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繰り返し
♪ぽんぽこぽん!
♪ぽこぽん! ぽん!
御殿の狸たちは、腹鼓を無心になって打っている。
武器を突きつけられ、三人は狸御殿へと引き立てられていった。
ぎいい──と、御殿の正門の扉が観音開きに開いた。
内部は色彩の氾濫であった。
柱は真っ赤、壁は鮮やかな檸檬黄色、天井は真っ青に塗られ、床は桃色の大理石でできている。
さらにあちこちに、どこから調達したのか、掛け軸や屏風が所狭しと飾られている。描かれているのは、すべて狸を主人公としたものである。
無数の狸がこの狸御殿を建設しているところを描いたもの、合戦だろうか、狸たちが思い思いに武器を取り、様々な妖怪たちと戦っているところなどが描かれていた。
どの絵にも、必ず目立つ位置に巨大な体躯の狸が描かれている。どうやら同じ狸らしく、顔の模様が同じであった。
「また、同じような目に遭っちまったよ……」
時太郎は苦々しげに呟いた。
苦楽魔でも、同じような扱いを受けている。こういう体験は、繰り返す性質のものなのだろうか。二度あることは三度ある、とか……。