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怒り

 おみつ御前は、時太郎たちに向き直った。

「あんたら、狸御殿から来たとお言いだね。間違いないね?」

 念を押すおみつ御前に対して、時太郎とお花は頷いた。

「それで、目的は、千代吉の婿入りの話を元通りにするってことかい?」

 再び二人は、こくんと頷く。

 おみつ御前は、にやりと笑いを浮かべた。微かに開いた口許から、白い牙が覗く。


「嘘だね」


 その言葉に時太郎はかっ、となった。

「嘘なもんか!」

「いいや、嘘だ。お前ら、狸御殿の刑部狸から頼まれ、この狸穴に諜者スパイとして入り込むため、やって来たのさ!」


 お花は、ぽかんと口を開け、囁くように呟く。


「ど、どうして、そんな解釈になるの? あたしたちが諜者だなんて」

 おみつ御前は立ち上がった。立ち上がると、さらに巨大さが強調される。

「報告ではお前たち、狸御殿の豆狸まめだを伴っていた、とある。しかし、その豆狸、どこに居るんだい? 姿が見えないじゃないか!」


 時太郎とお花は顔を見合わせて「あっ!」と叫び合った。


 そうだ、すっかり忘れていたが、豆狸の姿が見えない。いったい、どこで何をしているのか?

「こいつらをふん縛って閉じ込めておきな! なんとしても白状させてやる。いい機会だ、この際、狸御殿の刑部狸に眼にもの見せてやるさ……」


 その声に周りの狸たちが手にした竹槍をざっ、と水平に構え、時太郎とお花を取り囲んだ。

「抵抗するな! 妙な真似をすると、ぶっすり行くぜ!」

 竹槍の先で歩くよう指示する。


 時太郎は思っていた。


 二度あることは三度ある。三度あることは四度ある。四度あることは果てしなく無制限にある……。


 冗談じゃない!

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