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1ー1 E☆世界メイトと異世界転移

初投稿です。宜しくお願いします。


2019/01/06

サブタイの変更及び加筆改稿しました。

「あー、相馬君、君、明日から来なくていいから」


 上司の課長に呼ばれたから行ってみれば、解雇通知を言い渡された。


「それと今月分の給料出さないから」


 いや待て、ちょっと待ってくれ。幾らなんでもそれはおかしい。普通に労働基準法に反しているだろ。


「は、あの、どうしてですか?」


「あれだけミスをしておいて給料出せるわけ無いだろう。ミスしたぶん天引きしたんだよ。寧ろ賠償払えと言わなかっただけありがたく思いたまえ」


「あの、そのミスのほぼ全部が課長の……」


「私に君のミスを擦り付けるな!」


 駄目だ。この人に何を言っても無駄だ。そもそも俺のミスと言いながらそれ全部課長のだし、全部擦り付けてるの課長じゃん。おまけに俺のとってきた契約とか功績諸々全部課長の功績にしたり。そんなことされてるの俺だけだよ。同期や後輩は順当にやってるし。そう言えば課長と同期の奴は俺に仕事押し付けてたりしたっけ。

 周囲を見渡すも、ニヤニヤと嗤っており、女子社員に至っては早く出ていけオーラが出ている。

 俺に味方をする奴は誰も居なかった。


「早く自分の荷物を纏めて出ていきたまえ」


 俺は怒りと悔しさと虚しさの感情をない交ぜにしながら自分の荷物を纏め、その部署を後にした。

 俺が出ていった後、部屋から万歳三唱する声が響き渡った。


 その日、俺、相馬孝太郎は会社をクビになった。

 


 ☆★☆★☆★



『ということがあってね』


『それは酷いですね』


 俺は今、とある女の子とLI○Nで話している。以前偶々目に入った出会い系サイトで知り合った娘だ。


 E☆世界メイト

 まあ、出会い系なので18禁な訳だが、何故か目に入った瞬間、そのサイトに登録してしまったのだ。料金も安心設計なのも後押ししたのかもしれない。或いは相当ストレスが溜まっていたのかもしれない。

 そこで、話の合いそうな娘を選び、見つけたのが『りぃん』ちゃんだった。他にもいたのだが、何処と無くサクラっぽい名前だったので気が引けたが、どういう訳かりぃんちゃんは何となくこの娘は違う、そう判断してしまったのだ。

 まあ、その事に全く後悔はしていないのだが。事実、この娘と話すのは楽しい。ただ、本人に一度も会っていないのが不満と言えば不満である。

 因みにE☆世界メイトは顔写真NGだったりする。


『あの、明日会いませんか?』


 りぃんちゃんから返事が来る……ってなんですと!?


『マジで!?』


『はい、マジです』


『落ち込んだ相馬さんを慰めるにはここで話すだけでなく直接会うのが一番です!』


『だから、どうですか?』


 どんどんりぃんちゃんのログが流れる。確かに実際会ってみたいという思いはある。だが、自分の外見でどうしても二の足を踏む。

 身長は175cm程、それはいい。ただ、体重は120kgの重量級、頭のてっぺんも薄くなりだした。自分で言うのも何だがキモデブハゲの三連星だ。そのせいで女子社員には蛇蝎の如く嫌われている、いや、会社クビになったから嫌われていた、が正しいか。

 だからもし会ってりぃんちゃんに幻滅されたら、そう思うと胃がキリキリする。


『本当に? 自分で言うのも何だけど俺、酷い外見だよ』


『そんなの気にしませんよ。それに相馬さんいい人っぽいから』


『だから明日10時に。場所は――――で。はい、決定』


 という訳で、明日りぃんちゃんと会うことになった。かなり強引に。



 ☆★☆★☆★



「あの、相馬さん……ですか?」


 そう言って俺、相馬孝太郎の前に立つ女の子。

 はっきし言って可愛い。超可愛い! そこいらのアイドル顔負けの美少女だ。腰まで伸ばしたストレートの黒髪。瞳も黒いが顔立ちは北欧系で肌も白い。身長は150そこそこで白いワンピースを着ている。胸は…………控えめだがそこがまた良い!


「あ、ああ。そうだけど、りぃん……ちゃん?」


「はい! リアルでは初めまして、ですね、相馬さんっ」


「あ、うん。そうだね、は、初めまして、相馬孝太郎です。きょ、今日は宜しくね」


「はいっ!」


「ところでりぃんちゃんってJC……」


「二十歳ですっ!」


 いや、女子中学生(JC)にしか見えないんだが。


 ところで端から見たら、俺達どう見えるんだろうね。美女と野獣……いやお姫様とオークか?



 ☆★☆★☆★



 いくら出会い系だからって真っ昼間からいたす訳にもいかず、映画(アメコミヒーローが集うアレ)を観て、一緒に食事(某モールのフードコート)して、ずっとりぃんちゃんと話してたり。例えば……


「相馬さんは、もし異世界に行くならどんなチートが欲しいですか?」


「うーん、行くにしてもまずは痩せてからかな。でチートは言語理解とかアイテムボックスとか」


「欲が無いですねえ。聖剣とかいらないんですか?」


「最初から強い武器とか魔法とかつまらないよ。成長の楽しみがなくなるじゃないか。まあ一般人よりは高めの能力値は欲しいけど、高過ぎるのもなあ……」


「本当にそんなチートで大丈夫か?」


「大丈夫だ、問題無い」


「「…………って古っ!」」


 こんな感じだ。一緒に喋るのは楽しいけど、何故か異世界転移な話題ばかりだ。この手のジャンルは嫌いじゃない、と言うか大好物なので気にはしないけど。

 

 てかこれ、デートだよな。人生初デート。



 ☆★☆★☆★



 楽しい時間はあっという間に過ぎて行く。だいぶ陽も傾いてしまった。


「……そろそろいいかな。付いてきてくれるかな?」


 と、りぃんちゃんが言ってきた。心なしか、頬が赤くなっているのは気のせいじゃない。


 嗚呼、遂に俺も……しかもこんな美少女と、と浮かれて付いていったら、何故か公園。まあ、公園と言っても遊具施設等無く、芝生の広場があるだけなのだが。

 え、外で? つか隠れるとこ無いから誰か通れば即バレですよ、大胆過ぎるよりぃんちゃん! 等とエロモード全開だったから俺は全く気付かなかった。普段ならこの時間誰かしらいるのに、人っ子一人、それどころか、周囲の道路も車一台通らないことに……


「じゃあここに立って、目を瞑って」


 と、ちょっと恥ずかしそうなりぃんちゃん。ハイハイ、ここに立って目を瞑ればいいんですね。オラなんかドキドキしてきたぞ。

 ってあれ? これって騙されてね? 実はりぃんちゃんは帰って間抜けな俺がポツンと独りで目を瞑ったまま……。だとしたらすっげー悲しいんすけど。とか考えてたら――


 ちゅっ


 く、くくくくく、口に何か柔らかいものがーーーーー!!!!! 吃驚して思わず目を開けちゃったよ! そしたら、


りぃんちゃんが俺にキスしてる! しかも――


「ん……あむ…………」


 舌入れてきた! ベロチューだよ! でぃーぷきすだよフレンチキスだよファーストキスだよマジかよもう俺このまま死んでもいいよ! ってこのあともっとすごいことするんだった落ち着け俺って落ち着けるかーーーーー!!


「……………………ふぅ」


 どれ程時間が経っただろうか、りぃんちゃんは唇を離した。俺の唇とりぃんちゃんの唇との間に唾液の糸が引いてて、それがぷつりと切れる。


「……………………」


 りぃんちゃんの唇の感触が残ってて、りぃんちゃんが俺にキスしてくれたことが嬉しくて、俺は言葉が出なかった。だが彼女の次の言葉と行動で俺は現実に引き戻された。


「これで私と相馬さんとの契約がなった。あとは――」


 りぃんちゃんはそう言うと、俺から少し離れて、どこに仕舞っていたのだろう、おもむろにナイフを取り出し――


「つっ!」


 自分の掌に刃をあてて切った。


「ちょ!? りぃんちゃん! 何やってるの!?」


「動かないで!!」


 駆け寄ろうとする俺をりぃんちゃんは制止する。掌から流れる血は地面に落ち、円を描き始めた。りぃんちゃんはその場から一歩も動かないにも関わらず、だ。

 流れる血は更に描く。円と何か複雑な図形、よく分からない、恐らくは文字。そう、これは魔方陣だ。俺はそう直感した。


 そして、血で描かれた魔方陣は完成した。りぃんちゃんの顔色が心なしか悪い。あれだけ血を流したのだから当然だ。


「あの……りぃんちゃん、だいじょう」「相馬さんには今から異世界に行ってもらいます」


 俺の言葉を遮って何かトンでもないことを言ったぞ。


「その世界は所謂剣と魔法の世界です。貴方はそこに行ってあることを為してもらいます。それが私と相馬さんとの契約」


 りぃんちゃん、何を言ってるのか全然分からないよ! と言おうとしたが声がでない。何故だ!?


「魔王リィン·カーネーションの名に於て、転移の門よ、開け! そして彼の者を異界へと送り届け!」


 その言葉と同時に俺の身体は沈み始めた。魔方陣に。


「相馬さん、私を探して。そして……」


 りぃんちゃんは辛そうな、悲しそうな顔をしてて、俺を見ていて。


 それは沈み行く俺がこの世界で最後に見たもので。


 ――私を、殺して。


 そして、俺は完全に魔方陣の中へ沈んでいった。


 




りぃんの容姿のイメージは人気Vtuberのキ○ナ○イです。或いはリリカルな魔法少女の魔導書。

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