第七十一話 ボクしか知らない、新たな決意⑤
セシルに怖い思いをさせてしまったことを後悔するエリオット。冒険者を辞めることを決意する――いったんは……
だけど――
本当にそれでイイのだろうか……アウグスト辺境伯と話をして、エリオットはそう思った。思ってしまった。
「どうか、お願い! 冒険者を続けさせてほしい!」
このまま冒険者を辞めて、マリシアの畑を手伝って生きていく人生だってある。だけど――
それでは、何も変わらない――
このままでは、結局、孤児として差別され続けていくだけだ。
「冒険者を続けたからって、何もかわらないかもしれない。でも、ガーネットやラピスと会えて、ボクが変わったように、これからも変えられるかもしれない」
何も変えようと思わなければ、何も変わらなかったのだから――
「必ず、セシルを、家族を守る方法を見つける! だから、どうか冒険者を続けさせてほしい!」
エリオットは妹にそう頭を下げた。
「――いいよ」
「――えっ?」
「お兄ちゃんが続けたいと言うのなら、続けて」
「――本当に、いいのか?」
自分が冒険者を続けたことで、セシルにも怖い思いをさせてしまった。
だから、きっとセシルは反対する――そう思っていたので、拍子抜けしてしまう。
「でも、条件があるの?」
「条件?」
「私も、冒険者になる」
――今、何て言った?
「私も冒険者になって、お兄ちゃんたちとパーティを組ませて」
いきなり、妹にそんなことを言われて、エリオットは面食らう。
「ちょ、ちょ、ちょっと! 何を言い出すんだ!? ダメだよ、そんなこと!」
「あら、どうして?」
「冒険者は危険だって、わかっているだろ?」
しかし、セシルはクスッと笑う。
「だけど、お兄ちゃんは冒険者を続けるんでしょ?」
「ボクは男だから――」
「ミリアちゃんは女の子だけど、冒険者をやってたじゃない?」
そう言われてしまうと反論ができない。だけど、納得したわけでもない。
エリオットは「うう……」と唸る。
「さっき、私も魔法が使えたモノ! 私って、きっと魔法の才能があるんだよ!」
マドロウの息子、ロイドにカラダを触られたとき、セシルはガーネットの声に導かれて、マナを使いこなせたのだ。もちろん、その時は偶然だったのかもしれない。しかし、才能の片りんを見せたことは確かだ。
「だ、だけど、ボクたち孤児は戦闘職になれない。攻撃魔法は習得できないんだよ」
「それは、なんとかなるよ」
なんとかなる――って……
どうやって、妹を説得しようか悩んでいると、ガーネットまでがセシルの肩を持つ。
「エリオット様、大丈夫です。いざとなれば、私がセシル様もお守りいたします」
「ほら! ガーネットもそう言ってくれているし!」
ほら――って、言われてもなあ……
とにかく、その件はいったん保留として、これからどうしていくかしっかり考えないといけない――
エリオットはそう考えるのだった。
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