第七話 ボクしか知らない隠しダンジョン⑦
エリオットが『ガーネット』と名付けた機械人形は、彼について、「マナ使いの素質がある」と言うのだった。
マナ使い? それって、魔法使いの適正ってこと?
「そんなはずは……だって、ボクはこんな小さな火しか灯せないんだよ」
そう言って、指先に小さな炎を灯してみせる。
「それはエリオット様の体内に宿すマナを利用した魔法ですよね? 先ほどもお話ししましたとおり、万物にマナは宿っています。エリオット様は万物のマナを操る能力があるようです。その証拠に私のマナと反応し、私を覚醒させることができました。そして、それもです」
彼女が指差したのは、エリオットが首からぶら下げている、光る首飾りだった。
「これも?」
「はい。それはマナを光エネルギーに変換するアーティファクトです」
「やっぱり、これも魔道具だったんだ」
「そうです。それと、それの正しい使い方はこうです」
そう言って、ガーネットと名付けられたメイド服の少女はエリオットから首飾りを預かると、それを上に向けて放り投げた。すると、エリオットの頭上で浮遊し、そのまま辺りを照らし続けている。
「こんな使い方ができたなんて――スゴい!」
自ら輝く石というだけでも貴重なのに、こんなふうにプカプカと浮くなんて――
「これは、照明石と言って、その中でも、こちらのように浮遊追尾機能を有するモノはたいへん珍しく、『SSR』アイテムになります」
「えすえすあーる?」
「スーパー・スペシャル・レア。『超々レア』という意味です。そうですね、その価値を比較するならば、だいたい十キロほどの黄金と同等――という感じです」
「黄金じゅ、十キロ!?」
それって、金貨にすれば何枚分になるのか、まったく想像もつかない。
「それと、今、エリオット様が手にしている指輪ですが、どうぞ嵌めてみてください」
「これを?」
エリオットは先ほど見つけ、クリスタルの中から取り出した指輪を左の中指にはめる。
「これも、魔道具なの?」
「はい。実際にやってみるのが早いですね。何かココから持ち帰りたいモノはありませんか?」
彼女がそう言うので、「それなら――」と、ミスリル鉱を手に取った。
「それを指輪に接触させて、『収納』と声にしてみてください」
なんかよくわからないが、言われたとおりに「収納」と言ってみる。すると、ミスリル鉱がスッと消えた。
「えっ? どうなったの?」
「その指は『異次元収納リング』という品物で、生物以外はどんなモノでも無限に収納可能です」
「無限にぃ!?」
それはスゴいと驚く。それなら、ココにあるミスリル鉱やアダマンタイト鉱を全部持ち出せるということか?
リュックに入れられるだけでも、かなりの儲けになるのだが、このアイテムがあれば、タイヘンな収入が得られることになる!
「でも、そんな貴重な魔道具が、なんでこんなところに?」
「はい、ココは大昔、バルディア帝国の王宮があった場所になります。この部屋にあるアーティファクトは全てバルディア皇帝のコレクションだったモノなのです」
太古の大陸を制覇したバルディア皇帝は、その時代に存在したレアアイテムを集めるのが趣味だったらしい。帝国が滅んだあとも、こうしてアーティファクトだけは残ったのだろう――そう彼女は言う。
「それじゃ、この辺りを掘り出せばもっとたくさんの魔道具が出てくるということ?」
エリオットの疑問に、メイド服の少女は「その可能性が高いです」と平然と応えるのだった。
(鉱物だけでなく、太古の貴重な魔道具まで……これって、とんでもない発見じゃないか!)




