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婚約者を庇って呪いで猫になりました~なかなか快適な猫ライフです~  作者: 燈華
番外編

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その頃ルーティスとアンドレアは

今日は庭にある四阿(あずまや)でルーティスはアンドレアとお茶をしていた。

いくら晴れて婚約者になったとはいえ、すぐに部屋で二人きりというのは外聞がよくない。

ということで外でのお茶会にしたのだ。


ティーカップを手にしてアンドレアが口を開く。


「今日はリラはお見合いなのよね?」

「うん」


今日のお茶菓子はクッキーだ。マカロンはない。

基本的にリラージュがいなければマカロンは出ない。


「大丈夫かしら?」


アンドレアが心配しているのはリラージュが粗相をすることではない。

案外とその辺りの心配はない。


何を懸念しているのか、具体的に言われなくてもわかる。

ルーティスとアンドレアは同じ目的を持っているのだ。


それは、リラージュに婿を取らせて領地経営を手伝ってもらうことだ。

それも有能でありながはおっとりとしている婿を、だ。

そんな姉夫婦を()でながら領地経営をするのが二人の昔からの夢だった。


そのための婿候補の選定もしていた。

昔からリラージュには補佐のための勉強もしてもらっていたのに。


ここに来て計画が崩れかねないことが起きている。


「姉上にはお(しと)やかにするようにと何度も言い聞かせておいたよ」

「うまくいくかしら?」

「うまくいかなかったら姉上をあの男に取られる」


本当に油断していた。

王太子はたぶんリラージュを選ばないだろうと思っていた。

家格から言っても選ばれる可能性は低かった。

だから大丈夫だろうと完全に油断していたのだ。


まさかそんな場で見初(みそ)める者がいるなんて思っていなかった。

考えが甘かったのだろう。


「リラは何て?」

「お見合いをするからって婚約が決まるわけじゃないって笑っていたよ」

「リラらしいわね」


ルーティスも恐らくアンドレアもリラージュのように楽観視はできなかった。


ゼリア侯爵令息はリラージュのどこを見て縁談を申し込んできたのか。

リラージュののんびりとしたおおらかさだろうか?


それくらいなら他の令嬢の中に何人もいる。

むしろ侯爵家にもなると回避しようとするのではないだろうかと思う。

家政を任せるのを心配になるだろうから。


普通なら。


だが、この見合いが持ち込まれた。

しかもあのお茶会があったその日のうちに、だ。

あまりにも早すぎる。

そんなに急ぐ必要はない。


急いで婚約するのはルーティスたちのように元々婚約の予定がある者くらいのはずだ。


普通、お見合いをするなら相手の家や見合い相手のことを調べてからにするものだ。

この短期間ではそれは不可能なはずだ。


以前からリラージュのことを知っていたわけではないだろう。

リラージュと交流のある家は限られている。

その家と交流があるとしてもそれだけでリラージュに興味を持つだけの情報を得たとは思えないのだ。


実際あのお茶会で挨拶した時は興味のなさそうにしていた。

当たり障りのない挨拶しかしていない。

あれは事前に情報を得ていないか、興味の引くような情報を持っていなかったのだろう。


だから恐らく調べていない。

調べていたとしても調べきれていないだろう。


まさか、見合いを申し込んでから調べることにしたのだろうか?

何のために?

そこまで急ぐ必要はどこにあるのだろう?


普通ならそこまで急ぐ必要はない。

リラージュは優良物件とは思われていないはずなのだから。


慎重に評価を上げもせず下げもせず無難な辺りにしていたのだ。

こんなふうに誰かに目をつけられないように。


それなのに、だ。

嫌な予感しかしないのだ。

彼がルーティスやアンドレアと同類ならば恐らくーー


あのお茶会でもリラージュの素の姿が垣間見えていた。

もしあれに惹かれていたのだとしたら、淑女然としたリラージュには興味を失うはずなのだ。たぶん。


そうでなければ、横から出てきたぽっと出の男にかっさらわれてしまう。

そんなの許せない。

ぎりぎりと歯を食いしばる。


リラージュの賢さを見抜いてならばまだいいほうだ。

のんびりしているがあれでリラージュは頭の回転は悪くない。

本人は自覚はないようなのだが。

別に卑下している様子はないので様子見をしている。


生来おおらかなリラージュは卑下とは無縁な人間だ。

だが何かあって卑下し出すかはわからないのだ。

ぽやぽやしているところを嘲笑する輩など、排除しようとしてもどこからか湧いて出てくる。


そんな輩に万が一にもリラージュの心を傷つけられたら?

それで自信を失って自分を卑下するようになったら?


そうならないように注意していた。

だからこそそちらに気を取られて忘れていた。


姉のぽやぽやは腹黒い者に苛立ちや嘲笑を与えるが、一部の者には癒やしとなることを。

その癒しのほうに惹かれたのならーー


「リラから話を聞いたら教えてちょうだい」


アンドレアの言葉に我に返る。


「うん。なんなら明日も来たらいいよ」

「そうしようかしら。明日は用事もないし」

「アディならいつでも歓迎するよ」


アンドレアと明日も会えるのは嬉しい。

リラージュのことは気がかりだがアンドレアとの時間も大切にしたい。

それはアンドレアも同じだったのだろう。


「リラのことはここで気を揉んでいてもどうにもならないわ」

「うん」

「わたくしたちはわたくしたちでこれからのことを話し合いましょう」


アンドレアはどこまで行ってもアンドレアだ。

婚約者になったところで甘い雰囲気になどなりはしない。

だがそういうところにルーティスは心底惚れているのだった。

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