1ー31 捕らわれのソーマ その1
本当は昨日投稿するつもりだったんだ。だったんだよ……
2018/11/03
サブタイ変更しました。
あれから一月が経った。
因みにこの世界の暦だが、1ヶ月は28日、1年は13ヵ月、つまり364日であるが、まあ、それはさておき。
様々な依頼をこなし(一時期ゴブリン討伐依頼が激減したが、数日で元に戻った)、依頼を受けない日は訓練に明け暮れた。結果、幾つかの技能のLvが上がっていた。特に属性魔法がLv4に、白魔法がLv3になったのは美味しい。
だが、
「何でF級のままなんだ?」
未だ冒険者のランクが上がらず、F級のまま。俺より後に冒険者になった者も居たが、俺を差し置いてE級に上がっている。
「本来ならランクが上がっていてもおかしくないんですが……その事を要請してもいるのですが、なんの音沙汰もなく…………」
ポーリーが溜め息混じりに答える。
なんだろう、何らかの悪意が邪魔をしてるような。まあ、その悪意の元は分かるのだが。
「だから仰ったではないですか。F級から上に上がることはない、と」
と、偶々(を装い)通りかかったイスカが蔑んだ声をあげる。
そう、イスカだ。間違いなくこの女が何かしている。あと、俺だけでなくポーリーにも敵意を向けている。
俺と仲がいいからなのか、それとも元からなのか、恐らくは後者だろう。
「それに、貴方達とここで二度と会うことはないでしょう。本当清々します」
は? 今コイツ何て言った?
そう怪訝に思っていたら外からガチャガチャと金属音がし、数人の白い金属鎧を着けた男達が入ってきた。
左胸にはこれ見よがしに、円に十字の刻印、ルミナス教の聖印が描かれている。
ルミナス教聖騎士だ。
「いたぞ! 魔王の子だ!」
聖騎士達が一斉に俺を取り囲み、槍を突きつける。
「なんという禍々しき黒髪よ。魔王の子よ、貴様を拘束する!」
多勢に無勢というやつか、身動きがとれそうにない。今は大人しくしておくか。
だが、拘束されるのは俺だけではなかった。
「そこの女! 貴様もだ。魔王の子に誑かされた魔王崇拝者め。貴様には浄化の儀を行う必要がある。来い!」
「な!? おい、ポーリーは関係無いだろう! 離しやがれ!」
だが、彼等は俺の言うことを無視し、ポーリーを抑える。
「そんな、わたしは誑かされてなど……ましてや魔王を崇拝するなど……」
「貴様が魔王の子と懇意にしている所を見た者がいるのだ。大人しく来い!」
「いたっ! 痛い、離して、離してください!」
どうしていきなり……周囲を見渡すが、誰も助けようとはしない。いや、ポーリーを助けようと踏み込もうとする者はいるが、牽制され動けないでいる。そしてイスカは――
嗤っていた。
そうか、この女か。恐らくこの街の最強パーティであるアルザード達が居なくなるのを見計らってルミナス教に通報したのだ。
アルザード率いる暁の面々は依頼で昨日この街を出立している。戻ってくるにしてもあと、数日はかかる。
少し楽観視していた。クリスト伯爵がいるから大丈夫だろうと。だがルミナス教の奴等が大人しく言うことを聞く筈がないのだ。甘く考えていた俺のミスだ。それにポーリーも巻き込んでしまった。悔やんでも悔やみきれない。
「ごめん、ポーリー」
「違います、貴方が悪いんじゃありませんから……」
「魔王の子と、それに魅了された愚かな女の蜜事ですか? 何ともおぞましく気持ち悪いものですね」
イスカが俺達を蔑んだ目を向けながら侮蔑の言葉を投げかける。
「さようなら。次に貴方を見るのは処刑台の上ですね。それまでごきげんよう」
イスカが嫌味ったらしくお辞儀をするのを見ながら、俺とポーリーは拘束され、ルミナス教教会へと連れていかれるのだった。
☆★☆★☆★
彼等ルミナス教聖騎士が拘束したのはなにも俺達だけではなかった。
「そら、入れっ!」
俺とポーリーは教会の地下牢にそれぞれ押し込められる。その後にも見知った顔が入れられた。
黄金の林檎亭のリサさんとアンナちゃん、モーラ、そしてユフィ。
どうも彼女達の元にも聖騎士達が来て有無を言わさず拘束したらしい。しかしユフィまでとは。
皆手錠をかけられており、特にアンナちゃんが酷く怯えている。モーラが「出せー! ボクが何をしたんだよー!」と喚いているが、当然聞き届ける者などいない。
それにしても、まだ成人してないアンナちゃんまで……女子供関係無しかよ。
「悪い、やっぱ俺のせいだよな……」
「だからソーマさんのせいではありませんって」
「そうです。ルミナス教、厳密にはワイズ司祭ですが、私の家の資産を狙ってる節がありました。それに私を見る眼も……元々タイミングを見計らっていたのでしょう。それが偶々今回だった、それだけです」
「ウチんとこもおんなじさね。気にするこたぁないよ」
ポーリーも、ユフィも、リサさんも、そう言ってくれるが、逆を言えば俺が居たからこうなった、ともとれる。気にするな、と言うが、やはり申し訳が立たない。
それにしても、教会に地下牢があるだけでもおかしいのに、その構造も妙だ。俺が入れられてる牢屋を中心にし、その周囲を囲むように他の牢屋が造られている。まるで見世物のようだな。この中央の牢屋は。
「どうかね? 牢屋の居心地は」
何人もの男が地下牢に入ってきた。内一人は身なりの良いローブ――恐らく法衣だろう――を着ている。
この男がワイズ司祭だろう。年齢は優に50は越えているだろう。頭部は禿げ、顔を下品に歪ませる、醜く肥え太った豚のような男だ。
外見だけを言えばかつての自分を見るようで嫌な気分になる。だがそれよりもユフィ達を見る視線がいやらしい。
「お前がワイズ司祭か」
「ほう、魔王の子でも我を知っておるか」
知ったのはついさっきだけどな。
「本来なら、貴様がいる牢の中で浄化の儀を行うのだかね、こう人数が多くては……ぐふぉふぉっ」
嫌な嗤い方をする。それよりも浄化の儀? なんなのだそれは。
「浄化の儀とはのう、我らが持つ聖なる棒から出る聖なる液をこの女どもの体内に注ぎ込み、貴様によって穢れきった心を浄化させ、新たなルミナス教の信徒として生まれ変わる。それが浄化の儀よ」
ワイズ司祭が鼻の下を伸ばし、下品に嗤う。しかし聖なる棒、そんなもの何処にも持ってな――まさか!
「お前ら、まさかユフィ達を犯すつもりか!?」
「犯すなど人聞きの悪い。これは儀式よ。この者どもを魔王の子から救う浄化の儀よ!」
ふざけるな、何が浄化の儀だ。ただ単に己の欲望の捌け口にしたいだけだろうに。
「さあ、選ばれし者達よ。各々好きな部屋へと入るが良い。そして魔王の子に見せつけてやるのだ、ルミナス教の信徒として生まれ変わる様を! そして魔王の子に絶望を与えるのだ!」
男共がそれぞれユフィ達のいる牢に入っていく。手には何か粉末薬が入っているような包みを手にしている。
「遂にポーリーちゃんを犯れるぜ……」
「おいおい、ホントにガキ産んでんのかよ。全然若いじゃねーか」
「そんなババアよりこっちのちっこい餓鬼の方がいいだろうが」
「このドワーフも美味そうだ」
「くく、まさかあのユーフォリア様と犯れルとはなあ」
「待て待て、ユーフォリアの最初の相手は我ぞ。この者が一番穢れとるからのう」
下卑た笑いを浮かべる。コイツら……コイツらは……!
「『彼女らに指一本でも触れてみろ! 貴様ら全員八つ裂きにしてやる!!』」
「ぐふぉふぉっ、やれるものならやってみるがいい。さあ、始めよう、浄化の儀を!」
ユフィ達に迫る下衆な男達。俺には見ているだけしか出来ないのか……
「い、いや、来ないで。いやあぁぁぁぁぁぁあ!!」
その悲鳴は果たして誰のものなのか。これから浄化の儀という名の凌辱劇が始まる――
ユフィ達の運命や如何に!
なお、NTRはありません(←ネタバレ)




