↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者を庇って呪いで猫になりました~なかなか快適な猫ライフです~  作者: 燈華
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/78

帰ります。

「また遊びにいらっしゃい。歓迎するわ」

「ありがとう!」

「今度はお菓子も用意しておくから」


ぱっとリラージュの顔が輝く。


「楽しみにしているわ!」

「ええ。その道を真っ直ぐに歩いていけば森から出られるわ」

「ありがとう。カルメラ、またね」

「ええ、また」


カルメラに手を振り、フェラルードと手を繋いで道を歩いていく。

フェラルードのリラージュの手を握る手の力が強い。

帰れるか不安なのだろうか?

カルメラが道を教えてくれたから大丈夫なのに。


そう考えてから違うと気づいた。

それだけ不安にさせてしまったのだ。


リラージュはフェラルードの手をしっかりと握り返す。

フェラルードがリラージュを見て大丈夫、というように微笑んだ。

本当に帰れるか不安になったと思われたようだ。

リラージュはその誤解を解かなかった。


「フェルがいてくれて安心ね」

「そう思ってくれて嬉しいな」


フェラルードは本当に嬉しそうだ。

それからはリラージュが不安に思わないようにだろう、見つけた花や鳥を指差したり、興味を引くような話をしたりと気を遣ってくれていた。

リラージュもその話に乗り、目についたものについて話したり、お菓子の話をしたりしながら歩いた。


和やかに話しているうちに森の出口が見えてきた。

森を抜けるとそこには馬車が一台停まっていた。

紋章はなかったが、御者に見覚えがある。


「ああ、僕が乗ってきた馬車だよ」


やっぱりそうだった。

フェラルードの姿を見た御者が駆け寄ってくる。


「フェラルード様、それにリラージュ様も。ご無事で」

「お待ちどうさま。帰ろう」

「はい」


てきぱきと御者が踏み台を用意して扉を開ける。


「でも、本当にリラージュ様はこの森にいらしたのですね。何故ここに?」


何気なく御者が尋ねる。

疑問に思うのも当然ではある。

だけど答えにくい質問である。

だがフェラルードはあっさりと言う。


「リラは魔女の森に迷い込んでいたんだ」

「それなら仕方ありませんね。魔女の森には突然迷い込むと言いますし。よくご無事でお戻りになられました。本当によかったです」


御者と別の人物の声が聞こえた。

反射的にそちらに視線を向けた。

フェラルードの護衛としてよく見かけるフェリルが歩み寄ってきていた。


「フェリル、どこに行っていたんだ?」

「この辺りを念の為見回っていました」

「そうか」


護衛としては場の安全の確認も重要な仕事だろう。


ふと気づく。

そういえばどうしてフェラルードは一人で来たのだろう?


伯爵令嬢であるリラージュが一人で出歩けないように、侯爵令息であるフェラルードも護衛なしで外を出歩けないはずだ。


声に出していなかったが、フェラルードはリラージュの疑問を読み取ったようだ。


「魔女に招待されたのは僕だけだったからね」

「我々は入れなかったのですよ」


試してみて弾かれたようだ。


「そうだったのね」

「そう。だから僕一人で行ったんだ」

「それは、緊張するわね」


リラージュも猫の姿とはいえ、一人で町中を歩くのは緊張した。

それを、得体の知れない場所に行くのだ。その緊張はリラージュが感じたものの比ではないだろう。

だがフェラルードは緩く首を振る。


「リラに会いたい気持ちでいっぱいで他のことは考えられなかったよ」


それほど心配をかけてしまったということだ。

リラージュはしゅんとなる。

だがフェリルは微笑(わら)って言う。


「リラージュ様は愛されていますね」

(え?)


そういう解釈になるのか。


「当然だ。僕の最愛だよ。本当は片時でも離したくないのに」


その不意打ちにさすがに頬が赤くなる。

フェリルも御者も微笑ましいものを見る目で見てくる。

ますます恥ずかしくなって(うつむ)く。


そんなリラージュを思いやってくれたのか、フェリルが話題を戻した。


「でもリラージュ様が無事にお戻りになってよかったですよ、本当に」

「リラは魔女と友達になっていたよ」

「さすがリラージュ様ですね」

「リラは誰とでも仲良くなれちゃうからね」

「誰とでもではないわ」


どうしても仲良くなれない人というのはリラージュにだっている。

だがあまりその言葉は信じられていないようだ。


「それなら尚更帰してもらえてよかったですね」

「気に入られて留めおかれる、なんてことも十分考えられましたからな」

「そうだね。この招待状がなければ辿り着けなかったし」


カルメラはそんなことはしないだろう。

だけどフェラルードたちはそれを知らない。

彼らの話すことが世間一般の魔女のイメージなのだろう。


本当によかったと三人は頷いている。

これを覆すのは容易ではなさそうだ。


だけどきっとカルメラはそんなことは気にしないのだろう。

好きに思えばいいのよとからりと微笑(わら)いそうだ。


「さあ、帰ろう。皆心配している」

「はい、そうですね」


リラージュも頷いた。

帰ったら皆に謝らないと。

随分と心配をかけただろう。


リラージュはフェラルードの手を借りて馬車に乗り込んだ。

フェラルードも乗り込んでくる。

扉が閉められ、少ししてゆっくりと馬車は動き出した。


読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。