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香港からの転校生

「今日からこのクラスで新しく勉強してもらう、転校生を紹介します。」

　もう11月だというのに、時期はずれの転校生がやってきた。

　その姿は卒業旅行で行方不明になった美咲先輩にそっくりだった。

「彼女は、小さい頃からお父様の仕事の都合で海外で長く過ごしておられたそうで、慣れない事もあると思いますが、皆さん助けてあげてくださいね」

「中川律花と言います。宜しくお願いしマス。」

　背格好も、整った顔立ちも何から何まで似ているが、髪型が違う。

「よろしく。」

「よろしくね。」

「はじめまして！」

　クラスの何人かが、さっそく質問責めにしている。

「美咲先輩の親戚かな？　苗字は違うけど」

「似すぎてて怖いわ」

「ミサキは誰ですか？　」

「えーと去年卒業した先輩よ」

「私、その人は知りません」

　やはりただの偶然なのだろう。