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ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち  作者: テツみン


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第十六話 ボクしか知らないお金の使い方①

「エリオット様、これからどちらへ?」

 ガーネットにたずねられ、エリオットは――


「うん、ちょっと買い出し。セシルの好きなクリームパンを買って帰るんだ」

「クリームパン……ですか?」


 エリオットは、「パンの中にカスタードクリームが入っているんだ」と説明する。


「マリーさんという人がひと月前に店を出したんだけど、そこのパンがとっても美味しいんだよ!」


 なかでも一番人気なのがクリームパン。ふっくら柔らかなパンの中に濃厚なクリームが入っていて、一度食べたら病みつきになってしまう――と、エリオットは熱く語った。


「そうなんですね? そんなに美味しいのですね?」とガーネットはニッコリする。

「うん、ガーネットも食べるとイイよ。絶対に気に入るから!」

 そう言うのだが――


「いえ、私は飲食機能が装備されていないので――」と彼女が答えると、エリオットは「あっ――」といまさら思い出す。


「ゴメン、ヘンなことを言っちゃって」

 申し訳なさそうにうなだれるエリオットにガーネットは「どうぞ、気になさらないでください」と伝える。


「私はそもそも、食事の概念がありませんので、謝る必要はありません」


 そんなふうに言われると、なおさら罪悪感が増してしまう。


「ねえ、ガーネットはどんなことをすると『ウレシイ』と思うの?」

 そんなことをたずねてみた。


「ウレシイ――ですか?」

 彼女は、少し考えたあと――


「人間のいう『感情』とは違うと思うのですが、私たち人工知能には『こうしたい――』という概念があります。それは――」

「それは?」

「主人となる方に喜んでもらう――そういう概念です」


 彼女たちが内蔵する人工知能は、『最良の答えを導く』ようにプログラムされている。最良の答え――つまり、質問者が一番(ほっ)している答えを導くことが彼女たち人工知能の欲求であり、『喜び』なのだ――そう、彼女は説明する。


 エリオットはそれを聞いて、しばらくムズカシイ表情をしたあと――

「ゴメン……やっぱりわからないや……」と頭を()いた。


「申し訳ありません。やはり、私は機械人形として不良品なのでしょうか?」

 ガーネットはまた落ち込んでしまう。


「そ、そんなことはないって! ボクの理解力が足りないだけだから!」

 そう、慌てて彼女に釈明する。


「ボクは孤児で学校に行ってないから、そういうムズカシイ話はわからないんだ――」と、エリオットはさみしそうな表情をみせた。


「そう……ですか」と、ガーネットもなんて言ってあげればイイのか迷っているようだった。


「いつか、ボクのような孤児でも勉強ができる学校を作りたい――それがボクの夢なんだ」

 そんなことを彼は言う。


「だからって、学校を作るためにはたくさんのおカネが必要だし、そんなおカネ、ボクが一生がんばってもムリだと思っていた。でも、こうして大金が手に入ったことで、もしかしたら夢ではないのかも……なんて、ちょっと思ったんだよね」


 このまま、おカネを()めて、孤児のための学校を作る。そして、セシルに勉強をさせてあげたい――そういう夢が現実になるのではと、このおカネを手にした時に考えたのだという。


「すばらしいと思います」

「えっ?」

「エリオット様、それはとてもすばらしい考えだと思います!」

 と、ガーネットはめずらしくテンションが高い。


「ありがとう。でも、知識のないボクじゃ、おカネがあっても、どうやって学校をつくればイイのかわからないけどね」とエリオットは笑って話す。


「――エリオット様は勉強をしたいですか?」

「えっ? そりゃあ、機会があれば勉強したいけど」

「それなら、宝物庫から学習書を探しましょう」


 ――えっ? 学習書?


「そんなのがあるの?」

「はい。皇帝の一族が勉強するための教材が宝物庫に収納されていたはずです」

「そうなんだ! でも、ボクは文字が読めないから……」

「大丈夫です。教材には絵や音声で学習するモノもありますし、人工知能によって最新の言語を学習しますので、きっと、この世界の言葉や文字での勉強が可能のはずです」

「ホント! ぜひ、ほしい! ダンジョンに戻ったら、さっそく探そう!」


 エリオットがよろこぶので、ガーネットはとてもうれしそうな顔を見せた。


「さて、その前にパンを買わなくちゃ。ココだよ、マリーさんの店は」


 ふたりはイイ匂いがただよう小さな店の前にいた。

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