1ー11 冒険者ギルドと予想斜め下のテンプレ
PV500、ユニーク200突破しました。
感想とかブクマとか評価とかしてくれると…………いえ、ナンテモナイデス。
ユリシカに留まることになったが、これからどうするか決めてない。生活する為、何か職に就かないと。それに住む場所も。
その事でクリスト伯に尋ねてみたが、
「戦う術が有るならば、兵士か傭兵か、或いは冒険者か、だろう」
兵士はパスかな。堅苦しそうだし、それに戦争とは無縁の生活送ってたし。ただ、ユリシカが戦地になることは先ず無く、盗賊団の討伐が主な任務らしいが。それでもクライスが居る時点で除外だ。傭兵も同じ理由でパスだ。何より戦が無ければ収入も無いのだ。となると、
「冒険者、ですかね」
まあ、テンプレだよな。元々そのつもりだったし。無かったらどうしようと正直不安だったが。
ただ、クリスト伯からの推薦状とかは貰えなかった。残念。
クリスト伯の屋敷を出ると何故かユフィとヘンリエッタさんが付いてきた。
「何で俺に付いてくんの?」
「ソーマ様は冒険者ギルドの場所はお分かりになりますか?」
……着いたばかりなんだから分かる訳無いじゃん。そりゃ道案内は必要になるわな。
「じゃあユフィは?」
「え? 付いてきちゃ駄目ですか?」
……いや駄目じゃ無いんだけどさ。
「お察し下さい、ソーマ様」
……いやだから何を?
「お嬢様はソーマ様と一緒にいたい、そういうことです。一目惚れ、そう申したではありませんか」
「ふあっ!? もう、ヘンリエッタ!」
あ、ユフィが真っ赤になった。てかあれマジかー、マジだったのかー。
…………あれ? ひょっとしてモテ期?
☆★☆★☆★
ヘンリエッタさんを先頭に、俺とユフィが並んで歩く。
ふと、馬車を使った方が歩かずに済むのでは、と思ったが、ユフィは時折ヘンリエッタさんと街を歩いて回っているそうな。なのでそう珍しくもないそうだが……
なんか、周囲の視線が痛い。つか色々呟いてる。「魔王の子……」「ユーフォリア様が人質……」「衛兵に通報……」
……ただ一緒に歩いてるだけでこれか。溜め息でも吐きたくなる。実際に溜め息吐いてるけど。しかもマジで通報したのか衛兵が来るが、警戒するだけで何故か何も対処しない。
しかし、屋台食べ歩きとかしたかったんだけどなぁ……これは無理だろうな。
尚、貨幣には金貨、銀貨、銅貨があり、1ディールは銅貨1枚、銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚、となる。
誰も突っかかってこなかったので20分程で目的地である冒険者ギルドに着いた。立派な石造りの建物で結構大きい。
「ソーマ様、ここが冒険者ギルドでございます」
ヘンリエッタさんに促され、中に入ると、中に居た冒険者やスタッフの人達が一斉にこちらを見た。ここでも今まで同様、「魔王の子」云々とざわつき始めたが無視を決め込み、正面にカウンターに行き、登録しようとするが、何かが行く手を塞いだ。
「よう、ここはテメーのようなクソ野郎が来るような所じゃねえ。そのべっぴんさんを置いてとっとと帰んな」
目の前にいるのは俺より頭一つ分でかい、筋骨隆々のスキンヘッドの大男。少し酒臭いのは昼間から酒を呑んでるのだろう。
「無礼な、この方を何方と――」「姉ちゃん達もこんなクソ野郎なんぞほっといて、俺様と良いことしようじゃねえか」
ヘンリエッタさんの言葉を大男が遮る様に下衆い事を言う。
「伯爵令嬢に何言ってんだよ、あいつ……」
「助けに入ったのかと思ったら……」
「うわ、サイテー」
周囲の冒険者の方々、大男をディスってますな。肝心の大男は酔っ払ってるのか気にしてない様だが。或いは聞こえてないかもしれないが。ともあれ、二人を後ろに下げ、
「うわ、それで女の子を口説いてるつもり? それじゃ嫌われるだけだっての。それとも万年発情期のオークか何かかな?」
敢えて挑発した。それと同時に大爆笑の渦が沸き上がる。
「おいおい、言われてるぞ、ボルドー!」
「ぷっ、万年発情期、万年……くくっ」
「ボルドー、お前鏡見ろよ、お前に靡くような女はいねえっての!」
「あいつ、この前アタシに『抱かせろ』とか言ってきてさ、本当キモいっての!」
「うっわ、同情するわー。あいつに抱かれるならまだあの黒髪の方がマシね」
「顔は整ってるもんねー」
……うん、少しだけ同情した。少しだけな。
「ぐぬぬぅ、てめえ! ぶっ殺してやる!!」
大男が顔を茹で蛸の様に真っ赤にして殴りかかる。が、大振りだから見切り安く、あっさりとかわす。そして俺は、殴りかかった腕を掴み、一本背負いの要領で大男をぶん投げる。てか幾ら相手が酔っ払いとは言え、思いきり巧く投げれたな。
「げはっ……くそっ、てめえ……!」
投げられた大男は立ち上がると、俺を睨み付け、再び殴りかかる。相変わらずの大振りだ。俺は左半身を半歩前へやり、両拳を胸に構える。所謂ボクシングのファイティングポーズだ。そして、
「肘を左脇の下からはなさぬ心構えで、やや内角を狙い、抉りこむ様に、打つべし! 打つべし! 打つべし!」
左ジャブ、左ジャブ、左ジャブ、続けて右ストレート! 読んでて良かった明日の○ョー。
「ぐべえっ」
まともに顔面に食らった大男は派手にぶっ倒れる。そして沸き上がる喝采。この男、かなり嫌われているのか?
流石に騒ぎすぎたか、カウンターから一人の受付嬢が来た。茶色い髪を後ろで纏め、つり目の茶色い瞳で、眼鏡をかけている。美人なのだがかなりキツそうだ。
「貴方、彼に何をしているのですか?」
俺を責めるように、受付嬢がそう言ってきた。しかも調子にのったのか、
「イスカさん聞いてくれよ。あの女の子達を助けようと思ったらあのヤロー、殴って来やがったんだぜ」
「それは酷いことをしますね。ボルドーさんは何も悪くないというのに」
こっちを悪者にしようとする。周りから「いやいやいや」「どっちかとゆーと逆じゃね?」とか聞こえてくるが、受付嬢は敢えて無視している。
「貴方、彼に謝罪しなさい。それとも魔王の子は謝罪すら出来ないと?」
「何で俺が? アレが俺達に突っ掛かってきた上にユフィ達に酷い対応とったんだぜ。寧ろ謝ってほしいのはこっちなんだけど」
「ユフィ?……まあ、ユーフォリア様。魔王の子に無理矢理連れ回されされさぞ怖かったでしょう」
「え? あ、違……」「もう、大丈夫です。ここには彼の様に勇敢な者もいます。もう怖い思いはさせません」
ユフィの否定の言葉り遮り、俺を悪者にする受付嬢。他の冒険者も大男を非難してるのに無視してるし。怒りを通り越して呆れるわ。
「いや寧ろあの人が……」「魔王の子、ユーフォリア様を拉致し不当に連れ回すとは、誰かこの者を捕らえるのです!」
「だから私の話を聞きなさいっ!」
ユフィがキレ気味に怒鳴った。
「髪が黒いってだけでいい加減なことを。彼は私の命の恩人です。それに私が無理を言って付いてきたんです。私の言葉を遮り、先程から何なんですか貴女は」
「はぁ、ユーフォリア様。魔王の子に拐かされてしまったのですね。だから正常な判断が出来なくなっているのです」
この人、完全に決めつけている。
「生憎ですが、ソーマ様とお嬢様の仰った事は本当です。周りの方々が証人です」
ヘンリエッタさんが俺を弁護してきた。
「……………………本当ですか?」
受付嬢はまだ疑ってるが、周りはうんうんと頷くのを見ると、
「……ちっ、では、そういうことにしておきます」
おい、ではってなんだよ? しかも舌打ちしたよな!?
「それで、当ギルドに何かご用ですか?」
「冒険者の登録をしに来ました」
そう言うと、受付嬢は露骨に嫌な顔をして、また舌打ちをする。
「ではこれに記入してください」
と、記入用紙を出してきたのだが……
「読めん」
何が書いてあるかさっぱり分からなかった。
ボルドー以外の冒険者も内心ではソーマを差別しています。ただ、魔王の子は差別対象ですが害を及ぼさなければなにもしない。けどボルドーは色々被害(主にセクハラ)を出してるので嫌っている。他の冒険者からすれば好感度はソーマ>>>>>>ボルドーです。
あとイスカはクライス以上のルミナス教シンパです。魔王の子には何してもいいと本気で思ってます。