第三十一話 ボクしか知らない、強さの秘密①
ギルドハウスのギルドマスター執務室では、何人かの人物がムズカシイ顔をしながら、中央のテーブルに置いてある武具を見つめていた。
「――それで、二度目の鑑定結果もやはり『不明』だったのだな?」
スキンヘッドで顔にキズがある強面の人物がそう声にすると、正面にいた細身で神経質そうな男性が額の汗を拭きながら――
「は、はい――製造された年代も、材質も不明――ただ、レアレベルが『SSR』とだけ表示されていまして――これ以上の『鑑定』には、王都におわす賢者様にお願いでもしない限りムリかと……」
そう、説明するのだった。
スキンヘッドの人物、彼はこの冒険者ギルドのギルドマスター、マコーミックである。
「――と、いうことだ。ウィル、ココにオマエを呼んだ理由がわかっただろ?」
マコーミックがウィルと呼んだ人物、美しい臙脂のジャケットを纏った金髪の男性をチラ見しながら、そう話す。
「ああ、わかった。これはとんでもない品物だな」
「ところで、レアレベル、『SSR』なんて聞いたことがあるか?」
「いや、まったく――王宮の宝物庫の中にだって、レアレベル『SR』がいくつかあるだけだろう」
ウィルハース王国の始祖でもある、勇者アーサーが魔王討伐に使用した『聖剣』、エクスカリバーでさえ最高ランクの『SR』なのだという。
「どうする? 王都へ持っていくか?」
「まさか! こんなモノを見せてみろ。どこから産出したのか――と、王都の貴族たちが自分たちの軍を引き連れてやってくるぞ」
「だよな……」
それからも、部屋にいる者はただ唸るばかりである。
「これを持ち込んだエリオット・ラングレーとは、どういう人物なのだ?」
ウィルと呼ばれた人物が、マコーミックにそう質問すると――
「十五歳の掘削士なのだが、実は例の地震の時、キラ火山で行方不明になった少年だよ」
「あの少年!? 奇跡的に自力で生還した――しかも、イフリートのモノと思われる魔石も持ち帰った――あの少年のことか!?」
マコーミックは無言でうなずいたあと――
「――で? どうするよ?」
「もはや、放っておくことはできまい――」
「だよなあ……」
マコーミックは髪の毛が一本もない頭を掻く。
「とにかく、これらをどこで手に入れたのか、どうやってでも聞き出せ。場合によっては多少の手荒いことをしてでもかまわない。なんなら、拘束してもイイ。私がなんとか誤魔化す」
ウィルと呼ばれた男性は、そうマコーミックに言うのだった。
「わかった。それと、その少年を助けたという機械人形のネエちゃんはどうする?」
「メイド服で美女の姿をした機械人形のことか? 当然、一緒に拘束するしかあるまい」
「だが、証言どおり、そのネエちゃんがイフリートをひとりで倒したのなら、正直、拘束なんてムリだそ。それこそ暴れてでもしてみろ。この建屋が吹っ飛んでしまう」
「だからと言ってだな――」
再び、沈黙が続く――
「仕方ない。これから呼び出すか。少年とメイドのネエちゃんを」
ハラを括った――という顔をして、マコーミックは自分の太ももを両手でバンバンとたたいて立ち上がるのだった。




