第三十話 ボクしか知らないSSRアイテム⑨
「パーティ解散の件はわかりました。しかし、その申請は受理できません」
ギルドの受付でグエルのパーティ解散を申請すると、アマンダからそんなことを言われる。
「えっ? どうして!」
エリオットは納得ができない――という顔を見せるのだが――
「そもそも、現在、グエルさんとクローゼさんは冒険者資格を停止させてもらっています」
「「なっ!」」
思ってもいなかったことを言われ、グエルとクローゼが慌てた。
「どういうことだよ!」
「二人には、パーティのメンバーから報酬を横取りしている――という、疑いが持たれています。ですので、その調査が終わるまで、冒険者としての行動はいっさい停止させていただきました。もちろん、パーティもいったんは解散となりますので、その他のメンバーは、無所属となります」
「そ、それじゃあ!」
「はい、ミリアさんは現在、どこのパーティにも所属していません」
そう言われて、修道服の少女はうれしそうな顔を見せる。
「ヨカッタね! ミリア!」
「は、はい!」
「エリオット! コノヤロー、ギルドにチクっていやがったな!」
「ヒドイ言われ方だなあ。ボクは何も言っていないよ」
実際、グエルに報酬をピンハネされたなんてエリオットが訴えたことはない。その証拠がなかったからだ。
「エリオットさんではありません。グエルさんたちに不審な行動が見受けられたので、ギルド側で聞き込みをしたら、他の冒険者から証言が得られたのです」
キラ火山の件がある前から、ギルド側はグエルの素行に問題がありそうだと感づいていたのだが、証拠があるわけもなく、調査できないでいたらしい。
しかし、エリオットが行方不明になったことで、グエルの素行も合わせて調査され、今回の冒険者資格停止につながったそうだ。
「正式な処分については追って連絡します。それまでは、ギルドハウスへの立ち入りを禁止します。わかりましたね? グエルさん? クローゼさん?」
アマンダに言われて、「くそ……」と悔しそうにつぶやくふたりだった。
グエルの件が終わったエリオットたちは、ギルドハウスの軽食エリアで何か飲み物をいただこうということになった。
そこは、朝から酒を飲んで騒いでいる冒険者ばかりなのだが、未成年のふたりはミルクでも……となる。
「それで、ミリアはこれからどうするの?」
グエルのパーティから晴れて解放され、自由な身になったのだが、新米だと、他のパーティを探すのも難しい。
「冒険者はしばらくやめて、なにか別の仕事をしようかと思います」
ミリアがそう言うので、「そうなんだ」とエリオットは声にする。
「それに、私はエリオットさんがいるパーティ以外では、冒険者をやるつもりはないので――」
「――えっ?」
「おカネを貯めて、修道院で修行しようと思うんです。そして、治癒士として自信がついたら、また私を《《雇って》》ください」
ミリアに言われて、エリオットは笑顔で「もちろん!」と応えるのだった。




