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状況の説明を受けます。

ララが部屋にあるだけのクッションを集めてソファに敷き詰めてくれる。


「僕がこのまま抱いていてもいいんだけど」

「にゃーにゃー(疲れちゃうから下ろして)」


リラージュが訴えると渋々といった様子でフェラルードはリラージュをクッションの上に下ろした。

リラージュが向かいのソファを手で指せば、大人しくそちらに座った。


ララとフリオがリラージュのソファの後ろに立つ。

フリオについてはそのほうが話を聞きやすいと判断したのだろう。


「それで何が起きたのでしょうか? フェラルード様はおおよその見当がついていらっしゃるようですが、お教えいただけますか?」

「ああ」


一つ頷いたフェラルードは重々しく口を開く。


「愛する者とのキスで解けないとなると、魔女の呪いだ」

「魔女の、呪い、ですか?」


ララが困惑した声を上げる。

リラージュも聞いたことはあったが、詳しいことは何も知らなかった。

目を瞬いてフェラルードを見る。


「リラも詳しくは知らないかな?」


リラージュは頷いた。


「そっか。なら何から説明しようか」

「あ、あの、リラ様のお身体は大丈夫なのですか? 人間が猫になるなどお身体に負担がかかるのではないでしょうか?」


フェラルードが安心させるように微笑(わら)う。


「それは大丈夫。動物の姿にするなんて魔女の呪いの中では定番中の定番。動物になっている最中も人の姿に戻ってからも身体に異変があったという話は聞かない。どういう仕組みかはわからないけれど、魔女の存在事態が世の(ことわり)から外れているからね」

「元のお姿には戻られるんですね?」

「うん、それは大丈夫だと思うよ」

「ああ、それでフェラルード様は落ち着いておられるのですね」


フリオが納得した様子だ。

リラージュもフェラルードが取り乱していないので大丈夫だろうと判断していた。


「そうだね。まあ魔女の呪いならむしろそれほど危険じゃないから安心して」

「よかったです」

「ただいつ解けるかはわからないんだ」

「そうですか……」


落ち込むララにリラージュは身体を伸ばしてぽんぽんと叩いて慰める。


「リラ様、すみません。リラ様のほうが不安でしょうに私を慰めてくださって……」


ララは顔を上げてリラージュを見る。


「大丈夫です。どのようなお姿でも私がきちんとお世話致しますので」

「にゃーにゃーにゃー。にゃー(それなら安心だわ。お願いね)」

「はい、お任せくださいませ」


ララも落ち着いたのでリラージュはフェラルードに向き直る。


「にゃーにゃーにゃー(そう言えば何でキスしたの)?」


普通に訊いてしまったが通じるはずもない。


「何故魔女の呪いだとわかったのですか?」


フリオの疑問の声がちょうどリラージュの問いと重なった。


「魔女の呪いでない呪いはたいてい"愛するもののキス"で解けるんだ」


なるほどとリラージュは頷いた。

そういえば先程言っていたか。

リラージュもフリオも落ち着いているようで動揺していたようだ。


「ああなるほど。それで先程リラージュ様に口づけなさったと」

「リラには怒られてしまったけど早急(さっきゅう)に確認しないとならなかったからね。これで解けるならそのほうがよかったし」


リラージュが怒った理由は伝わっていなかったようだ。

これは後で戻った時にもう一度伝えなければならない。


「いきなりで驚いたのでしょう」

「そうかもね」


驚いたのは驚いたけど怒った理由は違う。

リラージュはたしたしとクッションを叩く。


「ほら怒っていらっしゃいますよ」

「ごめん、リラ」


ぶんぶんと首を振る。


「にゃー、にゃー。にゃーにゃーにゃー(違う、違うもの。キスに怒ったわけじゃないの)」


いくら訴えたところで猫の言葉では通じない。

伝わらないのがもどかしい。

そのもどかしさを全てクッションをたしたしと叩くことで発散する。


その様子を全員が表情を緩ませて見ていた。

読んでいただき、ありがとうございました。

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