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起きたら戻ってきていました。

リラージュはぱちりと目を開けた。


「お目覚めですか、リラ様」


ララがのぞき込んでくる。


「にゃー? にゃー? にゃーにゃー?(ん? ララ? いつ帰ってきたの?)」

「まだ寝惚けておられますね」


ララが苦笑する。


「にゃん?」

「おはようございます、リラ様。戻りました」

「にゃー、にゃー(お帰りなさい、ララ)」


ようやく意識がはっきりした。


「にゃーにゃーにゃー(私、寝ちゃっていたのね)」

「お疲れだったのでしょう」

「にゃー(そうみたいね)」


身体を起こす。

うーんと身体を伸ばす。


足下を見れば大きなタオルで寝床が作られていた。

きっとフィフィかファラが用意してくれたのだろう。


後でお礼を言っておこう。

伝わらないだろうがこういうのは気持ちだ。


リラージュはララを見上げた。


「にゃーにゃーにゃー(お父様の許可は取れた)?」

「はい。無事に許可をいただくことができました」

「にゃー、にゃー(そう、よかったわ)」

「はい。旦那様が屋敷にいてくださってよかったですわ」


そういえば父も今日は領地から上がってくる書類の処置をすると言っていた。

父が屋敷にいなければそれだけ時間がかかったことだろう。


リラージュはうんうんと頷く。

それから反対しそうな人物について恐る恐る訊く。


「にゃー、にゃー(えっと、ルティは)?」


ルティことルーティスはリラージュの一歳年下の弟だ。


「ルーティス様はご不在でした。ですが、旦那様の許可が出ましたので問題ありません」


確かにその通りだ。

たとえ弟が反対したところで当主の父が許可を出していれば問題はないのだ。

リラージュは頷く。


「にゃーにゃーにゃー。にゃーにゃーにゃー(ルティがいたら大騒ぎだったでしょうね。お父様が大変だったわ)」


ララも深く頷く。


「確かにルーティス様がいたら大騒ぎで大反対だったでしょうね」


ララも簡単に想像がついたようだ。

いや、グーリエ家に勤めている者なら誰でも簡単に想像がつくことだ。


帰ってきたら大騒ぎだろう。

すぐに迎えに来るかもしれない。


リラージュの懸念はララにしっかりと伝わったようだ。


「旦那様が止めるとはおっしゃっていました」

「にゃーにゃー(大丈夫かしら)?」

「旦那様を信じるしかありません」

「にゃー(そうね)」


(お父様頑張って)


リラージュは心の中で応援しておく。

きっと父なら大丈夫だろう。

父も弟のあしらい方は熟知している。

勝率は、まあ、半々だけれど。


「フェラルード様にも旦那様からの許可をいただいたことは報告してありますし、旦那様からゼノア侯爵様へのお手紙も預かっていただきました」

「にゃー。にゃー、にゃー(そう。ありがとう、ララ)」


ララは微笑んで一礼する。

やはり付き合いの長いララはリラージュの言いたいことを的確に読んでくれる。

本当にララがいてくれてよかった、とリラージュは思った。


読んでいただき、ありがとうございました。

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