表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/89

1ー32 捕らわれのソーマ その2

お読みいただきありがとうございます。

もし面白いと思ったら、評価やブクマ、感想などをいただけると嬉しいです。


尚、前半はソーマ視点、後半はワイズ司祭の状況です。ご注意下さい。


2018/11/03

サブタイ変更しました。


 結論から言うと、浄化の儀は行われなかった。

 ユフィ達に触れ、犯そうとした男達が唐突に、なんの前触れもなく、()()に裂けた。その中にはボルドーも含まれている。

 地下牢はむせるような強烈な血の匂いが蔓延している。

 ユフィ達は血に染まり、いきなりの惨劇に顔を青くしている。アンナちゃんに至っては気を失ってしまった。無理もない。目の前で、いくら自分を犯そうとした者とは言え、無惨な死に方をしたのだ。また、ユフィ達に触れず、生き残った者は腰を抜かし、股を湿らせ、或いは泡を吹き気絶し、或いはほうほうの体で逃げたそうとする。


「……魔王の子、貴様一体何をしたのだ」


 ユフィのいる牢に入り、これから犯そうとしたが、惨劇を目の当たりにし、触れるのを止めたワイズ司祭が尋ねた。


「……」


「何をしたと、言っている!」


 俺も分からない。分からないが、ユフィ達の貞操は守れたのは事実。その代わりトラウマを植え付けてしまったかもしれないが。


「……バチでも当たったんじゃないか?」


「ふざけるなあっ! 敬虔たるルミナス教徒であるあやつらにバチだと? 大概にするでないわっ!」


 俺のハッタリにワイズ司祭が怒鳴り散らす。思い通りにいかなかったからだろう、ワイズ司祭が青筋をたててキレる。


 ……キレてるのはこっちなんだがね。しかし一体全体何が起きたのか。


――契約魔法です。


 契約魔法って、確か黒魔法に属する魔法だよな。けど使った記憶もないし、そもそも黒魔法はおろか、契約魔法すら習得していない。


――マスターは無自覚に契約魔法を発動したのです。覚えてませんか? 先ほど『彼女達に触れたら、八つ裂きにする』と。そしてワイズ司祭は『やってみろ』と答えました。これで契約が成されたのです。


 いや、確かにそんなこと言ったけどさ。それが何で契約が成されたことになるんだよ。


――マスター、先の言葉には魔力がこもっていました。例え無自覚とは言え、知らず知らずのうちに契約魔法を習得してしまうとは。恐らく基礎だけは出来ていたのでしょう。


 基礎って……確かに元の世界で取引先と契約を結んだりしてたけど。それが基礎だと?


――はい。マスターがこの世界に転移する時に、経験したことを祝福や技能として習得しました。その経験が契約魔法として顕れたのでしょう。今になって習得したのは適合に時間がかかったことと、今まで使うことがなかったからだと思われます。


 そんなこともあるのか。なら今後もこういう事が、唐突に覚えるということがあるという訳か。

 しかし契約魔法か――


 強すぎないか? これ。低レベルの書面契約や紋章契約は兎も角、今使った言霊契約はあまり使わない方がいいだろう。

 因みに、書面契約は商取引や金の貸し借り、婚姻等で使用する。紋章契約は従魔や奴隷との契約に、婚姻でも使うことがあるが、稀だろう。


――しかしそれはマスターの使い方次第でしょう。ただ、確かにめったやたらに使用するものではありませんので、自重した方が良いでしょう。


 肝に命じておこう。あ、ステータスで確認したら契約魔法Lv4になってた。あり得ねえ……


「く、くくっ、そうか、そういうことか。魔王の子めぇっ! 貴様、呪いをかけたなあっ! 忌々しい、何処までも忌々しい奴よ!」


 なんか、ワイズ司祭が思いっきり勘違いしてるんだが。まあ、奴等にしてみれば大差はないかもしれないが。


「ならば仕方がない。こやつに女を取られる絶望を与えるのは諦めよう」


 おい、今『女を取られる絶望を与える』とか言ったな。寝取るつもりだったのかよ。


「代わりに、貴様を痛めつけるとしよう。死なない程度にな。おい、この魔王の子を拷問室に連れていけ」


 ワイズ司祭が顔を歪ませる。あれは誰かを傷つけることで喜びを得る、嗜虐者(サディスト)の顔だ。

 俺は引き摺られるように拷問室に入れられ、気を失うまで激しい拷問を受けるのだった。


 拷問の内容? 凄惨すぎて言葉に出来んよ。



 ☆★☆★☆★



 ???


 ルミナス教教会のとある一室。その部屋は王候貴族もかくや、というほどの、豪華な調度品をあしらった、良く言えば絢爛豪華、悪く言えば悪趣味な一室であった。

 その部屋の主であるワイズは荒れていた。流石に調度品に八つ当たりはしていないが、庶民が手を出せないであろう高値の酒をグラスに並々に注ぎ、無造作に飲み干していく。


「くそっ、くそっ! 魔王の子め、我に呪いをかけ、我の邪魔をするとは! 今すぐに殺せぬのが腹立たしい!!」


 ユーフォリアを抱き、我が物にし、絶望の淵に立たせるつもりだったが、大きく計算が狂ってしまった。尤も、その腹いせに魔王の子、ソーマをいたぶってやったのだが。

 

 苛立たしげに酒を煽ると、ノックをする音が聞こえてきた。


「司祭様、イスカ様をお連れしました」


「……うむ。中に入れなさい」


 そういうと、ワイズはイスカを部屋に促す。


「失礼します……荒れているようですが?」


 部屋の中に入ったイスカが不機嫌に酒を飲むワイズを見、訊ねる。


「これが荒れずにいられるか。実はな……」


 ワイズはイスカに先程の一部始終を打ち明けた。魔王の子が我らに呪いをかけたこと、その腹いせに拷問にかけ、痛め付けたこと全部を。


「それは……申し訳ありませんでした。まさかそのようなことになるとは。深く謝罪致します」


「良い、主のせいではない、信徒イスカよ。寧ろ良くやってくれた。ユーフォリアだけではない、我に楯突く女子共を得ることが出来たのだ。礼を言いたいくらいだ」


 ぐふぉふぉ、と醜く嗤うワイズ。


「それにあの手の呪いは、かけた者が死ねば効果が消える。そう急くことも有るまいて」


 とワイズは言うが、そんなことはない。ソーマは呪いをかけたのではなく契約をしたのだ。ソーマが契約を破棄しない限り効果は永続する。寧ろ逆にソーマが死ねば契約は永遠に破棄されることはない。だが、ワイズはその事に気付かない。呪いだと勝手に思いこみ、気付こうともしない。


「そうでしたか。では何故魔王の子を生かしておくのですか?」


見せしめ(パフォーマンス)だよ。我らルミナス教こそが正義であるためのな。それに3日後の正午に火炙りの刑に処することを街に告知しておる。今殺す訳にはいかんのだよ」


「成る程、そうでございましたか」


「それに、ただ手をこまねいてるだけではない。あの女子共の食事には聖薬を混ぜておる。その内我を求めるだろうて」


 無論、魔王の子には食事など与えぬがな、とワイズは付け加える。

 聖薬とワイズは言うが、その実強力な媚薬である。それも依存性の強い麻薬のような物だ。それをこれからのユーフォリア達の朝夕の食事に混入させるのだ。ソーマの処刑執行日には、その(交わう)事しか考えられなくなるだろう。そして、刑を執行した後、公衆の面前でユーフォリア達に浄化の儀を行う。それがワイズが新たに立てた計画であった。


「素晴らしい考えです。これでユーフォリア様もポーリーも目が覚める事でしょう。尤も、ポーリーは書類改竄と横領の罪で司祭様の奴隷(ペット)になる訳ですが」


 ソーマのランクが上がらない理由――なんてことはない、ソーマがこなした依頼の報告書をイスカが改竄し、失敗にしていたのだ。当然報酬は不当に渡したことになり、ポーリーがソーマに貢いだ形となる。


 その事をギルドマスター及びサブマスターには伝えてある。今頃はポーリーの人気も失墜していることだろう、そうイスカは思っていた。


 イスカがポーリーに辛く当たる理由、それは嫉妬だった。


「げに女の嫉妬とは恐ろしいものよな。……さて、信徒イスカよ、お前を呼んだのは他でもない。此度の働き、我らが神も大層お喜びになられたであろう。よって、褒美として我が聖液を授けよう。光栄に思うがよい」


「おお、この私に聖液を……有り難き幸せにございます、司祭様」


 ワイズの言葉にイスカは喜びの声をあげる。瞳は潤み、顔はうっとりと蕩けさせている。


「さあ、服を脱ぐがよい。そして我が聖液を受け止めよ」


「はい……」


 二人は服を脱ぎ一つに重なる。

 この部屋にいるのは司祭と信者ではなく、快楽に溺れ、淫蕩にふける雄と雌、二匹の獣だった――。







果たしてワイズ司祭の計画は上手くいくのか。待て、次号!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ