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第5話 だって、それは大人の味
野菜がちょっぴり苦手なプリンセス。今日の夕ご飯には、細かく刻んだピーマンがちょこんと乗っていた。
「ひとくち、たべてみようか?」
パパの声に、プリンセスはおそるおそる口に運ぶ。もぐ…もぐ…と噛んで、しばらく静かになったあと、真剣な顔でひとこと。
「これはね…おとなのあじだから…プリンセスには、まだ、はやいかな」
どこでそんな言い訳覚えてきたんだ!?とパパは思わず吹き出す。
「辛くないし、子どもでも食べられる味だよ〜」
と説明するも、プリンセスは「うーん、でも、きょうはやめとく」と丁寧に辞退。
苦手なものにもチャレンジしたその勇気は褒めるべきか…?いや、その理屈のつけ方もすごいぞ?
いつの間にか、プリンセスは味覚だけじゃなく言い訳力まで成長していた。