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ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち  作者: テツみン


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第一話 ボクしか知らない隠しダンジョン①

「おい、エリオット! まだ、何も出ないかよ!?」

 若者の怒鳴り声がダンジョン内に響いた。金髪で生意気そうな剣士の若者である。


「ダメだよ。もうこの辺りにある鉱脈は全部掘り出されている」

 エリオットと呼ばれた、黒髪の少年がそう応えた。


「ちっ、仕方ない――もっと、奥に行くか」

「奥? だけどグエル、これ以上進むとイフリートの攻撃範囲に入ってしまうよ」


 イフリートとは、このダンジョン、『キラ火山』のラスボスにあたる、『炎の魔獣』のことである。体長が十メートルほどあるため、狭い洞窟内にイフリートが進入することはない。つまり、ボス部屋である火口に近づかなければ、攻撃されることはないのだが、いざ、見つかってしまうと、口から放射される火炎(ブレス)に一瞬で焼き尽くされてしまうのだ。


「大丈夫だって。そんときには、このオレが逃げる時間を稼いでやるさ」

 グエルと呼ばれた生意気そうな金髪の若者がそんなふうに笑った。


「でも……」とエリオットはまだ納得していない様子だったので――


「はあ? オレを信用していないのかぁ? なあに、ニグレアにクローゼもいるんだ。イフリートくらいどうってことないさ。なあ、そうだろ?」

 グエルと振り向くと、とんがり帽子を被った若い女性と、長い赤毛を後ろで縛っただけの大男がクスッと笑う。


「ああ、もちろんだよ。いざというときには助けるからさ。仲間だろ?」

 大柄な男、クローゼは、その体格どおりの大きな声で言い放った。


「ほら、ミリアも言ってやれ。ケガしたら、治してやると」

 グエルは小柄な少女に目を向ける。腰まである長い銀髪で、修道服を着ている。つまり、彼女は神官職だった。


「で、ですが、イフリートに攻撃されたらケガどころじゃ――」


 ミリアと呼ばれた神官の少女は(おび)えながらも、そう反論した。彼女の心配は当然だ。相手は天災級の怪物。攻撃された瞬間、命はもうない。


「なんだぁ? オレに意見するのかぁ? 誰も相手にしてくれない新米クズ治癒士を仲間にしてやったのはこのグエルさまだっていうのに、ずいぶんとエラくなったなぁ? ミリアよ!」

 グエルが(にら)むと、ミリアは「ひいっ」と短い悲鳴をあげて、肩を震わせた。


「大丈夫だよミリア。ボクは大丈夫だから」とエリオットは彼女に声をかける。


「だったら、さっさと行け! このウスノロ!」

 グエルはドンッとエリオットの背中を押した。


 仕方なく、奥に進む。すると、ゴーゴーという音が聞こえた。イフリートの呼吸音である。姿は見えないが、もう近くにいるのだろう。そこから数歩でかなりの熱量を感じた。


「アチッ! おいエリオット! オレたちはここで待っているから、オマエだけ行ってこい」


 グエルがそう言うので、エリオットは「はあ……」と一息つく。気を取り直して先へと進んだ。


 火口に入ると、熱を何倍も感じる。下を見ると、大きな岩の間から真っ赤な炎が見えた。あれがイフリートの本体だろう。距離にして十メートルちょっと。今、気づかれたらヤツの高熱ブレスが飛んできて、カラダはあっという間に蒸発してしまうはずだ。

 そんなことをエリオットは考えてしまうのだが、頭を振って、恐怖心を追い払おうとした。


「とにかく、何か掘り出さないと……」

 最低でもミスリル鉱くらい見つけなければ――グエルたちは納得しないだろう。


 辺りを見渡すと、五メートルほど先に何かを感じる。鉱脈の気配だ。

 なんとか人が歩けるほどの足場があるので、そこまで行ってみた。


(間違いない。ここに鉱脈がある)


 エリオットは手にした()()()()をできるだけ音を立てないように押し込んだ。


 足場の下は崖。しかも、イフリートがいる。音や落下物で気づかれたら終わりだ。そうでなくても、百度近い熱によって、意識が朦朧(もうろう)としてくる。


 しかし、なんとかして鉱石を掘り出す必要がある。グエルのことだ、手ぶらでは帰らせてくれないだろう。

 ゆっくりと掘り進め、二十センチほどの穴ができると、その先に硬い鉱脈が見えた。


「こ、これはアダマンタイト鉱石!」


 魔力を帯びた金属で、ダイヤモンド並みに硬い。特殊な魔法を用いないと加工もできない品物だが、その取引額は黄金の十倍以上だ。

 貴重な鉱石に気持ちが高揚するのだが、ここで油断したら元も子もない。慎重かつ素早く作業を進め、ついに、直径二十センチほどのアダマンタイト鉱石を掘り出した。


「やった――」


 それから、洞窟の入口へ向かう。たった五メートルほどだが、熱で朦朧としているため、何度も足場から踏み外そうになる。それでも、なんとか戻れた。


「エリオット、どうだった?」


 少年の姿を確認して、グエルがそう声をかける。

 エリオットが手にした鉱石を持ち上げると――


「おおっ! アダマンタイトじゃないか!」


 そう言って、エリオットに駆け寄ってきた。興奮しているのか、暑さを忘れてしまっているようだ。


「こりゃスゲエ! 三カ月は遊んで暮らせるぜ!」


 大柄な剣士のクローゼがエリオットからアダマンタイト鉱石を奪い取ると、大喜びしている。


「ちょ、ちょっと――」


 浮かれている二人のうしろで、女魔導士、ニグレアの顔がひきつっていた。


「はん?」とグエルは彼女が見ていた方向を見る。その視線の先には――

 炎を(まと)った、大きな顔が火口の入口から見えていた。


「や、やべえ……」

 グエルとクローゼが大声をあげるから、イフリートに気づかれてしまったのだ!


「だ、ダメだ。もう逃げられない」

 エリオットがそう言うのだが、グエルは「いや、方法はある」と言う。


「それって?」

「こうだ!」


 グエルはいきなりエリオットのハラを蹴った!


「うわっ!」

 そのまま、火口へ転がり落ちてしまう!


「オマエが(おとり)になれば、オレたちは助かるということさ!」

 そう言って、グエルたちは逃げ出した。


「な、なんてことを!」

 修道服姿のミリアがそう叫ぶのだが――


「うるせえ! オマエも落とされたいか!」


 グエルに言われ、ミリアは恐怖で泣き出しながらも、その場から離れるのだった。

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