1ー20 はじめてのおしごと 後編
水着鯖なんか居なかった、居なかったんだ……
はっ! すみません、お待たせしました。投稿出来なかったのはFGOのイベントが悪い(責任転嫁)
評価、ブクマ、感想などしてくれると嬉しいです。
ゴブリン。ファンタジーものではゲームにしろ小説にしろ、雑魚として扱われる。雑魚中の雑魚、キングオブ雑魚である。まあ国民的二大RPGでは出てこないのだが、それは置いとく。
俺の前に現れたゴブリンは5体。身長は俺の腰程。髪は無く尖った耳と無駄に高い鼻、土色の肌。他のラノベなんかでは緑色の肌だったりするが、この世界では違うらしい。
「ギャギャ」
「グギャギャ」
「ギョガ? グゲギャ!」
何言ってるか分からんが俺を攻撃しようとしているのは分かる。
――マスター、ゴブリンとは言え危険なことには変わりません。充分気を引き締めて下さい。
無論言われなくても!
俺はぐぎゃぐぎゃ言って襲ってくるゴブリンに剣を振るった!
スカッ
「……」
――……
「グギャ……」
沈黙が痛い。てかゴブリン! 何憐れみの眼を向けてんの!?
なんかムカついたのでそのゴブリンを袈裟斬りにした。
「ギァガァッ!!」
なんと言うか、さっきの間でフェイントになったっぽい。今の一撃で俺を憐れんだゴブリンは絶命した。さっきの攻撃失敗は置いとくとして、成る程確かに弱い。冒険者とかじゃなくても大人なら一対一なら勝てる程の実力というのは間違いないらしい。
仲間が討たれたことで他のゴブリン達が怒り、襲ってくると思いきや、臆病風に吹かれたか、一斉に逃げ出した。
別に討伐数にノルマ等無いのだが、流石に一匹では儲けが殆ど無い。倒したゴブリンを回収すると逃げたゴブリンを追い掛けた。
――マスター、銃は使わないのですか?
追い掛ける最中にナビーさんが尋ねてきた。
今回は剣のみで戦おうと思っている。剣術系の技能を習得出来るかもしれないからだ。
――……そうですか。ですが命の危険が迫った時は迷わず銃をお使いください。
大丈夫大丈夫、と軽く返したが、この楽観視が判断ミスとなり、最悪の結果を産む。
――マスター、この先にゴブリンの集団。数、凡そ20。
20か、多いな。なんとかなりそう?
――恐らくは。所詮烏合の衆ですので。ただ……
ただ?
――ゴブリンリーダーが居る場合は別ですが。
なら居ないことを祈ろう。もうすぐでゴブリンの集団がいる場所に着く。
だが、大抵悪い予想は当たるものだ。ゴブリン達は俺が来るのを待っていたのか、すっかり臨戦態勢を整えていた。そして、
――マスター、ゴブリンリーダーがいます。
ゴブリンリーダー。名前の通りゴブリンを率いるリーダー格のゴブリンだ。強さは普通のゴブリンと大差はない。若干強い位だ。ただゴブリンリーダーに率いられたゴブリンの群れは統率がとれており、その驚異度はD。一人前の冒険者でも命を落とす危険性がある。
状況から撤退するのも無理っぽい。俺は腹を括り、ゴブリンの群れに突貫した。
☆★☆★☆★
圧倒的に不利な状況だった。俺は常に3体で囲まれ、攻撃しようにも他のゴブリンが邪魔をする。仮に剣を振るっても致命傷には至らない。連携がとれ過ぎている上に数の暴力。俺は徐々に押されていく。
――マスター、焦りは禁物です。
それは分かっているが、この状況だ。どうしても何とかしなければと焦ってしまう。そして焦りは大きな隙を産む。
「いっ!?……があっ!」
無理な攻撃をしたのがいけなかったのか、左太股に激しい痛みが走った。見ると、ゴブリンが剣を刺している。
太股を刺したゴブリンを薙ぎ払うと、今度は背中を斬られた。太股と背中の痛みで動きが止まった隙に、魔法使いっぽいゴブリン、ゴブリンメイジが魔法を放つ。
――マスター、ファイアアローです!
ファイアアローが命中する。痛みと熱さが同時に襲ってくる。幸い、火炎耐性の効果がある火鼠の革鎧のお陰でダメージは軽減されたが、それでもかなりの激痛でバランスを崩してしまう。それを見たゴブリンリーダーが好機と見たのか、
「グギエァーーーーー!!」
雄叫びをあげた。同時に一斉に襲ってくるゴブリン達に俺は成す術がなく攻撃を受ける。
――マスター、お気を確かに。マスター!
ナビーさんの悲痛な声が頭に響く。
俺は死ぬのか? 訳も分からず異世界に転移し、蔑まれ、約束も果たせず、何も成さず、無意味に死んでゆくのか?
嫌だ。まだ死にたくない。死にたく……ない! まだ、死ねない!!
「うおおおおおおお!!」
俺は無意識に銃を取りだし、引き金を引く。
パン、爆竹が破裂したような音がした。初めて聞く音だったのだろう、ゴブリン達は一斉に動きを止めた。そしてドサリと、ゴブリンリーダーが倒れる音がした。
弾丸は奇跡的にもゴブリンリーダーの額に当たっていた。どう見ても即死だった。
指揮者を失ったゴブリンはぐぎゃぐぎゃ騒ぎだす。統率のとれなくなったゴブリン達はただ右往左往するばかり。
「うおおおお! 死ね! 死にやがれぇぇぇぇ!!」
俺は叫ぶとがむしゃらに攻撃する。右手に持った剣を振るい、左手に持った銃の引き金を引き、次々とゴブリンを屠る。
流石にゴブリン達も攻撃に転じてきた。幾度も食らうが痛みを気にせずゴブリンを打ち倒してゆく。
そしてーー
――マスター! もう動くモノは居ません、もう終わったのです、マスター!!
ナビーさんの声に我に返ると、周囲は無惨に殺されたゴブリンの群れ。血の臭いが酷く、咽び返しそうになるが、なんとか我慢する。
これ、俺がやったのか……?
――はい、攻撃を受けても痛みを恐れず、敵を打ち倒す様は宛ら狂戦士のようでした。
狂戦士……確かに途中から記憶がない。自分の身体を確認すると左太股と背中の他にも幾つかの怪我を負っていた。特に左腕が鈍く痛む。
――恐らく骨にヒビが入ってます。全く、棍棒を左腕で受けたりするから……
俺、そんなことしてたの? 我ながらとんでもない無茶をしたものだと思う。
ステータスを確認するとHPが180を切っていた。つまり400を越えるダメージを受けていたことになる。状態には重症、骨折と表示されている。
――普通の人なら死んでますね。
これだけダメージ受けて生きてるとは、我ながら凄いな。とは言え戦ってる最中は全く気にならなかった痛みが襲ってきている。HPポーションを1本取り出し、一気に飲み干す。痛みが少し和らぎ、HPが100程回復した。
それと技能だが、あれだけやったのに剣術の類いの技能を習得していなかった。代わりに銃器のLVが3に上がっている。
「マジかよ……」
これには流石に凹んだ。やはりただがむしゃらに振るだけでは駄目なのか。
――マスター、早くこの場を離れないと血の臭いに惹かれた魔物が来ないとも限りません。
そうだな。この状態で戦うのは厳しい。というか自殺行為だ。
俺はゴブリンを回収し、速やかにその場を離れ、ユリシカへと戻るのだった。
更なる災難が待ち受けているのも知らずに。
魔物データ
ゴブリン:小鬼。最もポピュラーな魔物。オーク、オーガと並ぶ三大悪鬼の一角。力は弱いが繁殖力は高い。農作物を荒らし、家畜を盗む。放っておくと被害が拡大するため最優先で討伐する。驚異度はFだが、ゴブリンリーダー率いる群れはDまで跳ね上がる。因みに、ゴブリンリーダーの強さは普通のゴブリンと大差無いが、その統率能力から驚異度はEである。
昔のTRPGではLV1だとゴブリン一匹にかなり苦戦するんですよね。今ではモブでも楽勝ですが。
というわけでゴブリンに苦戦する主人公でした。
次回、街に戻っても一悶着あります。




