輝きとの邂逅
新シリーズ(笑)。
こんどは過去編。話数はそんなに増やさない予定。
これは、俺がもといた世界…名前は知らんが、魔法や妖族がいない世界の話だ。
現実は酷く残酷で、余りにも空虚で、辛辣で醜く愚鈍だった。
第三次世界大戦、第四次世界大戦が終わり、やっと訪れた平和な時代。それは、平和であって幸福ではなかった。
第二次世界大戦後のような長い平和、それが続き、崩壊しかけた文明は完全に回復。世界の中には貧困に飢える国もあれば、戦争で儲けた金を株に金をつぎ込む国もあり、そんな中俺のいる国日本は文明の急成長による相場の変化などの革命に奔走していた。俺はそんな時代に生まれたーまあ、いわゆる
ピンポーン
「かっくーん、あそぼーよー」
輝井ちゃんの声だ。
ちなみに本名は輝井 照美…のはず。
「ちょっと待てよー、じゃあ鈴蘭、行ってくる。」
「うん、早く帰ってきてね、お兄ちゃん!」
俺はいわゆる、普通の高校生
「かっくん宿題終わった?」
「当然、もう今週分はな。」
…普通ではなく、いわゆる天才って奴だった。
俺は小学生の時親の書庫で見つけた参考書を読んで、中学高校大学の勉強を終えた。そのとき親に言って大学を受験し、合格。国では一番の所に入った。
昔は年齢と学歴はある程度一致していなければならなかったらしいが、第三次大戦後優秀な人材育成のため飛び級ありになったらしい。
俺はそんな中でも飛び抜けていて、何百年に一度の天才だとかよく言われた。…だから、よくテレビなどにも出ていた。
「日曜日なのに働くかっくんのおとうさんとおかあさんは働き者だよね。」
「そのかわり月曜休みだけどな。」
最近はテレビには出ないことにしている。…まあ、あんな大人の醜い奴等と一緒に出るのはもう嫌だからな。
俺は大学を卒業したあと少しして中学に入った。
というのも金は十分にあるから、働く必要すら無いのだが。
俺は…この世界に対して、当然の疑問を持っていた。
何故俺は生きているのか。
何故俺はこの世界にいるのだろうか。
そうした問いが溢れてくる。
そんなことを考えると、いつも思い出すのは親父の話だ。
「理想郷」
親父はいつも、この世界の外側には幾つもの世界があり、その中には人の願いの終着点、「理想郷」が存在すると言っていた。
「理想郷」は幾つものあり、だがそれ以外の、この世界のような世界ももっと幾つもあるとかなんとか。
決められた役割を無意識にこなし、劇でもやっているように全員のハッピーエンドが待つ世界や
密や乳の流れる世界
永遠に終わらない資源を抱え、食物も永遠に作ることができる土地のある世界
いろんな世界のことを教えてくれた。
もっとも、そんなものがあるはずはないが。
そもそも異世界ってなんだよ。小説かよ。
親父いわく小説とか文献も過去の異世界との交流中に相手の世界を模した文献を残し、それが現代的になったのが小説とか…
それならなんで今は交流無いのかって聞くと
「侵略されたら怖いから、拒否してる。」
だそうだ。
こんな親父でも、割りと立派だったりするのが不思議だ。
親父は警察官で、過去何度も死にかけながら必ずターゲットを捕まえる姿勢から"蛇"とか呼ばれてる。
俺としてはナイフでメッタ刺しにされてなんで生きてるんだって感じだがな…
そんな親父の影響か、おれはあんまり怪我を恐れない。
昔だれかが崖近くで足を滑らせて落ちかけたのを引っ張ってかわりに俺が落ちた(足から落ちたので足の骨を折った程度)とか、そういうこともあったしな。
そんな俺を見て…そのときは幼稚園児だったのだが、保育士は"怖い"とか言ってた奴ばっかりだったな。
骨折った程度でいくら幼稚園児でも泣かないだろ。
俺は表情が変わらないから、自然と心もそんなに起伏が無くなったんだよな…多分。とか考えてた時もあったなあ…
「かっくん?聞いてる?起きてる?寝てる?」
「寝てる。」
「じゃあかっくん覚えてる?私がかっくんのことかっくんて呼び始めた時のこと。」
「覚えてる。」
たしか俺が大学に飽きて卒業した後に中学入ってすぐだったな。
あのときの俺はそこそこ人気者だった。
天才だとか神だとか死ねとかよく言われてたな。
そんな俺に対して2つの組織…グループ…派閥?があった。
ひとつは学校の男子半分と少しの女子で組まれた"対立派"
まあ、俺のこと嫌いなやつらだ。
もうひとつはそれ以外ほぼ全部、"親徒派"だな。
当時の俺の名前は業花 徒徒。
大体の人からトトって呼ばれてたから新入生でトトだと思った奴もいて、少し…イラっとした。顔には出せないが。
そんな2つの派閥の争いは…特になかった。
というか俺が近くにいなければ関係なかった。
問題は近くにいるときだ。
露骨に態度を変える奴もいて、俺は喧嘩の火種になっていた。
そんなあるとき、理由は知らんがとある女子がいじめられているのを俺は目撃してしまった。
その女子は親徒派の奴だったし、流石に男子複数で(しかも対立派で)見ていて気分が悪かったので、少しそこの男子に煽ってみた。
こうか は ばつぐん だ!
だんしたち は ちょうはつ にのって しまった!
だんしたち は なぐりかかって しまった!
かつと には あたらなかった!
かつと の トラップカードオープン!
「聖なるバリアミラーフォース(←鏡四=きょうし=教師)」
きょうし が あらわれた!
きょうし の バークアウト!
だんしたち は なきだした!
…まあこんな感じかな。
それで俺は輝井ちゃんと仲良く?というか懐かれて、
「かつとくん」と呼ばれてよく近くにいるようになった。
…このときはまだ良かったんだけどな。
少しすると、丁度偶然たまたまなぜか輝井ちゃんがいじめられているのをまた見つけてしまった。
今度は"親徒派"に。
そんでまた同じことをしようとおもったんだが、そいつらの会話が
「最近近くに居すぎ」
とか
「もっと距離を置くべき」
といった内容で、何となく察した。
俺としてはみんなよそよそしかったから(怖がられてた可能性)よく話しかけてくれてそこそこ嬉しかったのだが、その結果がこれか…
それに対して輝井ちゃんは
「近づくななんて言われてない」
そうなんだよなあ…
それでまた口論になりそうだったから、そろそろ止めるかと思って俺は集まっている所に出ていった。
さて、ここでひとつ予想外の事態が起きていた。
俺はそこに輝井ちゃんと数人の女子がいるものだと思ったのだが、そこには学校の女子の半数ほどいたのだ。
俺の登場にみんな様々な反応を見せていたが、
まあ戻るに戻れない俺はそのまま出ていってこう言った。
「俺は一人が寂しいからもっと話しかけてくれると嬉しい。」
その後の俺の学校生活は友達と呼べるものが沢山いるすばらしい(一般論)生活となった。
その「もっと話しかけてくれると」とか言った影響が、輝井ちゃんの"かっくん"呼びの始まりである。
俺の歴史
生まれる
↓
幼稚園(2~3歳途中まで)
↓
大学(3~5歳途中まで)
↓
すこし家にいた
↓
中学(12~15歳)
↓
高校(15~)
↓
転生(17歳)