メロンパンと不思議な男の子と
あれ以来
「あ。」
無意識に碧くんを探している私がいた。
今日は図工かなー。何作ってるんだろ…
はっ、し、しまった。これじゃ最早ストーカーと変わらないじゃないか!!碧くんは私がここから見ている事知らないよね?確か。ていうかこの間ちょっと話したばっかりだし。イヤー!!私にストーカーの気質があったなんてっ!!
ああぁともだえながら机に伏せる。隣の人が変な顔をしてみてくるけど、この際どうでもいい。
「……少しだけならいいかなぁ。前から見てたし。」
と、なにやらよくわからない理屈をつけて結局私は自分の誘惑に負けて碧くんをガン見してしまった。
「はああぁー…。」
お昼休み
また例の中庭で一人パンをかじる。
今日はこの間食べられなかったメロンパンにした。それを思いっきり頬張る。あー幸せー。
と、まぁ。これだけ幸せな状況でもため息が出てしまう理由は…。
「…私、碧くんにこればれたら嫌われるかもしれない。」
これ、とは私がこっそり碧くんを見ている事である。なんだかなぁ…もはや習慣になってしまっているみたいで抜けないんだよなぁ。…ていうか別に仲良くなってもいないのに嫌われるっていうのも変な話か。気持ち悪がられる…かな。あぁダメだもっと落ちてきた。
「はあぁ…どーしよ。」
「なにがですか?」
……え?
気がつくと、私を覗き込むようにして碧くんが隣にしゃがんでいた。
「うっわああああああ!!?」
なっ!な?!?!
「あっ!碧くん?!」
「…?大丈夫ですか?北村さん」
碧くんはしゃがんだまま首を傾げて不思議そうな顔をした。
一方私はと言うと、座り込んで若干後ろに傾いている体制。あぁ、動揺してしまった。
「あ、えっ、えと、だ…大丈夫!大丈夫です!!あはは…」
とりあえず体を起こして会話を試みた…け、ど…。
「…。」
あああー!!!だめだーこれ、しくじったー!碧くんめっちゃ考え込んでるー!!
あぁもう本当に日本人だけど日本語力が欲しい…あああー…。とか考えていると、急に碧くんが口をひらいた。
「……今日は、それなんですね。」
「へ??」
それ…とは、私の食べていたメロンパンの事だった。
「あっ、あぁ!これ?メロンパンですよー!えーと、食べますか??」
「それはありがたいですが、そうではなく…て…えーっと。」
ん?口ごもってる。というか何か碧くん、そわそわしてるし…それになにか後ろに…?
あ
「………メロン…パン?」
「え?!」
あ、驚いてる驚いてる。
まさか私にバレると思っていなかったのか碧くんはわたわたし始めた。…ちょっと可愛い
「あ!碧くんもメロンパン好きなんですか?美味しいですよねー!」
「いや、えーとすみません、食べた事ないです。…そうではなくて。」
あれ?違った??というか今、食べたことないって言った!?この人、メロンパンを??!
すると、なにかを決心した碧くんがこちらにメロンパンをスッと差し出してきた。
…ん?なにごと??
「……この間、このパンをダメにしてしまったので、今日買ってきたのですが…まさか被るとは思っていなくて、でももし良かったらもらってください。」
「へ?!」
え…この間って、あ、はじめて会ったときの事か!まさかずっと気にしててくれたのかなぁ?
私はなんだかふわーっとした気持ちになった
「…ありがとうございます!!碧くん!」
そう言うと、碧くんはほっとした表情になり…
あ、ちょっと柔らかくなった??
碧くんの雰囲気が柔らかくなった気がした。
「あ、あの碧くん!もし、良かったらなんですけど…」
「はい?」
あ、あれ、なんだろ…こ、今度は私が緊張してきたっっ!
「これ!…このメロンパン!一緒に食べませんか??」
「え?」
メロンパンを食べた事ないなんて人生損してる!…そう考えた私は思い切って一緒に、と誘ってみた。
な、なんかドキドキする?!…あ、やばい顔とか赤くなってないかな…。
…返事がない事に不安を覚えて顔をあげると
「……っ!!」
とても嬉しそうな、少し泣きそうな碧くんの顔があった。
「…ありがとうございます、北村さん。お礼だけでもとても嬉しかったのに…」
「…っえ、いや、私はそんなお礼言われる事なんて…」
予想外の碧くんの反応に私は困ってしまった。
そして碧くんは私が差し出していたメロンパンを一口かじり
とても美味しいです。
と、極上の笑みを浮かべたのであった。
書いてしまいました!2作目を!!
結構楽しかったのでもしかしたらまた書くかもしれませんが、その時はお付き合いお願いします(。-∀-)ノ