第二十八話 ボクしか知らないSSRアイテム⑦
パーティの仲間だった新米治癒士のミリアに呼び出され、二人だけで路地裏に移動すると、そこにグエルとクローゼが待っていた。
「オマエはミリアと仲がよかったからな。コイツのさそいにはノコノコとついてくると思っていたよ、エリオット」
グエルはそう笑う。
「どうだ? 可愛がっていた後輩に一度だけでなく、二度までも裏切られた気分は?」
そんなことを言われるので、エリオットはヤレヤレと頭を振った。
「裏切られた? ボクは裏切られていないよ。そっちが裏切られたんだって、グエルにクローゼ」
エリオットの言葉にふたりは互いの顔を見合わせる。
「おいエリオット、いったい何を言って――」
「ミリアはちゃんと教えてくれたよ。グエルたちが待ち伏せしているから、来ちゃダメと――」
「――えっ?」
ギルドハウスから出てきたところで、ミリアは本当のことを言ってくれたのだ。「エリオットだけを連れ出してこい。メイドのオンナをヤツから引きはがせ――」そう、グエルから命令されたと――
もちろん、エリオットを連れて来なければミリアはグエルからひどい目に遭わせられたはずだ。それでも、もうエリオットを裏切るのはイヤ――そう、彼女は覚悟を決めたのである。
「ミリア、本当か?」
グエルの質問に、彼女は怯えながら小さくうなずいた。
少しだけ驚いたグエルだが、すぐにいつもの人を見下したような態度になる。
「じゃあ、なんでノコノコとやってきたんだよ? オレたちにやられるとわかって――」
「やられる? そんなつもりはないよ」
「はん? 何言ってやがる」
「ボクはお願いに来たんだ。グエル」
お願い――そう言われ、相手は目を丸くした。
「なんだよ、何をお願いするつもりだぁ? また、パーティに入れてほしい――ってか? イイぜ、もちろん、見つけた鉱脈の在処を教えればな」
そう、笑うグエル。
「何か勘違いしているようだけど、その逆だよ。グエル、パーティを解散してくれないか? ミリアを自由にしてもらいたいんだ」
エリオットがそう言うと、グエルは目の色が変わる。
「はあ? オマエなあ、ちょっとカネが入ったからって勘違いしてないかぁ? オマエは今でも役立たずの穴掘りなんだよ! ぶっ殺されたいか!」
そんなふうに怒りを露わにするグエルに、エリオットは「はあ――」とため息をつく。
「ボクは後悔しているよ。こんなチンピラみたいなことしか言えないヤツらと、いつまでも一緒にいたなんて――」
「もう、ゆるせねえ! コノヤロー!」
いきなり殴りかかるグエル。しかし、エリオットはひらりと躱すのだった。
「なっ!」
まさか避けられるなんて思っていなかったグエルは、バランスを崩しながら、なんとか立ち止まる。
「うりゃ!」
今度はクローゼが太い腕を振り下ろしてきた!
(ちょっと、痛い目に遭ってもらうか――)
エリオットはそう考えると、あえてクローゼの拳を避けない。すると――
「うわぁっ!」
殴ったクローゼが悲鳴をあげて、倒れ込んでしまう。
「おい、エリオット! いったい、何をした!」
「えっ? 見てたでしょ。ボクは何もしてないよ」とおどけてみせる。
(まあ、ウソだけどね。反射器が発動しているから、そのまま攻撃した本人に跳ね返ってしまうんだよね)
だからって、そんなことをわざわざ説明する義理もない。
「バ、バカにしやがって――」と、グエルは自分の剣を抜く。このアウグストでは街中で剣を抜いたら罰則があるのだが、頭に血が上ったグエルはそんなことを考える余裕がないようだ。
「一応、忠告するけど、やめておいたほうがイイよ。その剣、大事にしているんでしょ?」
「うるせえ! 死ねえ!」
そう言って、エリオットに斬りつける!
「きゃあ!」




