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 豆狸は鹿爪らしく頷いて見せた。


「はい、この婚儀は、どちらにとっても是非とも成功させなくてはならぬ、と大変な意気込みで御座いました……それが今度のことのような仕儀になって……」

 時太郎は話しに加わった。

「それで、なんで狸御殿から、そいつらが狸穴とやらに移り住んだんだい? 反旗を翻したって、どういう意味?」


 豆狸は頭を振った。


「よくは判りませぬ。ただ、自由な生き方をしたい、と言うのが理由だったそうで。なんのかんの言っても、刑部狸さまは配下の勝手な振る舞いには毅然とした態度をお示しになられますから、若い狸たちにはそれが不満だったのかもしれませぬ」

 話しているうち、豆狸の足取りが乱れてきた。ぜいぜい、はあはあと息が切れ、桃色の舌を口の端から垂らしている。お花は心配そうに声を掛けた。

「あんた、疲れているんじゃない?」


 豆狸は立ち止まり、息を入れた。


「は……はい、このように小さな身体ですので、あなたがたの歩きに合わせると、ちと、応えまする……」


 お花は笑った。


「早く言えばいいのに! それじゃ、あたしの肩にでも乗っかれば?」

 屈みこんで手の平を上にした。豆狸はぴょん、と飛び上がってお花の手の平に落ち着いた。その豆狸を、お花は肩に移した。


「あんたは、ここから道を教えてくれればいいよ」

「恐縮で御座います」


 豆狸はお花の肩でほっと息をついた。再び歩き出す。

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