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第2話 プリンセス、発語の試練
3歳児検診を明日に控えた夜。プリンセスとパパは、リビングで真剣な練習中。
「お名前は？」
「〇〇です！」
「よし、じゃあ今から言うの、言ってみよう。犬！猫！りんご！」
「いぬ！ねこ！りんごー！」
ここまでは完璧。でも、パパの顔がにやり。
「ポテトチップス！チュッパチャプス！H2O！因果応報！生麦生米生卵！底辺×高÷2！」
プリンセスはちょっと口をとがらせて、「ぽてちっぷ…ちゅっぱちゅ…えっちつーおー…いんがおほー？なまむぎ…たかさでわって…？」
呪文のような言葉をぽつぽつ繋げる姿に、パパは耐えきれずギュッと抱きしめた。
「プリンセス、天才すぎる…！」
その様子を横目に、ママはひとこと。
「明日、検診で言うなよ」
検診前夜は、愛と混乱に満ちていた。
