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1ー14 薬師ウルフリード

お読みいただきありがとうございます。

「仕事中に酒盛りとは何ですか! ソーマ様も彼等にお酒を渡すのはお止めください。お嬢様も欲しがらない」


 現在、俺含め皆正座させられヘンリエッタさんに説教をくらっている。


「飲むな、とは申しません。時と場所をお考え下さい」


「「「はい、すみません……」」」


 皆一様に謝るが、ガラフだけは反論してきた。


「しかしじゃな、あのビールという酒は、酒精も低いし、儂らには水と変わりが……」

 

「何か仰いましたか? ガラフ様」


「あ、いやその……すまんかった」


 そしてその反論を一睨みで抑えるヘンリエッタさんマジコエー。


「兎も角、今後このようなことが無いように。分かりましたね?」


「「「「はい……」」」」


 うん、これからはヘンリエッタさんを怒らせないようにしよう。




 その後、防具を仕立ててもらうことになった。なるべく動きを阻害しないものを、という要望に答え、ファイアラットの皮で造られた火鼠(カソ)の皮鎧というのを準備してくれるそうだ。ただサイズ等微調整がいるため、仕上がるには2日程かかるということで、また2日後に取りに来ることになった。それ以外にも手甲と厚底のブーツ(と言うか安全靴)を購入。しめて200ディール也。尚、火鼠の皮鎧の方は出来てからお金を払うことになった。


「ところで、薬とか宿屋とかどうするんだ?」


「まだ決めてませんが……」


「なら、薬はウルフリードのとこが良いだろう。宿屋は『黄金の林檎亭』がおすすめだ」


 黄金の林檎……ねえ。何か女神が争いそうな名前の宿屋だな。


「成る程、あそこなら問題無いでしょう。些か割高ではありますが良い宿屋です。薬屋もウルフリード様の所なら無下に追い返されることは無いでしょう」


 ヘンリエッタさんのお墨付きなら問題無いだろう。


「何から何まで、ありがとうございました」


「なに、いいってことよ。また今度アレを飲ませてくれや」


「ボクもボクもー……ひっ!?」


 モーラが何か素頓狂な声をあげたと思ったらヘンリエッタさんが思い切り冷たい目で睨んでた。なんか、こう、背後から『ゴゴゴ……』という効果音が聞こえそうな感じだ。


「お二方、まだ反省しておられないようですね……」


「い、嫌だなあ、そんなこと無いよ、仕事中に飲まないよお……」


「そ、そうじゃ。飲むなら店じまいをしてからじゃ……」


「ならば良いのです」


 ガラフとモーラ、めっちゃ目が泳いでたけどな。と言うかトラウマになってないか?



 ☆★☆★☆★



 ガラフの工房を後にし、俺達はウルフリードが営む薬屋へと足を運んだ。


「いらっしゃい……」


 声の主を見て驚いた。背は高く、長い金髪、緑色の瞳に中性的な顔立ち、声からして男なのは分かるが、女性と間違われてもおかしくない程の美形だ。そして何より長い耳。


「エルフだ……」


「それがどうした。買う気が無いならさっさと帰れ」


 なんというか、人付き合いが悪そうな人だな……


「失礼しました、ウルフリード様。私達はガラフ様の紹介でここに来ました」


 ガラフの名を出すと顔をしかめるウルフリード。やはりエルフとドワーフは仲が悪いのだろうか。


「……まあいい。好きにしろ」


 と、そんなわけで陳列してある商品を見ている訳だが、正直何が何だか分からない。取り敢えず必要な物を選ぶとしよう。とは言え、何があるのか検討もつかないのだが。


――特に必要なのがHPポーションとMPポーションでしょう。MPポーションに関しては魔法を修得していないので今は必要ありませんが、後々必要となるでしょう。HPポーションは言わずもがな、です。


 で、この店にあるの?


――あります。


 成る程、他には?


――保存食等もありますが、マスターには必要ないものかと。後は解毒剤でしょうか。尤も、マスターが修得すれば無用の長物となりますが。


 ふむ……ところで、魔法ってどんなのがあるの?


――魔法は大まかに分けると3種類あります。白魔法、黒魔法、属性魔法です。白魔法は回復や強化、それとターンアンデッドといった神聖系の魔法です。黒魔法は召喚や弱体、呪術、死霊魔法(ネクロマンシィ)等がこれに当たります。属性魔法は土、水、火、風の4属性、又は雷、氷といった複合属性を用いる魔法です。


 ふーん。ん? じゃあ生活魔法は?


――属性魔法になります。


 成る程。まあ今は使えないからあんまり意味ないけど。


――魔法適正が宝の持ち腐れですね。


 …………言わんといて。兎も角、


「すみません、HPポーションを5本とMPポーションを2本、解毒剤を3本お願いします」


「HPポーションが1本1000ディール、MPポーションは1本500、解毒剤が1本800だ。合計8400ディールだ」


 高っ!


「えっ? 薬ってそんなに高いのですか?」


 ユフィが驚く。確かにちと法外過ぎる。桁1つ多くない?


「文句があるなら他所で買え。言っておくが、お前が黒髪だから値段を跳ね上げてる訳じゃない。誰にでもこの値段で売っている」


「マジかよ……なら解熱剤は?」


「5ディールだ。それもいるのか?」


 いきなり値段が落ちた。


「それなら、狂犬病……狼憑きを治せる薬があるならどれくらいですか?」


「ふむ、そうだな…………5000、といったところか。人間はアレを呪いと勘違いしているからな。コレくらいは吹っ掛けれるだろう」


「じゃあ、その薬を俺が持ってるとしたら? そしてそれを俺(正確にはナビーさん)が作れるとしたら」


「ほう、それが本当なら1つ辺り2000で買い取ってやる」


 売値は半額じゃないのか……それでもかなりの値段だな。元の世界でも狂犬病の予防摂取はそこまでしなかったと思うんだが。

 兎も角、件の狂犬病ワクチンを3本取り出す。


「なんだそれは?」


「狼憑きを治す薬」


「……本物なんだろうな?」


 疑うウルフリード。まあ、普通疑うよな。俺も同じ立場なら疑う。

 疑うどころか毒薬と断定してきたクライスは置いとくとして。


「臨床実験は済ませた」


「ふむ……」


 まだ疑っているようだ。しかし臨床実験ってしっかりと通じるのね。


「私とお嬢様もそれを使う時に立ち会っております。もし疑うのなら騎士団に所属するエントゥア様に確認すればよろしいかと。彼……ソーマ様とエントゥア様が使用しておりますので」


 ヘンリエッタさんが助け船を出してくれた。


「……分かった。買い取ろう。ただし、もし効果がなかったら賠償を払ってもらうからな」


 よし、これで指し引き2400ディールになったぞ。

 あと、ワクチンの使い方や保管の仕方を教えるついでにポーションが何故高いのか聞いてみた。そしたら、


「効果が高いからな」


 だそうだ。ナビーさん曰く、ユークリッド商会のは希釈して効果が薄い、とのこと。因みにユークリッド商会で売られているHPポーションは300ディール、その癖、効果はここの1/5だそうだ。そりゃ割が合わんわ。

 それとHPポーションよりMPポーションが安いのはMPポーションの方が材料も手間もかからないからだそうだ。ゲームとかだと逆なんだけどな。

 

「あ、あと75本程あるけどどうする?」


「それを全部買えるほどの金を持ち合わせていると思うのか、馬鹿者」


 デスヨネー。

この世界のエルフとドワーフは然程仲が悪くありません。あと寿命ですが、人間が60~70歳位、エルフは200歳前後、ドワーフが120歳程です。人間の寿命が低いのは戦争や医療技術の未発達等あります。ただ、70歳越えても未だ現役という者も居り、100歳まで生きた事例もあります。

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