第十八話 ボクしか知らないお金の使い方③
エリオットが振り向くと、パーティメンバーだったグエル、クローゼ、ニグレアがいた。
当然、好意的な状況ではないと理解する。
「さっきはずいぶんと生意気なことを言ってくれたよなあ、エリオットよぉ」
グエルはそう言いながら近づいてきた。
「なんか用? ボクたち、行きたいところがあるので、用事があるなら早く済ませてほしいんだけど?」
「だから、その言い方が生意気なんだよ! おい、ココではなんだから、こっち来い。イヤだとは言わせねえ」
仕方なくついていくと、ひと気の少ない路地裏に連れて行かれた。
「それで? 三人そろって、ボクにどんな用事? さっきも言った通り、もうパーティに戻るつもりはないからね」
「ああ、そのことだが――みんなで話し合って、望みどおりオマエをパーティから離脱させることにしたよ」
「あっそ、だったらもうイイよね?」
そう言って、大通りに戻ろうとすると、長い腕がエリオットの行く手を遮る。クローゼだ。「へ、へ、へ」と笑っていた。
「何のつもり? もう、ボクはパーティメンバーではないんだよね?」
「ああ、パーティから離脱させる――そのかわりに、手切れ金をもらおうということになったのさ」
そうグエルは言い出す。
手切れ金だって?
「さっき、オマエがギルドからもらった報酬の金貨五十枚と、金貨百枚の預かり証、あれを渡せ。それが手切れ金だ」
さすがにあきれてしまう。「はあ……」とため息をついて――
「何を言い出すかと思ったら――そもそも、最初にボクをクビにしたのはそっちだよね? いまさら、手切れ金なんて――」
払う義務はないはず――そう、エリオットは言う。
「何を言っているんだ? エリオットよぉ、誰も相手にされなかったオマエを仲間にして育てやったのはオレたちだぞ? 手切れ金はその養育費だ」
養育費ねえ……
「そう言うなら、もう充分もらっているだろ?」
「はん? どういう意味だ?」
「ボクは知っているよ。これまで、ギルドから出ているボクの分の報酬をグエルたちがピンハネしていたことを――」
「――なっ!」
グエルはとても驚いている。
まさか、今まで気づかれていないと思っていたのだろうか……
「別に返せとは言わないからさ、もう、ボクのことはかまわないで」
「返せ? 何を言っている? あんなもんじゃ、養育費の足しにならないんだよ!」
それで、金貨百五十枚? どんだけ悪徳な教師なんだ?
「そんなことを言うなら、冒険者ギルドに訴えてもイイんだよ。パーティメンバーの報酬をピンハネしていたって」
「なんだぁ? オレたちを脅迫するのかぁ?」
だから、最初に脅迫しているはそっちだろう――さすがに、面倒臭くなってきた。
「それじゃ、ボクたちは行くよ」
「そうかい。なら、話し合いは終わりだ」
そう言うと、グエルは剣を抜く。クローゼもだ。
「ひと気のないところにのこのことついてくるオマエが悪いんだよ。金貨五十枚という大金を持っていたら、誰かに狙われても仕方ないよなあ?」
つまり、今度はチカラづく――ということか。
「このひとたちはエリオット様に対して、殺意があると認識しました。排除いたしますか?」
それまで黙っていたガーネットがそう声をかけてくる。
「殺しちゃダメだよ。多少のケガをさせるくらいは仕方ないけど」とエリオットは彼女に指示する。
「はっ! オマエ、何を言っている? 多少のケガをさせる? おいおい、オレたちは戦闘職。それに対して、オマエらは非戦闘職。オマケに三対二だ。勝ち目なんかないだろ?」
(まあ……普通ならそうなんだけどね……)




