第十三話 ボクしか知らない彼女の事情⑤
翌朝、ガーネットは今度こそとハリキッテ朝食を作り始めたのだが、なぜか黒焦げになり、大事な食材をダメにしてしまう。
さすがに堪忍袋の緒が切れたのか、マリシアはガーネットに対し「家事禁止!」命令を下すのだった。
「家事ができない私はメイド失格です……」
昨日よりも落ち込んでしまっているガーネット。こんな姿は、人間の女の子にしか見えないと、エリオットは微笑ましく思えてしまう。
食事を終えたエリオットは、ガーネットと一緒に冒険者ギルドへ向かった。
「エリオットさん! 生きていたんですか!」
彼を見つけた、受付のアマンダがそう声を張り上げる。
ああ、やっぱり騒ぎになっていたんだな……とエリオットは苦笑いした。
そのまま、別室に連れて行かれたエリオットたち――
「今日はギルドマスターが留守なので、私が話を聞かせてもらいます」とアマンダに言われる。
「えーと、どこから話せばイイですかね?」
エリオットがそうたずねると――
「そうですね――こちらの調査隊が確認したところによりますと、キラ火山の火口エリアが崩落し、イフリートの所在が行方不明となっております。崩落した原因と、イフリートに関して知っていることをお話ししていただければと思います」
エリオットはイフリートから逃れるために、火口の底につるはしを打ち込み、崩落させたことを説明する。そして、イフリートとともに落ちると、そこでガーネットと出会い、彼女に助けてもらった。そう説明した。
「彼女に? それでイフリートは?」
「え、えーと、これです」
そう言って、リュックから拳ほどの大きな魔石を取り出す。
「こ、これは! たしかに、イフリートレベルの魔石ですが――つまり、倒したということですか!? いったい、どうやって!?」
やっぱり、そういうことになるよな……
エリオットが困った顔をしていると、ガーネットが――
「こうやって、マナを撃ち込みました」
と拳を振るしぐさを見せる。
「拳でイフリートを!? マナとは? えーと、ガーネットさんでしたっけ? 彼女は拳闘士なのですか?」
こんな、メイド服を着た少女が――と、アマンダは驚いた。
説明してもわからないよねぇ……と、エリオットは結局、困ってしまう。
もし、拳闘士と説明したら、彼女は非正規の戦闘職であることになる。この国では市民権がない人物は戦闘職になってはいけない規則があるのだ。
「どうぞ、本当のことをおっしゃってください。ギルドは役所ではありません。私たちギルド職員は冒険者の報告について、守秘する義務があります」
さすがにそこまで言われると、話すしかないよな……
「実は彼女、ヒトではなく、機械人形なんです」
「――えっ? ええぇぇぇぇっ!」
ギルドハウスが壊れるのでは――という大声をあげるアマンダ。別の職員が「何事か――」と、様子を見に来る騒ぎになってしまう。
ただ、すぐに落ち着くと、何事もなかったように彼女は話を続けていた。さすがギルド職員というべきか、冒険者相手にしていることでハラが座っているようだ。
「わかりました。この件はギルドマスターに報告したあと、いったんギルド内で協議して、あらためて事情をお聞かせ願いたいと思います」
そう言われて、エリオットは「はあ……」と一息ついた。
「それと、グエルさんたちのこともお聞かせください。彼らとはどういうやり取りがあったのですか?」
そう言われて、「うぐっ……」と唸ってしまう。
「い、いや、特に何も……」と口ごもる。すると、アマンダはため息をついて――
「グエルさんたちは、エリオットさんが指示に従わず勝手に火口へ入り、行方不明になったと言っています。そうなると、パーティリーダの指示無視行為があったとして、ギルドとしてはエリオットさんにペナルティを課す必要があるのですが――」
「えっ?」




