第五十六話 ボクしか知らない、経営学①
マドロウの息子、ロイドたち三人がマリーの店に到着すると、さっそく入口を塞ぐように、座り込む。
「あのう、ヘンな人たちが入口にやってきました」
ロイドたちを見つけたミリアが、そう声にした。
「あ、ホントだ。お兄ちゃんの言っていたとおりだね」
セシルは特に慌てることもなく、冷静に彼らを見ている。
マリーも厨房から出てきて、外を見ると――
「ああ、本当だね。なんか、強そうだけど、大丈夫なの?」と心配するのだが――
「うん、お兄ちゃんが言うには、あのふたりに勝てる人間はいないらしいから――」
すると、ロイドたちに近寄るメイド服の少女がふたり――
「あのう、すみません。商売のジャマになるんで、そこを退いてもらいますでしょうか?」
背の高いほう、つまりガーネットがそうロイドたちに声をかけた。
「はあ? ネエちゃんたちよぉ。オレたちがどこに居ようが勝手だろう?」
ロイドが薄ら笑いをしながら、そう言うと、ガーネットは「いえ、いつの時代でも自分勝手がゆるされる世界はありません」と言い返す。
「あん? なんだって?」
「それより、私たちと遊びませんか? そのほうがおもしろいですよ」
そんなことをメイドのオンナは言ってくる。相手は絶世に美女――と言っても過言ではないほどの《《イイオンナ》》だ。ロイドは「ははん――」と、相手のカラダをなめ回す。
「そうだな、そのほうがおもしろそうだ」と言って、ロイドは立ち上がった。
「おい、『オヤジさん』からココを妨害しろ――と、言われているんだろ?」
一緒にいた男がロイドに言うのだが――
「なあに、ちょっとだけだよ。コイツらと遊んでからでも、問題ないだろ?」
ロイドがそう言うので、他のふたりも「それもそうだな」とニヤニヤしながら、立ち上がる。
「どうぞ、こちらへ」
ガーネットに連れられ、三人の男たちはマリーの店から離れるのであった。
一時間後――
「マドロウ様――」
彼の秘書であるアイーシアが執務室に入ってきて、「ロイド坊ちゃまたちが――」と声にする。
「おお! どうだ? アイツらはうまくやっているか?」
マドロウは期待を込めてそう言葉にしたが、アイーシアは「それが、そうではなく――」と前置きしたあと――
「実は、ウチの店の前に――」
「――はあ?」
それから急いで、マドロウ商会の店の前に来たマドロウ。
そこで見たのは――真っ裸にされ、顔もボコボコにされた息子たちの姿だった。気を失ったまま縄で縛られ、放置されている。
息子の背中にはこんな貼り紙が――
『もう悪いことはいたしません。ゴメンナサイ』
マドロウはしばらく呆然としたあと、こう呟いた――
「な、なんだ、これは……」




