第三十四話 ボクしか知らない、強さの秘密④
ギルドマスターのマコーミックと勝負することになったエリオット。その余裕ぶりから、なにかしらの魔道具を使用しているとマコーミックに勘付れてしまう。
さすが百戦錬磨の武人だけある。相手の様子だけでそれを見破るとは――と感心してしまった。
「だが、時として攻撃せざるを得ない場合もある。守り一辺倒では守り切れないぞ」
そんなことをマコーミックが言うので、エリオットは困ってしまう。
(――これって、挑発されているのだろうか?)
「どうだ? 攻撃してみろ。どれだけの腕前か見てやる」
腕前って――自分は非戦闘職なのだけど……
まあ、そこまで言われたら、やってみよう――なんて考える。
(それじゃあ、アレをやるか――)
王国では非戦闘職は武器の所持も攻撃魔法の習得も許されていない。そうなると、攻撃手段は限られてしまうのだが――
「わかりました……死なないでくださいね」
「ふん、ぬかしおる」
マコーミックは余裕だ。まあ、そうだろう。ド素人の攻撃など防げないはずがない――そう思って当然だ。
(まあ……ズルをしなければ――ね)
エリオットは『スロータイマー』を作動した。そのまま、全力で駆け出す。
何の小細工もない。技もない。ただ、マコーミックに向かって走っただけ。しかし、『スロータイマー』によって、エリオットのカラダは相対的に超人的な加速を得ていた。
「――!?」
そのまま、相手に体当たりをする!
もちろん、それだと自分にも大きなダメージが加わってしまう――ふつうなら。
しかし、彼は『反射器』も装備していた。つまり、その運動エネルギーはすべて相手に加わるのだ!
「ぐふぁぁぁぁっ!」
とっさに手をクロスしてエリオットの体当たりを受け止めようとしたマコーミック。だが、その威力に負けて、後方へ吹っ飛んだ!
そのまま十数メートル先の壁に激しくぶつかり、横たわる。
「うわっ! ごめんなさい!」
さすがにやりすぎた――そう思ったエリオットは慌てて彼に近づく。
「だ、大丈夫ですか!?」
「ああ、まさかココまでとはな。イヤな感じがしたので、直前に『武技』で肉体を硬化させておいて助かった――でなければ、今ごろ、ペシャンコだ」
マコーミックはそう言いながら笑っているので、エリオットもホッとひと安心した。
「ごめんなさい。そのう……手加減が難しくて……」
平謝りする少年に、ふた回り以上年配のマコーミックは「ハ、ハ、ハ……」とチカラなく笑う。
「このオレに向かって、『手加減』なんて言葉を使ったヤツは初めてだ」
そんなことを言われて、褒められているのか、イヤミを言われているのか理解に苦しんでしまう。
「少年……いや、それは失礼だな。エリオット・ラングレー君、ひとつ聞いてイイか?」
「なんでしょう?」
「あのおネエちゃんは、オマエよりも強いのか?」
そう言って、マコーミックはこの様子を実技場の端っこで見ていたメイド服の娘に視線を向けた。
「ええ、ボクなんかと比べモノにならないくらい強いです」
「――なるほど、納得した」




