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脳を蝕む鋼の芽  作者: そのえもん


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鋼の眠り姫 その①

ニラティ救出作戦が動き出します。

誰が何をするのか、そのまとめ役はお人好しです。


是非ご覧ください。

 ギラギラと黒光りする大型戦車は、どれも全長百メートル近い怪物、もはや陸上戦艦とでも呼ぶべき大戦力であった。

 それぞれにレアメタルハンターの頭目達が乗り込み、さらに中小の戦車が数十輌と無数のバギーや装甲車が土煙を上げて随伴する。

 まさに戦争でもするかのような、正気とは思えない大戦力であるが……相手の規模を考えると、それでもなお心もとない。

『じゃあ……点呼よろしく』

 通信機から声と一緒に緊張感まで飛ばしてくるのは、この戦車大隊のまとめ役であるソルムッカだった。

『一番、ガナートだ、いつでも行けるぞ』

『二番、ツムムよ』

『三番、リシマーです』

「四番、メレルツァ」

『五番、リーシャル。どうした硬いぞ、ソルムッカ』

『うっ、六番、ソルムッカ。

 なあ、本当に俺がまとめ役でいいのか?リーシャルとかガナート……いや、Mr.クレンズが妥当なんじゃないのか?』

 一番から五番は、サンジーヴァナでもトップオブトップのレアメタルハンターだ。戦力も規模も、練度もすべてがハイレベルである。

 皆、多かれ少なかれニラティとは縁がある。予言を頼りにするだけではなく、悩み事を相談したり、飲み仲間であったり様々だ。その縁が、この無茶な作戦に彼らを駆り立てた。

 対してソルムッカは、実力者ではあるがよくも悪くも中堅どまり。ナメられたら殺すを地でいく猛獣のような連中に比べると、いささかお人好しだ。

「そんなことはないさ」

 割り込んだのはヴィヤーサンである。彼が乗っているのはメレルツァのいる四番戦車である。イェンラやホボウリンも一緒だ。

「ここにいる者たちは最初、てんでバラバラにラティを助けに行こうとした。正直僕もそうだ。

 でも君は、そんな中でただ一人協力することを考え、僕に相談してくれた。君が一番、大局的に戦場が見えている。器と言うやつかもね」

 ヴィヤーサンは自嘲めいて笑う。自分の至らなさを自覚すると、人間は一旦謙虚になるものだ。

「確かにソルムッカのとこは戦力的には一段落ちる。だが、今日はは打撃戦じゃはない。全体が見える人間が指揮を取る必要がある。目的は果たすためには、それが一番合理的だ」

 メレルツァがそう続けると、頭目達も頷くのだった。

『そういうことだ。業界柄、どいつもこいつも血の気が多い。暴れるのに気を取られてしまっては意味がない。自覚があるだけ、我らはマシな方かもしれないが』

 そう続けたのは、一番のガナートである。頬に傷のある武人然とした大男で、この中でも特に武闘派である。これが打撃作戦であったら、彼が指揮を執っていたかもしれない。

『そうそう、特に兄さんは酷いもの。死ぬほどシングルタスクだから』

 くすくすと笑うのは二番のツムム、栗毛のセミロングが特徴的な長身の女で、ガナートとは実の兄妹であるそうだ。よく見れば、涼やかな目元が似ている。

『なんだと?』

『だって、今でもカレー食べるとルーとご飯のバランス取れないでしょ?

 それで何度もおかわりして、翌朝胃もたれするのよ。

 みんな、信じられる?今年二十八よ?もうかわいいとか言ってらんなくない?正直キツイって』

『言わんでいい!』

 真っ赤になって抗議するガナートに、全員が声を上げて笑った。おかげでほんの少しだけ、ソルムッカの緊張が解けたようだ。

『ソルムッカが全体を見れている。それはわかりますが、もちろんそれだけではないですよね?Mr.クレンズ。

 それだけなら、あなたがソルムッカの戦車に乗れば済む話だ』

 ツムムの小話がよほどツボに入ったのか、涙を拭いながら話を戻したのは、ゴーグルと白いケープが印象的な若い男。三番戦車のリシマーである。

「その通りだよリシマー。そのへんも含めて説明してくれるかい、ソルムッカ」

『判りまし……いや、判った。

 まずは北側からガナートとツムムとリシマーの三部隊が打って出る。

 突撃、深追いは厳禁。レアメタルの回収は後回し、とにかくこれは徹底してくれ。

 足並みを乱すなよ、孤立したら押しつぶされる。ガナートたちは特に大暴れしてもらうから、その分特に危ない。囲まれないように上手く立ち回って欲しい。

 とにかく派手に暴れて敵を引きつけて欲しい。もちろん無理のない程度に』

『承知』

『はーい』

『持久戦か。いつもとちょっと勝手が違うね』

『そうだ。ペース配分を考えてくれ、明日まで戦うくらいの腹づもりで頼む。繰り返すが絶対に突出しないでくれよ。そこから崩れたら、お終いだ。

 で、一番から三番が北側で暴れてるうちに、四から六が南から出撃、中央の一夜像に突っ込む。こっちは全速力だ』

 極端な話、一番戦車から三番戦車は陽動である。

『んで、こっち。リーシャルとウチで大暴れして残りを引きつける。まあ、露払いってとこかな』

『任せてくれ』

 リーシャルの返答は冷静だった。

『本命はメレルツァの四番。一番足が速くて、坂に強いからね。君らは、そこから一夜像まで突っ込んでもらう。

 近づいたら主砲で狙い撃ち、徹甲弾で一夜像を破壊し、回収班が二ラティを回収する。完了したら撤退だ。

 動きは状況に合わせて指示するから、連絡と報告だけは忘れないように、全員ね』

 非常に大味、作戦と呼べるかも怪しい構成であるが……この短時間でかき集めた戦力と限られた情報、寄せ集めの人員ではこれが限度であった。

「ああ……任せてくれ。必ず、必ずニラティを助け出す」

 メレルツァが頷く。声は小さいが、腹の底にある熱いものを隠そうともしない力強さに、頭目たちはにやりとしていた。


ここまでお読みいただきありがとうございます、感謝感激でございます。

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ニラティ救出作戦、皆さんならどうしたと思いますか?

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