位悪魔

お読みいただきありがとうございます。

面白いと思ったら評価やブクマ、感想等をしてくれると嬉しいです。


因みに前話と今話、とある作品を元ネタにしてます。分かった人は感想に書こう!

 元の広場に戻ってきた。

 ワイズ司祭が聖騎士達に何か指示を出している。

 数名の聖騎士は俺を囲むようにし、槍を構えている。残りは民衆を下がらせている。

 ワイズ司祭が懐から一本の棒を取り出した。長さは20cm程だろうか、先端には装飾が施されている。


「これは真実の杖という魔道具でな、その名の通り、貴様の真実のの姿を暴く代物よ。本性を現した貴様が暴れると、ここに居る民達に被害が及ぶでな。それ故正直使いたくはなかったのじゃがな、そうも言ってられん」


 ワイズ司祭の言葉にビクリと、肩を震わせる。今、なんと言った?


「ぐふぉふぉ、怖じ気づいたか? そうよな、おぞましい姿を晒したくは無いものなあ。これで貴様の化けの皮を剥がしてくれるわ!」


 冗談じゃない。またあの姿に戻るってのか? キモくてデブで禿げ上がった、元の姿に戻るというのか!?


――大丈夫です、問題ありません。


 何がだよ!? 何が問題無いんだよ!?


――あれは真実の杖という物ではありません。仮にそうだとしても、今の姿がマスターの真実の姿です。あの魔道具は……


 俺はナビーさんの説明を最後まで聞けなかった。何故ならば、


「さあ、魔王の子よ、この真実の杖の力で貴様の真の姿を晒すがよい!」


「お、おい、待て、止めろ!」


 ワイズ司祭が杖を発動させた。が……


「……」


「……」


「……何故、何も起きぬ?」


 そう、何も起きなかった。


――当然でしょう。あれは心写しの杖、その者の心を写し出し、相応しい姿に変える杖。普通は何も起きません。ですが……


 ですが?


――その者の心が悪しきものなら、悪魔の姿に、逆に清らかならば天使の姿に変じる事となるでしょう。


 俺には何も起きなかった。だが、ワイズ司祭は違った。

 ピシリ、ピシリと何かが割れるような音、そして――


「な、なんじゃ、我に何が起きておるのだ!?」


 ベリベリと破れるような音。それはワイズ司祭の皮膚が破れていく音だった。


「う、ぐ、あ、ぐああぁぁぁああぁぁあああ!!」


 そして、まるで脱皮するかのように、中からおぞましい姿をしたものが現れた。

 

 それは大柄とは言えないワイズ司祭と、一回り、いや、二回り以上サイズが大きかった。こめかみの部分から角を生やしていた、血のような赤い瞳に全身を黒い毛で覆われた、正に悪魔だった。


「ナ、ナンダゴレハ……ナンナノダゴレハアァァァァァ!」


 ワイズ司祭、いや、ワイズ司祭だったモノが声を荒げる。それはそうだろう、まさか自分が悪魔になってしまったのだから。そして……


「あ、悪魔だあああああ!!」

「し、司祭様が、あ、悪魔に……」

「に、逃げろおぉぉぉおお!」


 パニックになる人達。我先にと回りを顧みず、逃げ回り、中には押し潰され、酷い怪我を負う者も。

 正直彼等を助ける義理はない。何せ、俺はおろか、ユフィ達を犯そうとした奴らだ、どうなろうが知った事ではない。が、ユフィ達だけはあの悪魔から守らなくては。


「こ、この悪魔め! よくも我らを謀ってくれたな!」


 聖騎士達が悪魔と化したワイズ司祭、ワイズに槍を向ける。彼等のおかげで俺やユフィ達には目がいってない。

 今のうちに彼女らに『プロテクション』をかける。役に立つかどうかは兎も角、無いよりはマシだ。

 尚、『プロテクション』は付与魔法、つまり白魔法に属する。『ヒール』もそうだが、ルミナス教では悪魔や魔族、魔王の子は白魔法が使えないとされるが、俺が白魔法を使ってる時点で根底から覆されてる訳だが……今更か。


「アグマ? 我ガアグマダト……フザケルナアアアア! 誰ガアグマガアアアアア!」


「くっ、かかれえっ!」


 一斉に槍を突き刺す。だが、どれ一つとしてワイズに傷を負わせることは出来なかった。寧ろ、


「神ノ使徒タルゴノ我ニ歯向カウトハナニゴドカァッ!」


 槍を掴み聖騎士の一人を軽々と持ち上げ、天高く投げ捨てる。聖騎士は地面に叩きつけられ、身体が曲がってはいけない方向に曲がっている。それだけではない。他の聖騎士にワイズは拳を振るう。当たっただけて頭部が潰れ、鎧などなかったかのように貫き、次々と絶命させていく。

 

「これが悪魔、レッサーデーモンだ」


 フードを被った男が俺に話しかける。いや、もうその正体は分かっている。てか何で居るんだよ。


「アルザード……」


「ありゃ、バレてたか。ま、んなことはどうでもいい。あの聖騎士どもじゃ壁にすらならん。あいつらが死ねば次に狙われるのはお前だぞ」


 だろうな。と言うかもう向かっていった聖騎士達を全員倒しやがった。レッサーデーモンが強いのか、或いは聖騎士達が弱すぎるのか、はたまたその両方か。


「ヌグオォォォ、ギザマサエ、ギザマサエイナケレバァァァァアッ!」


 俺の方に目を遣るレッサーデーモン(ワイズ)。猛スピードで距離をあっさりとつめていく。


 速い。コイツ、力が強いだけじゃないのかよ。

 俺とワイズとの間にアルザードが割って入り、攻撃を受け止める。


「ギザマァァ、邪魔ヲスルナァァァ!」


「邪魔? 違うね。オレは単にお前を討伐しに来ただけだ。とは言え、レッサーデーモン相手にソロはキツいな……マシュー達はなにしてんだよ」


 アルザードがぼやく。アルザードでも一人では厳しいらしい。


「ソーマ、なにボサッとしてやがる! オレが押さえてる間に彼女達を引き連れてさっさと逃げろ!」


「逃げる? なに言ってるんだ?」


「武器も持ってねえ奴がいても足手纏いなんだよ!」


 ああ、なんだ、そんなことか。


「武器なら持ってるよ。だから下がっててくれ」


 俺はストレージからデザートイーグルを取り出した。



 ☆★☆★☆★



 元々俺は、どちらかと言うと狙撃を得意としていた。なので最も手馴れているのはドラグノフなのだが、如何せん距離が近すぎる。M1は……あれは強すぎる。逆にベレッタでは有効打にならないような気がする。なので自ずとデザートイーグル(コレ)になる。


「なんだよそりゃ? ソーマも見ただろうが、レッサーに限らずデーモンは生半可な武器は通用しねえ。それに魔法だって大半をレジストしちまう。お前の敵う相手じゃねえ! 伊達に脅威度Bにされてるんじゃねえんだぞ」


 アルザードが一瞥し、忠告する。しかし魔法をレジスト、か。速くて強くて固いッてか。やな三拍子揃ってるな。

 レッサーデーモンも嘲笑い馬鹿にする。


「グファファファ、ナンダソレハ。気デモ狂ッタカ?」


 まあ、初見ならそうだろうな。この武器の強さを知ってるのはこの場では俺とユフィだけだ。事実、ユフィだけが俺に期待の目を向けている。


「アルザード、コイツはそんなヤワな武器じゃない。(これ)はな、ただ純粋に殺す為だけに造られた武器なんだよ」


「へえ、そうかい。そうは見えねえけどな。ま、仮にそれが強い武器だとして、オレはどうすればいい?」


 まだ半信半疑なのだろう。だがそれでも起死回生のピンチを乗り越えるなら、と思ったのだろう、俺に指示を請うてきた。


「なら……全力で吹っ飛ばせ!」


「あいよっ!」


「ヌオッ!」


 アルザードが俺の指示通り、今まで押し留めていたレッサーデーモンを吹き飛ばす。てかなんだよその怪力は。10mは吹っ飛んだぞ。だが良い距離だ。

 俺とレッサーデーモンが相対する。


「おいワイズ、お前、俺さえ居なければ、と言ってたな。居なければなんなんだ?」


「ギザマサエイナケレバ……全テヲ手ニ入レレタ、金モ、オンナモ、ゴノ街全テヲォッ! ギザマサエイナケレバァァァァア!!」


 聖職者どころか外道の屑野郎じゃねえか。


「ワイズ! てめえにくれてやるのは鉛玉だけで十分だ!」


「鉛玉ダァ? 何訳ノワカラヌゴドヲ。ギザマハジネ、魔王ノゴガァ!」


 俺はデザートイーグルを構え、レッサーデーモンは俺を目掛けて突進する。それはほんの数瞬のことだった。


「『セイクリッドウェポン』!」


「ナニィ!? 馬鹿ナ、白魔法ダドォ!?」


 距離を詰め、今にも俺を殴り殺そうと振り上げた腕がピタリと止まる。本来なら有り得ないことに驚愕し、動きが止まったのだ。その隙は逃さないぞ!


灰は灰に(ash to ash)塵は(dust to)塵に(dust)!」


 俺は引き金を引く。

 それはコンマ1秒にも満たない時間。

 放たれた銃弾は吸い込まれるようにレッサーデーモンの額に命中し、頭を吹き飛ばした――


「グガァァァアッ! ギザマ、サエ……ギザ……マ…………」


 断末魔をあげ、レッサーデーモンは絶命する。

 身体は文字通り灰となり、ただ魔石だけを残した。


 それが、ワイズという哀れな男が生きていた証であり、最後だった。







 

これにて決着!

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