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改訂 銀閃の戦乙女

こんにちは!

せっかくの三連休ですが、あいにくの雨……なんだか気分までどんよりしてしまいますね。

お休みが明ければ年度末の忙しさが待っていますし、新年度からは新しい環境に身を置くという方も多いのではないでしょうか。

そんな、少し不安や緊張を感じている皆さんの心が、この物語でちょっぴり元気になったなら……これ以上に嬉しいことはありません。


……と言いつつ、実は私自身も4月から部署異動が決まっており、今にも泣きそうな心境だったりします(笑)。

それでは、以下マイサイトの宣伝もしつつ。書き進めていきます。

http://misa770.blog.2nt.com/

##プロローグ##

アルビオン王国の王都。城門前広場は、狂信に近い熱狂に支配されていた。

広場を埋め尽くした群衆の視線は、城壁から突き出したバルコニーの一点へと、吸い寄せられるように注がれている。


そこへ、眩い陽光を背負い、一人の人影が歩み出た。


その瞬間、広場を埋め尽くす民衆から沸き上がったときの声は、地鳴りのような圧力となって大気を揺らした。それは大地を震わせる、凄まじい歓喜の音階だった。

だが、その熱狂の中心に立つ人物だけは、周囲の喧騒を撥ねつけるような、冷徹な静けさを保ち続けていた。


大将軍セレスティーナ・フォン・アストライア。


王国騎士団を統べる将軍であり、この国における武力の頂点に君臨する女性だ。

その容姿はあまりにも端正で、見る者に作り物めいた冷たささえ抱かせる。

陽光を鋭く反射するプラチナブロンドは、一筋の乱れもなく滑らかに流れ落ち、その肌は冬の月のように透き通っていた。


身に纏うのは、峻厳なドレスアーマー。

白銀の装甲と上質な布地が、彼女の豊かなバストラインと引き締まった腰のくびれを、無慈悲なほど鮮明に強調している。

禁欲的な装甲と、その下に隠された成熟した肢体――そのアンバランスさが、見る者の理性を逆撫でするような扇情的な空気を醸し出していた。


彼女の怜悧なサファイアの瞳が広場を一瞥すると、騒いでいた男たちは打たれたように息を呑んだ。

その艶やかな曲線美に視線を奪われながらも、誰一人として下世話な眼差しを向けることができない。

そこにあるのは、触れることすら許されない高次元の存在への畏怖。

「聖性」という言葉すら生温い、絶対的な支配者のオーラが民衆を跪かせていた。


だが、その氷のような表情が、不意に音を立てて崩れる。

バルコニーの死角から、小さな影が彼女に近寄ったからだ。

セレスティーナは、硬質なレガース(すね当て)が膝をつく音も気にせず、その場に深くしゃがみ込んだ。


「おいで、アレクシス」


広げられた腕の中へ、五歳になる息子――亡き兄が遺し、彼女が己の命に替えても守ると誓ったアストライア家の至宝、アレクシスが飛び込む。

セレスティーナは愛おしげに彼を抱き寄せると、整えられた髪に顔を埋めた。

鋼鉄の将軍という仮面が剥がれ落ち、ただの「女」と「母」の顔が覗く。そこには戦場での冷徹さも、英雄としての威圧感もない。

ただ自らの血を分けた存在への――自分を庇って非業の死を遂げた兄より託された、アストライア家唯一の希望への、重く粘度のある愛情だけが満ちていた。

彼女が若くして将軍の座を継いだのは、ひとえにこの幼き甥を、そして一族の血筋を護り抜くためだ。

己の恋も、安らぎも、女としての幸福もすべてを捨て、アレクシスが成人して家督を継ぐその日まで、彼女は「銀閃」という名の盾として生きることを亡き兄に誓ったのだ。


「ご覧なさい。あの民たちの様子を」

セレスティーナは息子の小さな手を自身の指で包み込み、眼下を指し示した。

「私が剣を振るうのは、名誉や忠誠心といった曖昧なものの為ではありません。この国の秩序と……何より、貴方が脅かされることなく生きられる未来を確定させる為なのです」


アレクシスは、視界のすべてを占める母を見上げる。

彼にとって、目の前の女性こそが世界の真理であり、絶対的な基準だった。

「母上はすごいです! 僕も……僕も大きくなったら強くなって、母上をお守りします!」


幼いながらも必死に紡がれた誓い。セレスティーナの胸の奥底で、何かが甘く疼く。

彼女はガントレットを外し、露出した素手で息子の頬に触れた。体温が直に伝わる。

「ええ……楽しみにしていますよ、私の小さな騎士様」


祈るように、しかし契約を交わすように、彼女は息子の額に唇を押し当てた。

「約束しましょう、アレクシス。この命が尽きるまで、私は貴方の盾となり矛となります。貴方がいつか、軍の全権を握る立派な将軍となるその日まで――」


セレスティーナは、濡れたような瞳で息子を見つめ、囁くように言った。

「私の剣も、この身体も、すべては貴方のためにあるのですから」


風が吹き抜け、プラチナブロンドの髪と、少年の金髪が重なり合ってなびく。

その光景は、一幅の宗教画のように美しく、永遠に続くかのように思われた。


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