第二十四話 ボクしか知らないSSRアイテム③
「やはり、エリオット様はマナに愛されています」
古代王宮の宝物庫だという、ふたりだけが知っている隠しダンジョンに再び入ったエリオットたち。それから三時間ほどで、たくさんのクリスタルと鉱石を掘り出していた。
「えっ? どういう意味?」
ガーネットの言っていることがわからない――という表情を見せていると――
「これだけのクリスタルや鉱石が散らばっているというのに、エリオット様はまるで導かれるように貴重なアイテムばかりを掘り出し、集められています。人工知能である私の探査機能を駆使していても、この短時間で、これだけのレアアイテムを探し出せません」
「ハ、ハ、ハ……」
一応、ほめられているんだよね――と、エリオットは微妙な笑みを浮かべた。
「たとえば、この魔道具は『スロータイマー』といいます」
そう言って、懐中時計のような装置を拾い上げる。
「すろうたいまあ?」
「はい、これを身につけて『作動』させると、その人物の時間経過が最大二十四倍になります」
「……ちょっと理解できないんだけど……どういう意味?」
「つまり、一時間がその人物の二十四時間分となり、それだけさまざまなことができる――というこです」
まだ、ピンとこないエリオット。しばらく考えて――
「そ、それって、スゴいことだよね!」と驚く。
「はい。古代の世界でも、このスロータイマーはたったひとつしか製造されませんでした。なので、皇帝陛下がとても大事にされていた――そう聞いております」
なんか、スゴいモノを見つけてしまったな……なんて、いまさら思ってしまう。
「そしてこれ――」とガーネットは、ブレスレットタイプのアーティファクトを差し出す。
「これは何?」
「嵌めてみてください」
「――?」
言われた通り、左腕にそれを嵌めてみた。
「失礼します――」
ガーネットは拳を握ると、いきなりエリオットを殴ってくる!
「えっ!」
慌てて、腕をクロスして防御する。だが、次の瞬間、信じられないことが起きた!
殴ってきたガーネットが十メートルほど吹っ飛んだのである!
「な、何が起きたの!?」
ガーネットは自分に向けて殴ってきた。だが、エリオットにはダメージがないどころか、殴った相手が吹き飛ばされてしまったのである。
「それは、反射器というアーティファクトです」
「りふれくたあ?」
それを装着すると、カラダに受けた衝撃をそのまま『反射』する装置らしい。
「そ、それじゃ、攻撃されても、逆に攻撃したほうがダメージを受けるということ!?」
「はい。物理的な攻撃はもちろん、魔法攻撃も『反射』します」
しかも、それは自動的に作動するため、装着している限り、攻撃を受けないどころか、勝手に相手を攻撃してしまうのである。
「スゴい……防御は最大の攻撃……みたいな?」
一定の衝撃を加えないと、『反射』しないため、普段から装着しても生活には支障はないらしい。
「――古代人のテクノロジーって、スゴすぎる……」
もはや、おとぎ話の中に出てくるアイテムにしか思えない。
「――だけど、ガーネットが言っていた、『学習書』は見つからないんだよね」
「それなら、私が見つけておきました。これです」
「えっ? ホント?」
彼女が差し出したアイテムを見る。手のひらサイズの粘土板みたいだ――
「これ? 学習書というから、本だと思っていた」
「こちらをお持ちになって、『開始』と唱えてください」
『かいし』と唱える?
今度もよくわからないまま、言われた通りにやってみる。
『はじめまして、ご主人様! これから、どのようにお呼びすればよろしいでしょうか?』
「うわっ! 喋った!」
「これには、私たちのような『人工知能』が組み込まれています。学びたいことを伝えてください。それに合わせたカリキュラムを計画してくれるはずです」
なんかよくわからないが、スゴいことなんだろう……とは理解できる。
「さきほどの『スロータイマー』と連動すれば、短期間でたくさんのことを学べると思いますよ」
「そりゃスゴい!」
さっそく、今晩からやってみよう――と、エリオットは考えるのだった。




