日常③
男から放たれた銃弾は、自分の胸の前で何かに阻まれるように静止していた。
静止した銃弾は、重力に従うように地面に落ちた。
男は、それを見ても表情を変えず、自分とは違う方向を見て口を開いた。
「これお前だろう? じゃあ、同じクズなら分かるだろ。てめぇの能力なんだよ?」
男は、隣の悠に向かって話しかけた。
「俺は、お前とは一緒じゃない......」
悠は、途絶えそうな声で男に言っている。
同じクズって、何だ?
この現象の事を何か知っているんだろうか?
「同じクズってなんだよ? 銃弾が止まった事と、おまえの拳銃関係あるのか?」
「部外者なら黙っとけよ」
男に問いかけたが、自分からの問いかけには、意にも返さず、また銃弾を数発発砲した。
しかし、変わらず何かに阻まれるようにして地面に落ちていった。
「悠は友達だ。助けになるなら、助けたいだけなんだ」
男は、イラついたような表情を見せたが、話し出した。
「最近流行ってんだろう?、超能力。犯罪者しか使えねぇんだよ」
男はそう語るが、悠が何かの犯罪をしているとは思えなかった。
だが、悠は何も言わなかった。
「俺は、詐欺やってたんだよ。ただ、犯罪者相手にしかやってないぜ。
Webで拳銃売ってほしい。ってやつから、金だけ貰って、放置しとくだけで金がどんどん入ってくんだよ。
拳銃売ってもらえませんでしたー。って警察に行くやつはいねぇからな」
「そしたら、最近本物の拳銃が手から出てくんだよ。お前は何したんだよ」
男は、悠に問いかけるが答えは無い。
「てめぇが、何やってるかは分からねぇが、それ一か所しか使えねんだろ?
てめぇと、そいつ銃で撃った時、自分の分は弾けなかったみてぇだからな」
男が何言っているのか、全ては理解できていないが、悠は、自分のせいで足から血を流しているのだろうか。
「てめぇは、何したんだよ?」
男は悠に問いかけた。
「俺は、何もしてねぇよ......」
「そうか......」
そういって、男はまた銃口をこちらに向けた。
「なんで、詐欺したら超能力使えるようになるんだよ!?
おまえも、最初は、犯罪者相手にしか詐欺やってなかったんだろう?
なんで、今人を殺そうとしてんだよ?」
とりあえず、時間を稼ごうとしたが、男の表情が変わった。
心に響いたか?と思ったが、様子がおかしい。
突然、男の腕が数倍に膨れ上がった。
数秒後には、体全体が膨れ上がり、銃の魔人のような姿になっていた。
「なんだよ、これ......」
化け物は、動かなかった。
悠をつれ、その場から逃げようとした。
パンッ
乾いた音が響いた。
腹部から、熱いものがにじみ出てくる。
足元は赤く染まり、体はいうことを聞かずその場に膝まづいた。
化け物は、俺の前に立ちふさがり、自分の胸を右腕で貫いた。
ーーーー貫いたはずだった。
化け物は、灰のように崩れ去り消えていった。
「もうなんだよ、これ」
そこで俺の意識は、遠のいていった。




